昨年後半は下火だった「米国景気に対する悲観論」がやや増えてきた模様。
「米国景気は持ちこたえられるか」
をテーマに株価と「実質個人消費支出」を見てみます。
「実質個人消費支出」とは
個人消費は米国GDPの約7割を占め、米国の経済成長やGDPの動向を最も大きく左右する要因といえそう。
実質個人消費支出は物価調整後の個人消費。
この推移を確認していれば、米国景気動向をつかみやすいかも。
以下、2003年以降の実質個人消費支出の前年同月比(%)です。
グレーの時期が景気後退期。
※出所:Real Personal Consumption Expenditures (PCEC96) | FRED | St. Louis Fedより作成
景気後退期にかけて低下トレンドが継続。
前回の景気後退期では「-2%」程度までマイナスになっています。
S&P500と実質個人消費支出
※出所:Real Personal Consumption Expenditures (PCEC96) | FRED | St. Louis Fed、S&P500 過去のレート - Investing.comより作成
2003年以降のS&P500(赤)と実質個人消費支出(黒)の推移。
実質個人消費支出が前年比2%を超えている時期、米国株は比較的安心して投資しやすい?という印象。
最新データの2020年1月は「+2.7%」。
1月までは米国景気は堅調だったと思われます。
このグラフから気になる点を二つ。
前回の景気後退期
※出所:Real Personal Consumption Expenditures (PCEC96) | FRED | St. Louis Fed、S&P500 過去のレート - Investing.comより作成
前回の景気後退(①の時期)では
★2007年から+2%割れ、低下トレンド
★2008年前半に一時的に踏みとどまるも、年後半は低下ペースが加速、マイナス圏へ
★2009年4月の「-2.35%」をボトムに景気回復
という流れ。
株価はやや先に底打ちしていますが、概ね株価も実質個人消費支出と似たトレンドを描いています。
2018年10~12月の動き
最近の株安時期である2018年10~12月(②の時期)では、実質個人消費支出も減少しています。
2018年10月「+3.23%」⇒2018年12月「+1.69%」
と大幅に数値は低下。
いわゆる逆資産効果の影響かもしれません。
※資産効果:資産の保有が消費支出に及ぼす効果のことで,所得が同一であれば,保有する資産が多いほど消費者は消費支出を高めることになるというもの
おわりに
実質個人消費支出がらみで個人的に感じること。
★近年の経験則に過ぎませんが、米国株価が軟調でも実質個人消費支出(前年同月比)が「+2%」以上の時期は比較的安心感があるか
★株価下落
⇒(逆資産効果)
⇒実質消費支出の減少(企業収益減少)
⇒株価下落
⇒(逆資産効果)
⇒実質消費支出の減少(企業収益減少)
⇒株価下落・・・
この悪循環の長期化が最も恐ろしい展開か。
とりあえず2020年2月以降の実質個人消費支出の推移は気になるところ。
「株価下落+新型コロナ」
という消費支出に悪影響がある要因が影響したデータが出てくるはず。
株価が踏みとどまり新型コロナ禍が早期に収束すれば大丈夫かもしれませんが、予想外に影響が長期化すれば、景気後退する可能性も無きにしもあらずか。
とりあえず予断を持ちすぎず、事実確認やポジティブ、ネガティブ、両面のシナリオへの対応力が大事と思われる局面か。
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