ユキマツの「長期投資のタイミング」

今の株価、<割高・ふつう・割安?>の三択からあえて選ぶなら<割高?>と推測するサイト。判断の根拠として<景気><金融政策><投資家のリスク許容度>などを重視

貪欲から恐怖へ

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時代や国を問わず、説得力を持ちつづけそうな言葉を拾ってまとめていくシリーズ

「時空をこえたメッセージ」

の16回目です。

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この人はたぶん、すごい

まれに本を手に取り一読したときから

この著者の力量はずば抜けている

と感じることがあります。

たまたま図書館で手に取った

「世界恐慌(上下)」ライアカット・アハメド(著)吉田利子(訳)筑摩書房 2013年

の著者ライアカット・アハメド氏がそれに当てはまります。

ライアカット・アハメド氏

ブルッキングズ研究所理事。世界銀行、投資会社、保険会社等で25年以上の投資経験を有する投資マネジャー。

※2013年時点の情報

貪欲から恐怖へ ~金融危機のありがちなパターン~

上巻の9~29ページが「はじめに」の章です。

ここに歴史的にありがちな金融危機のパターンが端的に述べられています。

少し長いですが引用します。

一般に金融危機は投資家のあいだの、それ自体は罪のない健全な楽観主義の高まりから始まる。時間がたつにつれ、リスクに対する銀行家の寛容な姿勢に促されて楽観主義は自信過剰へと変容し、ときには熱狂的な投機にいたる。好景気は誰もが予想する以上に長続きするだろう。だが、やがて突然のショックに見舞われる。銀行破産、驚くほどの膨大な損失、詐欺にかかわる金融スキャンダル。ショックが何であっても、空気は一変する。次にやってくるのはパニックだ。投資家は暴落する市場で資産の清算を余儀なくされ、損失が積みあがり、銀行は融資を絞り、怯えた預金者が預金を引き出し始める。

簡単に整理すると

金融危機までの流れ(投資家が貪欲になっていく時期)

投資家の楽観主義+銀行の甘い融資審査

⇒投資家の自信過剰(+投機)

⇒好景気の長期化

⇒突然のショック

金融危機の到来(投資家が恐怖する時期)

銀行破産、膨大な損失、金融詐欺

⇒投資家や預金者のパニック

⇒投資家の投げ売り、銀行の厳しすぎる融資審査、預金引き出しの発生

というところでしょうか。

影響が一国に留まることもあれば、全世界に波及することもあり、金融危機のエピソードはそれぞれ異なった形をしているが、共通のパターンがあるとアハメド氏は述べられます。

その共通パターンが投資家心理の変化、

~貪欲から恐怖へ~

であると。

例えば、米国の景気拡大が9年続き、ボトムからの株価指数が3倍4倍、それ以上になっても、ずっとずっとこのまま上がり続けて欲しいと願う「貪欲さ」。

果てしなく株価は落ちていくのでは?という投げ売りパニック相場の「恐怖」。

そういう類の貪欲さや恐怖に関して

また、いつものパターンだ

とするアハメド氏の冷めきった視点。

バブル、資本主義システム、人間性

また、アハメド氏は過去の金融の歴史を振り返って

・金本位制はインフレの抑制には成功したといえそうだが、バブルの発生と破裂を阻止する力はなかった

・バブルは経済につきものであり、バブルは人間性に深く埋め込まれた、資本主義に内在するもののようである

との認識を提示されています。

過去は必ずしも未来に再現されないが・・・

わたしは歴史ものは好きな方です。

例えば、医学の歴史、種痘の歴史の本などを読むと、なぜ今予防接種が広く行われているか、腑に落ちます。

金融の歴史の本も好きです。

わたしは長期投資を行う上で

①景気 ②中央銀行 ③投資家のリスク許容度

などに配慮します。

近年のデータや金融史を少し知るだけで、これらは投資タイミングを図るうえで、示唆に富んでいるからです。

①⇒好景気は長く続きやすいが、景気拡大の末期~不景気の時期に株価が大きく下落しやすい

②⇒不景気を受けて、中央銀行が緩和政策を選択し、金利が低下し、しだいに景気が回復する前後に株価は上昇トレンドを回復しやすい

③⇒好景気の後期やバブル期には投資家のリスク許容度は高くなりすぎ、株価は割高になっていやすい。不景気をともなう長期の下落相場、暴落後などに投資家のリスク許容度は低くなりすぎ、株価は割安である場合が多い

歴史や過去のデータが示す傾向や可能性はどこまでいっても経験則であり、経済は自然科学と異なり、必ずしも再現性を持たず、あくまで確率、可能性の話にしかならないものの、少し「今と直近に縛られた近視的視点」から離れ、10年20年のスパンで今の立ち位置を俯瞰してみると、今はめいいっぱい貪欲モードでいられた状態から少し迷いや不安・恐怖が生じてきた、

貪欲から恐怖への移行期である可能性が高そう?

という印象を持ちますが、今年、来年、どうなるでしょうか。

※ただの個人の勘です。先のことはわかりません

おわりに

わたしの推測などはさておいて、

「世界恐慌(上下)」ライアカット・アハメド(著)吉田利子(訳)筑摩書房 2013年

はおススメの本です。

とても長い本なので、何なら「はじめに」を何度か読むだけでも有益かもしれません。

ノーマン、シャハトら中央銀行家とケインズの伝記物、1900年代前半の金融史としても、伝記や歴史が好きな方なら楽しめそうです。

また、

近代的な中央銀行とはどんなものか?その成り立ちは?ニューヨーク連銀初代総裁ベンジャミン・ストロングの革新性は?

そういう観点からも読める、かつての中央銀行家を活写した、なかなかお目にかかれない優れた著書と思います。

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●ハワード・マークス氏の視点はアハメド氏の視点とよく似ています。

『投資で一番大切な20の教え』ハワード・マークス(著)もおススメです。

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