2008年のリーマンショックから10年。
区切りがいいこともあり、米国の景気拡大が長期にわたっていることもあり、
再びあのようなことが再現されるのか?
という趣旨の記事を見かけます。
本ブログではリーマンショックにこだわらず、景気減速を基準に、2000年以降の4回の下落相場に焦点を当ててみたいと思います。
今回はリーマンショックを含むサブプライムバブル崩壊期を取り上げます。
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4回の景気減速期と株価
●世界景気の指標
⇒CLI(OECD全体)
※CLIについてはコチラ↓
●主要株価
・全世界の時価総額(ドル建て)
・S&P500(米国)
・ナスダック総合(米国)
・TOPIX(日本)
・DAX30(ドイツ)
・上海総合(中国)
・Nifty 50 (インド)
とし、2000年以降の4回にわたる世界景気減速期の株価を確認してみます。
世界景気の減速期③:2007年6月~2009年2月
※出所:Leading indicators - Composite leading indicator (CLI) - OECD Dataより管理者作成
リーマンショックを含む③の期間、CLI(≒世界景気)の数値は
101.7(2007.6)⇒95.5(2009.2)
に低下。
2007.6~2009.2の20ヶ月間、世界景気は減速を続けていたことを示唆するデータ。
他の景気後退期と比較するとこの指標からは
2000年以降で最高の好況から最低の不況になった時期?
といえそう。
ITバブル崩壊後(2000~2003年頃)に始まった世界景気の拡大期は4年あまりで終焉し、その後1年半以上にわたって、まれにみる不況に突入していったという時期。
まさに天国から地獄。
チャイナショック、欧州債務危機、ITバブル崩壊期よりも、鮮烈な記憶として残りやすい20ヶ月といえるかもしれません。
サブプライムバブル崩壊期の株価のピーク・ボトム時期と減少幅
この期間の株価のピーク・ボトム時期と減少幅を確認してみます。
●各国株価のピーク時期:2007.2~2008.1
●各国株価のボトム時期:2008.10~2009.3
●先進国の下落率:ざっと4~6割
●新興国の下落率:ざっと6~7割
世界全体の時価総額は5割強減少しました。
日本の株価は2年かけて約6割下落。
中国の株価はたった1年で7割下落。
インドは9ヶ月で6.5割下落。
まさに暴落といっていいでしょう。
世界各国のピーク・ボトムのタイミングにはばらつきがありますが、経験的には
世界全体の時価総額のピークとボトム
を確認しておくと、判断を大きく誤る可能性が減ると思われます。
下落率のグラフです。
この中ではナスダックが一番軽微だったのは意外。
上海総合は7割超の暴落です。
※表とグラフの出所:https://www.world-exchanges.org/、TOPIX- Yahoo!ファイナンス、https://jp.investing.com/indices/major-indicesのデータより作成
所感①:1年や半年で景色は激変しうる
※出所:https://www.world-exchanges.org/より作成
サブプライムバブルのピークからの3年4ヶ月の激動期を世界の時価総額で観察してみます。
世界の時価総額の推移。
2007.10:63.0兆ドル
2008.10:44.3兆ドル(ピークから-29.7%・1年後)
2009.2:28.9兆ドル(ピークから-54.1%・1年4ヶ月後。ボトム)
2010.2:46.3兆ドル(ボトムから+60.2%・1年後)
2011.2:58.2兆ドル(ボトムから+101.4%・2年後)
実にドラマチックです。
こんな大きな変動がしばしば起こるものでもないと思われますが、実際10年ほど前に起きていたことです。
2007.10の時点では市場は楽観に満ちていたと思われます。
それがたった1年で約3割、1年4ヶ月で5割超の株価の暴落。
悲観の極みにあったであろう2009.2のたった1年後には6割の暴騰をみせています。
さらに勢いはとまらず、2009.2の2年後には世界の時価総額はボトムの約2倍にまで回復しています。
わたしは当時まだ投資を始めて3~4年、投資スタイルも定まらず、あれこれ試行錯誤の真っ最中、大してリスク資産に投資していませんでしたが、それでもあっという間に資産が吹き飛び、びっくりしていったん投資をやめて観察していました。
信用取引その他でレバレッジをかけていたら一発リタイアだなあ・・・
巨大台風の暴風域に突入したような、ある種の恐怖体験でした。
2017年のような穏やかな市場もあれば大揺れの市場もある、投資は環境次第だとつくづく思います。
●世界景気のいい時期(景気拡大期)はそれなりに大きなリスクをとり、景気が悪ければ(景気減速期)リスクを抑えておく方がよいかも
●たった1年や半年でも市場環境は激変しうる。激変期の渦中においては普通はうろたえて何もできない。事前に最悪の事態を想定した準備やシミュレーションをしていなければ、きっとうまく対応できないだろう
●【景気ボトム⇒景気拡大】の転換期の後(例えば2009.2以降)に、短期的に大幅な株価の上昇がみられやすい?
恐怖体験から得たわたしなりの学びです。
長くなってきたので以下
リーマンショックを含む2000年以降の下落相場③:サブプライムバブル崩壊期 <その2>
に続きます。
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