日本銀行の資産動向に関する記事です。
個人的には株式市場と大いに関係があると推測。
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日銀の資産推移
※出所:Bank of Japan: Total Assets for Japan | FRED | St. Louis Fed
※単位:億円
上記は1998.4月~2017.9月の日銀資産の推移グラフです。
2006年頃までじんわりと増加傾向。
2006年頃から少し減少、停滞。
リーマンショック後も激しく増加することなく、地味に増加。
2013年以降に激増、現在も増加の途上。
日銀資産の推移データ表
※出所:Bank of Japan: Total Assets for Japan | FRED | St. Louis Fedのデータより管理者作成
上記表は日銀の2006年年末以降の資産を年ごとに表にしたものです。
「前年との増減幅」も表記しています。
2017年は9月末のデータです。
2006年末から2017.9月末で資産はざっと4.4倍。
金額的には398兆円程度の増加。
ECBと同じくらいの増加幅です。
特に2012年末から2017.9月末で355兆円分の増加。
この5年足らずの緩和ペースは実に激しく、日銀資産は概ね3.2倍にふくらんでいることが分かります。
ただ、2017年に関しては9月までのペースだと年間50兆円程度の増加額、緩和のペースは2013年以降で最低になりそうです。
日本国債利回りとTOPIXの推移
<日本国債利回り>
上記は2007年12月以降の日本国債10年物の利回り推移です。
この期間、最高で1.6%程度あった利回りは2014年の夏以降「0.5%以下」の水準。
2016年以降はほぼ「0.1%以下」の水準に張り付いています。
<TOPIX>
※出所:SBI証券
上記グラフはここ10年のTOPIXの推移です。
2008年に大きく下落したのち「750~1000」のレンジで長期低迷。
2012年末以降、暴騰しています。
株式市場と「中央銀行の資産動向」
一般論として、金利が下がると
◎経済活動が活発になり景気に好影響
⇒企業利益の増加⇒株高
◎企業の借入金の金利負担は減少
⇒企業利益の増加⇒株高
◎債券利回り低下
⇒投資先としての債券の魅力DOWN
⇒債券以外の投資先(株、不動産など)の相対的な魅力UP
⇒株高
などの要因で株高傾向になりやすいと思われます。
したがって、中央銀行が緩和政策をとり、市中の国債などを購入し(国債価格は上昇、利回りは低下)、対価として債券保有者にマネーを供給し、中央銀行の資産規模がふくらむことは基本的に株価に好影響を与える、その逆も然りだと考えられます。
中央銀行の資産規模が
◎増加⇒株価に好影響
◎減少⇒株価に悪影響
したがって、ECB、FRB、日銀などの中央銀行の資産規模やその動向を確認しておくことは、長期的視点から、株式市場の環境を考える上で非常に重要だと思われます。
実際、2013年以降の日銀資産の激増時期とTOPIXの暴騰時期に関しては、かなり強い関連があるように推測されます。
OECD全体の景気動向も2012年9月頃を底として急速に回復したので、日銀の動向だけが日本株に好影響を与えたわけでもないとは思いますが。
<日銀資産>
<TOPIX>
<OECD全体の景気動向>
※出所:OECD Dataのグラフより管理者作成
日銀のスタンス
日銀に関してはFRB、ECBの3つの中央銀行の中では現在、ECBに次ぐ資産規模であり、新たに供給している緩和マネーの額もECBに次ぐ存在です。
かつての
年間80兆円の国債購入
という量的な縛りは昨年来、なくなっており、今年の日銀資産増加額は大幅に減少していますが、引き続き緩和的であり、いつまでこの政策を続けるか、出口については明言されていません。
一般論として、
◎引き続き緩和的⇒株価に優しい要因
◎緩和ペースがペースダウンしている⇒株価に厳しい要因
ということは気にしておいてもいいのではないか、と思われます。
おわりに
日本の発行済み国債の4割は日銀保有。
日銀資産は来年には名目GDP以上の規模になりそうな雰囲気。
現状の金融政策の帰結として未来に何が訪れるのかはわかりませんが、とりあえず観察は続けておこうと思います。
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