為替レートの水準を推し量る一つの視点「実質実効為替レート」でドル水準を見てみます。
実質実効為替レートを確認するメリット
名目レートだけでなく「インフレ変動」や「貿易額」で調整を施した為替レート(=実質実効為替レート)も知っておくことで、現在の為替レートの水準を知る手掛かりになる、かも
実質実効為替レートとは
2019.10.23現在「1ドル=108円程度」のレートは「名目レート」です。
実質実効為替レートの「実質」は
「実質」→「インフレ変動(物価変動)で調整した」
の意味。
また、実質実効為替レートの
「実効」→「貿易額などに応じて加重平均して算出した」
の意味。
実質実効為替レートは単純な名目レートではなく、
各国のインフレ変動や貿易額に応じた調整を施した為替レート
のことで、一般的な名目レートでは把握しにくい
通貨の「実力」を推し量る指標
とする人もいます。
※詳しくは
●コトバンク:実質実効為替レート(ジッシツジッコウカワセレート)とは
●金融情報サイト:実効為替レート
●マネー研究所:実質実効レートで「円の真の実力」を知る
などを参照ください。
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実質実効為替レートの使い方の一例
一般的にはレートが高い方が通貨高、低い方が通貨安を意味します。
個人的な用い方で正しいかどうかはわかりませんが、わたしは一つの目安として、長期的な
「実質実効為替レート平均値」と「現在値」のズレ
を確認し、通貨の割安割高の目安として用いています。
●長期的な平均値より高い⇒通貨高?
●長期的な平均値の同じくらい⇒ふつう?
●長期的な平均値より低い⇒通貨安?
※適切な使い方かどうかは知りません
ドルの実質実効為替レートの推移
※出所:Real Broad Effective Exchange Rate for United States | FRED | St. Louis Fedより作成 ※グラフ期間:1994.1月~2019.9月
1994年以降の推移です。
この期間の
●長期平均:109.3<グレーのライン>
●中央値:109.6
です。
概ね「110程度」を中心とした「100~120」の範囲にあることが多いですが、逸脱している時期もあります。
※出所:Real Broad Effective Exchange Rate for United States | FRED | St. Louis Fedより作成 ※グラフ期間:1994.1月~2019.2月
●赤枠の時期⇒ドル高の時期?
●青枠の時期⇒ドル安の時期?
かも。
ドルの実質実効為替レートの現在
※出所:Real Broad Effective Exchange Rate for United States | FRED | St. Louis Fedより作成 ※グラフ期間:1994.1月~2019.9月
2019.9月のドルの実質実効為替レートは「118.82」でした。
長期平均:109.3
と比べると約8.7%高いところにあり、どちらかというと
ドル高
か。
10年移動平均からの視点
※出所:Real Broad Effective Exchange Rate for United States | FRED | St. Louis Fedより作成 ※グラフ期間:1994.1月~2019.9月
1994年からの長期平均ではなく10年移動平均からみたグラフ。
2014年11月以降5年近く移動平均の上方にあり、現在は「+12.4%」水準。
この視点でも今はドル高か?
もっとも前回、移動平均より下方にあった時期は約10年も続いており、仮に今後平均回帰するとしても、いつ平均回帰するかはまったく不明。
短期的な視点では役に立たず、ざっくりと長期的にみて今はどっち?的な視点に過ぎないと思われますが。
おわりに
9月中旬からFRBの資産は急ピッチで増加中。
加えて利下げも継続的に実施されれば、ドル高らしき水準は徐々に平均回帰していくかもしれない・・・
個人的に長期視点では今、そういうスタンスでみていますが果たして。
とりあえず長期的な実質実効為替レート的にはドル高っぽい現状。
ドル建て資産を買う絶好のチャンス(1995年、2011年頃のような)ではなさそうな状況が継続。
また今日はペンス副大統領が
「米中関係の将来」
というテーマで演説される模様。
勝手にイベントとみなし今回は結局日経平均オプション買いの両建て(ややプット強め)で臨んでいますが、相場は動くか、あまり反応せず地味に損するかどうか。
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