中国は再び世界景気をけん引するか
をテーマに3つの記事を掲載予定。
今回は2つ目。
1つ目はこちら
1つ目の記事では
☆CLIという景気指標では、中国景気の落ち込みが底打ちしているようにも見えること
☆GDP、M2、住宅価格指数など中国経済のポジティブな指標
などを確認。
2つ目の本記事では中国経済のネガティブな面を確認。
中国の鉱工業利益(前年比)
※出所:中国鉱工業利益(前年比) ※2019年6月~
中国の鉱工業利益(前年比)が2022年7月以降、前年比でマイナスに。
特に今年になってから前年比で20%以上マイナスの状態。
コロナ不況の渦中、2020年2~4月で前年比「-38%~ー27%」程度だったので、現状のマイナス20%というのはけっこうショッキングな数字。
ある種の「コロナ特需」が終了し、中国の鉱工業に一時的に受難の時が来ているだけかもしれませんが、とても気になる指標。
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中国の設備稼働率
※出所:中国 - 設備稼働率 | 2013-2023 データ | 2024-2025 予測 ※期間:2013年~
生産能力に対する実際の生産量の比率、設備稼働率。
4半期ごとにデータ更新されている上記のデータで2023年1Qは74.3%。
最近では2021年2Qの78.4%をピークに明らかに低下傾向。
水準もコロナショック、チャイナショックに次いで2013年以降では3番目に悪い水準。
中国が再び世界景気をけん引するならば、この数値は近々底打ちして力強く上昇トレンドを描き出し、過去の経験から78%前後まで伸びてきてもいい、はず。
中国の輸入(前年比)
※出所:中国 - 輸入(年間) | 1991-2023 データ | 2024-2025 予測
一般に内需の強さを反映するとされる輸入データ。
前年比でここ25年をざっくりとみると、2015年までは前年比プラスであることが圧倒的に多く、2015以降は前年比マイナスが目立っています。
とても雑な指摘となりますが、チャイナショックのころを境に中国の内需が弱まってきている、のかも。
中国の物価
※出所:中国 - インフレ率 | 1986-2023 データ | 2024-2025 予測
ここ25年の中国消費者物価上昇率(前年同月比)。
2023年4月は+0.1%。
直近では2022年9月の+2.8%をピークに明確に低下傾向。
※出所:中国 - 家賃インフレ | 2001-2023 データ | 2024-2025 予測
上記は中国の物価のうち家賃インフレのここ2001年頃からの推移。
2015年以降、中国の家賃上昇率のピークは+3%程度で、コロナで前年比マイナスに、今は少し上昇してきていますが、それでもやはりマイナス圏。
中国不動産市況がさえず、中長期的な家賃デフレ傾向?ともいえる状態にあることを示唆。
ここまでのまとめ
1つ目の記事では
☆CLIという景気指標では、中国景気の落ち込みが底打ちしているようにも見えること
☆GDP、M2、住宅価格指数など中国経済のポジティブな指標
などを確認。
2つ目の本記事では
☆鉱工業利益や設備稼働率をみると、中国製造業が今世界景気をけん引しつつあるようには見えないこと
☆輸入や物価をみると長期トレンドとしての中国の内需の弱まりや不動産市況を中心としたデフレ化の可能性があること
などを確認。
中国は再び世界景気をけん引するか
わたしなりの結論は3つ目の記事で。
「中国は再び世界景気をけん引するか <3/3>」に続く
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