クレジットスプレッドの一つ、「米国社債スプレッド」関する記事です。
米国社債スプレッドは
①「米国の社債(格付けBaa。中等度のリスク)」と「米国債(10年物)」の利回りの差を長期観察し
②投資家心理やリスク許容度を探り
③株式の割安割高の判断の目安にする
のに便利な指標です。
※わたしの個人的な理解、使い方なので、一般的ではない可能性があります
※「米国社債スプレッド」は一般的な名称ではありません
クレジットスプレッドとは
★信用力の差⇒利回りの差=クレジットスプレッド
★クレジットスプレッド=信用力の低い債券利回りー信用力の高い債券利回り
たとえば、債券が償還されるまでの期間が同じ社債と国債があり、社債の利回りが5%、その国の国債利回りが2%であった場合、
5%-2%=3%
がクレジットスプレッドです。
クレジットスプレッドの使い方は基本的に、
★クレジットスプレッドが縮小するとき(小さくなるとき)
⇒投資家心理は安心・楽観傾向、リスク許容度高い
⇒株式などのリスク資産は割高傾向
★クレジットスプレッドが拡大するとき(大きくなるとき)
⇒投資家心理は不安・悲観傾向、リスク許容度が低い
⇒株式などのリスク資産は割安傾向
と判断します。
詳しくは下記リンクを参照ください。
【米国社債スプレッド】とは
本ブログにおける米国社債スプレッドは、
「米国の社債(ムディーズ格付けBaa。中等度のリスク)」と「米国債(10年物)」の利回りの差
です。
※【米国社債スプレッド】は便宜的にわたしが名付けているもので、一般的な名称ではありません。数あるクレジットスプレッドの一つの具体例です。
例えば、米国社債の利回りが5%、米国債の利回りが3%なら
5%-3%=2%
が米国社債スプレッドになります。
【米国社債スプレッド】の推移と主要データ
※出所:https://fred.stlouisfed.org/series/BAA10Yのデータより管理者作成
上記グラフは<1995.1月末~2017.4月末>の米国社債スプレッドの推移を示したものです。
2003年、2009年、2016年ごろに大きな山があるのが確認できます。
【米国社債スプレッド】の主要データ
<期間:1995.1月末~2017.4月末の月末データより>
★平均値(幾何平均):2.39
★中央値:2.51
【米国社債スプレッド】の使い方の例
①長期的な平均値との比較
20年以上のデータの平均値が約2.4なので、基本的にこの数値より
★小さい
⇒投資家心理は安心・楽観傾向、リスク許容度高い
⇒株式などのリスク資産は割高傾向
★大きい
⇒投資家心理は不安・悲観傾向、リスク許容度が低い
⇒株式などのリスク資産は割安傾向
と判断してもよいかもしれません。
※出所:https://fred.stlouisfed.org/series/BAA10Yのデータより管理者作成
②3.5を超えるときは株式は「割安圏」、1.75より小さいときは株式は「割高圏」の目安か?
※出所:https://fred.stlouisfed.org/series/BAA10Yのデータより管理者作成
あくまで近年の経験則で、理論的なものではありませんが、米国社債スプレッドが
★3.5を超えるときは株式は「割安?」
★1.75より小さいときは株式は「割高?」
と判断する目安にしてもよいかもしれません。
同時期のS&P500のグラフを併記してみます。
※出所:ヤフーファイナンスのデータより管理者作成
自分で紹介しておいて何ですが、この指標は割高圏の時期に関しては、あまり精度が高い情報ではないです。
1996~1998年については勇み足といったところ。
2005~2006年についても、かなりアバウトです。
どちらかというと、割安圏を判断する上で力を発揮してくれる指標のような気がします。
「割安圏を判断するのに便利」という意味で、恐怖指数や信用評価損益率、東証一部PBRと似た傾向を持つ指標かもしれません。
その他
◎米国社債スプレッドのデータは下記サイトでほぼリアルタイム(1日くらいのズレ)で入手できます。即時性が高いので便利です。米国市場の投資家の投資家心理やリスク許容度をある程度反映する指標と思われ、スプレッドが短期的に
★急上昇している⇒明確なリスクオフ相場
★急低下している⇒明確なリスクオン相場
と判断する指標にもなりそうです。
※出所:https://fred.stlouisfed.org/series/BAA10Y
◎上記グラフは1986年からの長期推移です。
1990年代は多くの期間、2%を下回り、1%台で推移していました。
2000年以降、2%を下回っているのはごく短期間です。
底値が上がってきているような気もするので、この点に関しては意識しておいた方がいいかもしれません。
◎長期的にみて、今、株式は割安か割高か?
この問いに対して、一つの指標だけで安直に判断するのは危険であり、複数の指標で総合的に判断することが大切とわたしは考えています。
「割安な時期」を判断するのが得意と思われる以下の指標も参照ください。