2019年5月末のデータからJリートの割安割高を探ってみます。
TOPIXと東証リート指数の確認
はじめに簡単にTOPIXと東証リート指数の推移を確認。
<ここ1ヶ月>
※出所:SBI証券
ここ1ヶ月の東証リート指数とTOPIXの値動きを比率で比較したものです。
この期間はリートの圧勝。
<ここ2年>
※出所:SBI証券
ここ2年でもリート優位。
<ここ10年>
※出所:SBI証券
ここ10年でもぱっとみリート優位。
この期間、TOPIXがリート指数より強かったのは2017~2018年だけ。
配当、分配金も考慮すると、リートの方が分配金が多いと思われ、ここ10年でもリート優位だったか。
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Jリートスプレッド
Jリートの割安割高の判断の目安の一つとしてわたしはJリートと日本の長期国債利回りの差(スプレッド)を確認しています。
本記事では
「Jリートの平均利回り-日本国債利回り(10年物)」
のことを「Jリートスプレッド」とします。
クレジットスプレッドと同じような発想で、「Jリートの利回り」と「長期国債の利回りの差」が
・大きいほどJリートは割安
・小さいほどJリートは割高
とみなす指標です。
※「Jリートスプレッド」は一般的な用語ではありません
※クレジットスプレッドについてはコチラ↓
過去の利回り「Jリート」と「日本10年国債」
少し古いデータですが、過去の推移の確認です。
下記グラフは2001.9月末~2017.7月末のJリートと長期国債の利回りの推移を示したものです。
※出所:JAPAN-REIT.COM、日本 10年 債券利回りのデータより管理者作成 ※国債の長期金利がマイナスの時期は「0%」で表示
Jリートの平均利回りは
・ITバブル崩壊後:約6%
・リーマンショック後:約8%
まで上昇しています。
欧州債務危機の2011~2012年頃も5%以上の利回りをつけており、リート収益は株式に比べて比較的安定している点から、リート利回りは
リスクオフ時、株安時期の一つの目安
になりやすい指標の一つと思われます。
経験則に過ぎませんが、リートが叩き売られている時期は、株式などのリスク資産も過小評価され、割安になっている可能性があります。
最新のJリートスプレッド
次にJリートスプレッド
●【Jリートの平均利回り-日本国債10年物の利回り】
の推移を確認してみます。
期間は2001年9月~2019年5月末です。
※出所:JAPAN-REIT.COM、日本 10年 債券利回りのデータより管理者作成
この期間の長期平均は「3.3%」です。
個人的には「かなり割安な時期」の経験的な目安を概ね「5.0%以上」(4.5~5.0%だと迷いそう)としています。
2019年5月末の値は「3.9%」でした。
※マイナス金利は「0%」で計算
・Jリートの平均利回り:3.91%
・日本国債10年物の利回り:-0.10%
2019年4月末は「4.0」だったので、スプレッドは縮小。
「3.9」は平均値「3.3」を上回るも「5.0」には届かない値であり
まあまあ割安?
と推測。
悪くない水準と感じますが、個人的には次の不況を待ってもっと割安に買いたいので、引き続き静観。
<直近の高分配金銘柄>
※出所:JAPAN-REIT.COM - 全ての投資家のための不動産投信情報ポータル REIT一覧(リートデータ)より作成 ※2019.5.31時点
直近の利回り5%以上の銘柄が12個。前月は14個。
<先月の高分配金銘柄>※出所:JAPAN-REIT.COM - 全ての投資家のための不動産投信情報ポータル REIT一覧(リートデータ)より作成 ※2019.4.26時点
2017年6月以降2年近く、このスプレッドは
3.9%~4.2%
のレンジ。
5月は一時3.8%まで縮小していましたが、月末3.9%へ。
あとがき
<ここ1ヶ月>
リート指数とTOPIXを比較すると、ひと月で8%近い差がついています。
ここしばらくわたしは「日本株:やや割高」「J-REIT:やや割安」という認識であり、こういうグラフをみると
★リート:ロング(買い建て)
★TOPIX:ショート(売り建て)
のロングショートを大々的に実行すればよかった!
※例えば1000万の買い建て、売り建てでひと月で80万円の利益。2000万のペアなら160万(税金、手数料など考慮せず)
と思ってしまうのですが、実行できておりません。
2019年1月は買持ちしていた個別銘柄が指数に負けてそこそこ損しましたが、他の月は「個別株のロングショート、個別株買い+オプションヘッジ」の取引が今年もそれなりにうまくいっており、わざわざ慣れない指数同士のロングショートに手を出していないだけなのですが、こんなに差がつくならお試しで実行したくなる5月の利幅。
※今から実行してうまくいく保証はありません。投資は自己責任で
これだけ短期で差がつくと、6月は反動があるような気もしますが。
今は日米ともにリートは比較的堅調で大崩れしていませんが、本格的なリスクオフ局面ではリートは大崩れしてきた資産クラス(サブプライムバブル崩壊時には日米ともに高値から3分の1以下の水準に暴落)。
今リートがほとんど崩れていないということは、今のところ大したリスクオフ局面でない、可能性もあります。
もしもリートが大きく崩れ出したら怖いかも。
以下、個人的に気にしているJ-リートの利回り。
Jリートは東京圏に一極集中しがちで、そのリスクも考え【3226】【8967】以外は東京圏への集中度が低めの銘柄をチェック。
※()内は約1ヶ月前の利回り
・日本アコモデーションファンド投資法人【3226】:3.39%(3.42%)
・フロンティア不動産投資法人【8964】:4.58%(4.53%)
・日本ロジスティクスファンド投資法人 【8967】:3.90%(3.96%)
・福岡リート投資法人 【8968】:4.22%(4.26%)
・ユナイテッド・アーバン投資法人【8968】:3.88%(3.91%)
先月は概ね利回り低下銘柄が多かった印象。
5銘柄の利回り平均は3.97%。
※データ元
★JAPAN-REIT.COM (2018.5.31時点)
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