ユキマツの「長期投資のタイミング」

「景気(企業利益動向)」「中銀の金融政策(金利動向)」「投資家のリスク許容度」などから長期投資のタイミングを探る投資ブログ

米国可処分所得 物価上昇で減少か

物価上昇で伸び悩む米国可処分所得について。

可処分所得とは

可処分所得とは、給与やボーナスなどの個人所得から、税金や社会保険料などを差し引いた残りの手取り収入、つまり自分の意思で使える部分を指します。個人の購買力を測る際、ひとつの目安になります。 可処分所得から消費支出(いわゆる生活費)を除いた部分が家計の貯蓄に回ります。可処分所得に対し、消費支出に回った額の比率を消費性向、貯蓄に回った額の比率を貯蓄性向といいます。

※出所:可処分所得│初めてでもわかりやすい用語集│SMBC日興証券

☆可処分所得⇒手取り収入、自分の意思で使える所得

☆個人の購買力、消費、貯蓄に影響

米国景気を占う上で役立ちそうなので、確認。

可処分所得には名目と実質(物価変動を調整したもの)がありますが、本記事では実質の可処分所得を用います。

長期の米国可処分所得(1959年以降)

※出所:Real Disposable Personal Income (DSPIC96) | FRED | St. Louis Fedより作成

不況期を中心に減少する時期もありますが米国可処分所得は

増え続けている

のが通常モード。

米国可処分所得の推移(ここ5年)

※出所:Real Disposable Personal Income (DSPIC96) | FRED | St. Louis Fedより作成

ここ5年では、コロナ前の2020年2月までは順調に増えていましたが、コロナで激変。

2020年3月は減少、2020年4月にはコロナ対策の財政出動で急増。

2021年1月と3月にも急増しています。

ばらまきによる可処分所得バブルは2021年5月にはかなり落ち着き、2021年8月まではまずまずいい感じだったのですが、その後は減少傾向。

何が起きたのか。

消費者物価(前年同月比、ここ5年)

※出所:Consumer Price Index for All Urban Consumers: All Items in U.S. City Average (CPIAUCSL) | FRED | St. Louis Fedより作成

実質の可処分所得を押さえつけているのが、物価の上昇。

2021.2月:1.7%

2021.3月:2.7%

程度でしたが

2021.4月:4.2%

2021.8月:5.2%

8月以降さらに上昇ペースは加速し

2021.12月:7.1%

2022.3月:8.6%

2022.3月以降は8%を超える水準。

2021.8月以降の5%を超えた物価上昇が実質の可処分所得を押さえつけ、減らしている大きな要因と思われます。

<米国可処分所得の推移(ここ5年)>

※出所:Real Disposable Personal Income (DSPIC96) | FRED | St. Louis Fedより作成

まとめ

昨年8月以降、米国可処分所得は実質でみると1年以上、減少トレンド。

1959年以降で見ると、米国可処分所得が1年以上減少トレンドにあったのはやはり8%以上のインフレに悩まされた1973~1974年のみ。

今は

コロナ後のばらまき⇒ばらまき終了

という特異な状況ではあるものの、今後もさえない状況が続くようだと、株価にとってネガティブ要素。

逆に物価上昇ペースが落ちて可処分所得の増加が続く巡航モードに徐々に戻っていくようなら、株価にとってポジティブ要素となりそう。

今後時々確認していく予定です。

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