米国投資家のリスク許容度を探る一材料になると思われる指標「マージンデット」の確認。
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マージンデットとは
マージンデット(Margin Debt)は、米国の株式市場(ニューヨーク証券取引所)が公表していたデータ。
マージンデットは「証拠金債務」のことで
アメリカの投資家が株の売買ために金融機関から借りているお金の総額
のこと。
わざわざ金利を払って借金して株式投資につぎ込む金額(マージンデット)が増えることは、投資家のリスク許容度が上昇していると解釈。
逆に、マージンデットが減少することはリスク許容度が低下していると解釈。
※わたしの知る限り、2017年11月までは<ニューヨーク証券取引所>のサイトで数値が確認できたのですが、それ以降確認できず。
2017年12月以降のデータはマージンデットと同様の
Debit Balances in Customers' Securities Margin Accounts(Margin Statistics | FINRA.orgより)の数値を代用。
マージンデットを知るメリット
★米国市場における投資家のリスク許容度を探る材料になり得るか
※マージンデットが増える⇒リスク許容度上昇⇒株高要因
※マージンデットが減る⇒リスク許容度低下⇒株安
マージンデットとS&P500の長期推移
1997年1月~2022年10月のマージンデットとS&P500の長期推移。
※出所:Margin Statistics | FINRA.org、S&P500 過去のレート - Investing.comより作成
マージンデットはグレーで左目盛り。
株はオレンジで右目盛り。
両者のこの期間の相関係数は「0.95」で強い正の相関があります。
マージンデットが大きく減少している時期に着目。
総じて株価は軟調であり、マージンデット減少トレンド時には用心する、というのが個人的な経験則。
また概算値ですが、マージンデットはITバブル崩壊時は
☆3000億ドル⇒1500億ドル
米住宅バブル崩壊時は
☆4000億ドル⇒2000億ドル
と半減しており、今回はどこまで減るか、気になるところ。
マージンデットとS&P500の長期推移(前年比)
次に1998年1月~2022年10月のマージンデットとS&P500の長期推移を前年同月比で観察。
※出所:Margin Statistics | FINRA.org、S&P500 過去のレート - Investing.comより作成
マージンデットはグレー。
株はオレンジ。
両者のこの期間の相関係数は「0.81」で強い正の相関があります。
ITバブル、米住宅バブルでマージンデットは前年比で「+60%」以上になりました。
2021年には「+71%」を記録。
2022年10月は「-30.6%」で2021年4月以降、ほぼ一直線に低下。
住宅バブル崩壊時には「-50%」近くまでいきましたが、今回はどうか。
最新のマージンデット
2022年10月のマージンデットは6496億ドル。
前月より140億ドル減少。
直近ピークは2021年10月の9359億ドルで今は12ヶ月続く減少トレンドの最中。
前年比では「-30.6%」。
株価は最近粘ってますがマージンデットは減り続けており、近年の経験からすると、やな感じ。
逆に今後マージンデットが明らかに底打ちした場合は希望の光。