世界景気が正念場である話。
グローバル製造業PMI
「PMI」は「購買担当者指数」のことで景気指標の一つ。
世界の多くの国で採用されており、毎月更新される即時性の高い便利な指標。
50が分岐点であり
●50より大きい⇒景気拡大
●50より小さい⇒景気減速
と判断。
製造業PMIは「製造業購買担当者指数」のことで、製造業全般の景気を示唆。
グローバル製造業PMIは「全世界の製造業の景気状況」を示唆する指数。
世界景気動向の目安として、グローバル製造業PMIの推移を確認。
※出所:PMI Releasesより作成 ※期間:2018.1~2023.10
直近ピークは2021年5月の「56.0」。
直近ボトムは2022年12月と2023年7月の「48.6」。
最新値2023年10月は「48.8」で、前月より「-0.4」ポイント。
直近ボトム2023年7月の「48.6」から2ヵ月連続で上昇していましたが、10月は再び低下。
直近ボトムに接近。
水準としては節目の50を8カ月間下回り、景気減速傾向。
グローバル製造業PMIとS&P500
※出所:PMI Releases、S&P500 過去のレート - Investing.comより作成
※期間:2018.1~2023.10
2018年以降のグローバル製造業PMIとS&P500を併記。
PMIは青で左軸。
株価はオレンジで右軸。
この期間の
☆PMIのピーク:2021年5月
☆S&P500のピーク:2022年1月
今回は8ヶ月ほどの長めタイムラグでともにピークアウト。
その後
☆PMIのボトム:2022年12月と2023年7月
☆S&P500のボトム:2022年9月
となっており、株価とPMIの乖離が目立つ状況。
個人的には今年に入ってのAIブームや2023年3月の銀行破綻を受けてのFRBの金融緩和などが株価ブーストの主な要因と推測。
10月の動きとしては株価がPMIの水準に接近し乖離がやや解消。
JPモルガン・グローバル総合PMIの確認
ここまではグローバル製造業PMIの話。
サービス業と製造業をあわせた「JPモルガン・グローバル総合PMI」という指標もあり、こちらも確認。
※出所:https://www.pmi.spglobal.com/Public/Home/PressRelease/ada3c2bf0bdb4ec5aa088d9b4448f0ddより作成
この指標、2008年以降では3回ほど、節目の50を下回り、不況を示唆したことがあります。
1回目は2008~2009年の世界金融危機、2回目が2020年のコロナ不況、3回目が2022年の秋ごろ、インフレ+利上げで株価が低迷していた時期。
ほかにも好不況の分かれ目の「50」に2度接近。
1度目は2012年の欧州債務危機、2度目は2015~2016年ごろのチャイナショック。
世界景気動向をそれなりに反映してきた指標といえます。
最新の2023.10月データは「50.0」で9月の「50.5」より低下、ちょうど節目の50ジャスト。
欧州債務危機やチャイナショックのころと同様の水準まで低下し、節目の50割れが目前の水準。
そんな中11月は株高でとても世界景気がどうのこうのという雰囲気は株式市場には感じられませんが、
それなりに実績のある景気指標が景気減速を示唆する直前の水準にあること
は一応気にはなる情報。