為替レートの水準を推し量る一つの視点「実質実効為替レート」でドル水準を見てみます。
実質実効為替レートを確認するメリット
名目レートだけでなく「インフレ変動」や「貿易額」で調整を施した為替レート(=実質実効為替レート)も知っておくことで、現在の為替レートの水準を知る手掛かりになる、かも
実質実効為替レートとは
2019.12.25現在「1ドル=109円程度」のレートは「名目レート」です。
実質実効為替レートの「実質」は
「実質」→「インフレ変動(物価変動)で調整した」
の意味。
また、実質実効為替レートの
「実効」→「貿易額などに応じて加重平均して算出した」
の意味。
実質実効為替レートは単純な名目レートではなく、
各国のインフレ変動や貿易額に応じた調整を施した為替レート
のことで、一般的な名目レートでは把握しにくい
通貨の「実力」を推し量る指標
とする人もいます。
※詳しくは
●コトバンク:実質実効為替レート(ジッシツジッコウカワセレート)とは
●金融情報サイト:実効為替レート
●マネー研究所:実質実効レートで「円の真の実力」を知る
などを参照ください。
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実質実効為替レートの使い方の一例
一般的にはレートが高い方が通貨高、低い方が通貨安を意味します。
個人的な用い方で正しいかどうかはわかりませんが、わたしは一つの目安として、長期的な
「実質実効為替レート平均値」と「現在値」のズレ
を確認し、通貨の割安割高の目安として用いています。
●長期的な平均値より高い⇒通貨高?
●長期的な平均値の同じくらい⇒ふつう?
●長期的な平均値より低い⇒通貨安?
※適切な使い方かどうかは知りません
ドルの実質実効為替レートの推移
※出所:Real Broad Effective Exchange Rate for United States | FRED | St. Louis Fedより作成 ※グラフ期間:1994.1月~2019.11月
1994年以降の推移です。
この期間の
●長期平均:109.4<グレーのライン>
●中央値:109.6
です。
概ね「110程度」を中心とした「100~120」の範囲にあることが多いですが、逸脱している時期もあります。
※出所:Real Broad Effective Exchange Rate for United States | FRED | St. Louis Fedより作成 ※グラフ期間:1994.1月~2019.2月
●赤枠の時期⇒ドル高の時期?
●青枠の時期⇒ドル安の時期?
かも。
ドルの実質実効為替レートの現在
※出所:Real Broad Effective Exchange Rate for United States | FRED | St. Louis Fedより作成 ※グラフ期間:1994.1月~2019.11月
2019.9月のドルの実質実効為替レートは「117.47」でした。
長期平均:109.4
と比べると約7.4%高いところにあり、どちらかというと
ドル高
か。
<ここ1年>
※出所:Real Broad Effective Exchange Rate for United States | FRED | St. Louis Fedより作成
最近は10月以降、ドル安傾向。
FRBの金融緩和スタンスも影響しているか。
10年移動平均からの視点
※出所:Real Broad Effective Exchange Rate for United States | FRED | St. Louis Fedより作成 ※グラフ期間:1994.1月~2019.11月
1994年からの長期平均ではなく10年移動平均からみたグラフ。
2014年11月以降5年間移動平均の上方(ドル高?)にあり、現在は「+10.9%」水準。
この視点でも今はドル高か?
おわりに
9月中旬からFRBの資産は急ピッチで増加中。
加えて利下げも継続的に実施されれば、ドル高らしき水準は徐々に平均回帰していくかもしれない・・・
個人的に長期視点では今、そういうスタンスでみていますが果たして。
前回の本シリーズで上記のように書いていましたが、実質実効為替レートは<9月末⇒11月末>でみると地味にドル安。
実際、ユーロや人民元に対してはドル安(円に対してはドル高)。
この傾向が続くかどうか。
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