グラフが出力されない2017年4月の記事があり、訂正、リニューアルして掲載させていただきます。
ごく簡単に
1990年以降の株式市場の歴史を「世界の時価総額」から
なぜ「世界全体の時価総額」をみるのか?
ひとくくりにしたものを好む
単なるわたしの好み
でもありますが、無理に理由をつけるなら、株式市場をざっくりと
俯瞰する
場合に便利なデータだと思います。
全世界の株式市場をひっくるめた雑なデータですが、世界全体の時価総額は
木を見て森を見ず
でいうところの、
「森」
ではないかと、個人的には思っています。
「世界全体の時価総額」とは?
全世界の投資家
が
全世界の上場企業に下した評価額の総計
といえると思います。
よりくだけていえば、全世界の投資家が、ある時点で下した
★全世界の全上場企業のお値段
だと思います。
投資家たちの評価次第で時価総額は変動する性質があり、
●1年で30%以上お高くなることもあれば
●1年で40%以上お安くなることもある
そういう「時価」「値段」の一つだと思います。
「世界全体の時価総額」の特徴
<世界全体の時価総額=以下”時価総額”とします>の特徴や性質について、わたしなりの考えです。
時価総額は主に以下の4つの要因の影響を受けやすいのではないかと。
①世界的な「景気」の影響を受ける
世界的に景気がよく、GDPの成長率もよく、企業利益が増えれば時価総額も増えやすい傾向。
逆も然り。
②世界的な「金利」水準の影響を受ける
世界の主要国の金利が総じて低ければ時価総額は増えやすい傾向。
逆も然り。
③世界的な「信用」状態の影響を受ける
世界的に「借金と貸し出し」「貸し借り」「債権と債務」、つまり信用の規模が大きくなれば、時価総額も増えやすい傾向。
逆も然り。
④世界的な「投資家の心理・リスク許容度」の影響を受ける
全世界の投資家の「期待・楽観度合い」や「リスク許容度」の上昇で時価総額は増えやすい傾向。
「期待・楽観度合い」や「リスク許容度」の低下により時価総額は減りやすい傾向。
あくまで個人的な見解ですが、以上をふまえて、近年の時価総額の歴史を簡単に見てみます。
1990~2017年の世界時価総額の動向
※出所:World Federation of Exchanges、Global Noteのデータより管理者作成
1990~2017年の時価総額の推移です。
2017年は11月末のデータ、その他の年は年末のデータです。
この約27年間で時価総額は概ね
●9.6ドル⇒83.5兆ドル
●8.7倍
に増加しています。
同期間のインフレ率の上昇による資産価値の低減(GDPデフレーターだと、米国ではこの期間でざっと物価が1.7倍)も考慮しなければなりませんが、それでも約27年で9倍近くの増加は
「市場に長く留まり続けること」
「株式への長期投資」
「長期的な国際分散投資」
などの有効性を示唆するデータではあると思います。
この約27年をざっくりと5つの期間に分けて見ていきます。
第1期:1990年12月~2000年3月
※出所:World Federation of Exchanges、Global Noteのデータより管理者作成
1990年末の時価総額は
●約9.6兆ドル
2000年3月末の時価総額は
●約35.3兆ドル
約9年(9年3ヶ月)で
●約3.7倍
に増えました。
1990年代は、
・日本のバブル崩壊
・ソビエト連邦の崩壊
・アジア通貨危機
・ロシアのデフォルト
・ITバブル
などもありましたが、時価総額の推移だけをみていると、非常に恵まれた、米国の長期の景気拡大期を素直に反映した時期だったと推測されます。
9年で3.7倍はすごい。
第2期:2000年3月~2002年9月
※出所:World Federation of Exchanges、Global Noteのデータより管理者作成
2000年3月の時価総額は
●約35.3兆ドル
2002年9月の時価総額は
●約20.1兆ドル
2年半で
●約43.1%
減少しました。
いわゆるITバブルの崩壊期、長い長い株式投資、冬の時代です。
この2年半のうちに
・アルゼンチンのデフォルト
・エンロン破綻
・ワールドコム破綻
<2008年、リーマン・ブラザーズが破綻するまでの米国史上最大の経営破綻>
が起きており、まさに踏んだり蹴ったり。
個人的には、2年半、30ヶ月も低迷相場が続くことは、短期的な暴落より、厳しい一面があると思います。
だらだらと落ち続ける株価と減り続ける資産評価額。
今月も○○損した、今年も××も資産が減った、ああ、▲▲に何て説明しよう・・・
そんな投資家不遇の時代です。
こういう時期こそが長期投資を始めるチャンス!
とアグレッシブに断言できる人は、世間的には変人扱いされる可能性もありますが、長い目で見ると、投資の世界では優れている場合が多そうです。
※以下、明日の
【雑だけど俯瞰するには便利! ~世界時価総額からみた近年の株式市場の歴史②~】
に続きます
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