先週の米国市場を
「米国株式の割安割高を判断する目安」
になると思われる指標などで概観してみます。
ごく簡単な米国市場の概観
<先週のS&P500>
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
5.15は「2864」。前週末比「-2.3%」。
5月月間では今のところ「-1.7%」。
2020.2月の最高値「3394」から「-15.6%」の水準。
<先週の米国10年国債利回り>
5.15は「0.64%」。前週の「0.69%」より低下。
定点観測
以下の4つで定点観測してみます。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>
恐怖指数
<1990年~>
<先週>
5.15は「31.89」。前週の「27.98」より上昇。
長期的にはやや高水準。
水準としては長期平均(「19.3」)より高く、米国の市場心理は
不安?
と推測。
割安時期の目安の「30」以上。
※参考:2018年以降の高い値(場中含む。概算値)
・2018.2月:「50」
・2018.10月:「29」
・2018.12月:「36」
・2019.5月:「23」
・2019.8月:「25」
・2020.3月:「85」
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
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ジャンク債スプレッド
ジャンク債スプレッドとは
①ジャンク債スプレッド
=米国のハイ・イールド債(格付け:BB)の利回り-米国債(10年物)の利回り
※本記事ではオプション調整後
②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④★平均値(幾何平均):3.3
★中央値:3.2
<期間:1997.1月~2020.4月の月末>
推移グラフと現在の状況判断
<1997年以降>
※出所:ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fedより作成 ※期間:1997.1月末~2020.5.14
2020.5.14時点のジャンク債スプレッド(格付けBB、オプション調整後)は「5.59」で、前週の「5.37」より上昇。
スプレッドの長期平均は「3.3」で今は大幅に上回っており、投資家心理は不安?か。
<ここ1年>
※出所:ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fedより作成
●FRB、無制限の量的緩和(2020.3.23頃)
●FRB、ジャンク債(BB格まで)を購入(2020.4.9頃)
を契機に今のところBB格のスプレッド拡大は押さえ込めている印象。
長期的には高水準。
<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
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S&P500のPBR
※出所:S&P 500 Price to Book Value
1999年末~直近のS&P500のPBRの推移です。
5.15時点の推計値は「3.13」。前週の「3.20」より低下。
この期間の中央値「2.77」を13.0%ほど上回っており、現在株価は
やや割高
か。
※最近のS&P500の高PBR
①2018.1.26:3.60倍
②2018.9.21:3.51倍
③2020.1.17:3.76倍
※出所:S&P 500 Price to Book Value
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
米国バフェット指標
米国バフェット指標とは
①米国バフェット指標=米国の時価総額÷米国の名目GDP
②米国株式の割安割高を判断する目安
③米国の時価総額=NYSE+Nasdaqで計算
推移グラフと現在の状況判断
米国の時価総額は2020年1月末で約「36.7兆ドル」。
2020年1月末の米国バフェット指標は「1.64」。
今のS&P500は1月末より11%ほど低い水準。
長期の米国バフェット指標の中央値「1.33」より高い可能性が高く、株価水準は
やや割高?
か。
※2020年2~3月のWFEの米国時価総額データは誤りである可能性が高く、今は使用せず。2020年1月のデータからの適当な推測です。ご参考までに
※データ出所:https://www.world-exchanges.org/、世界経済のネタ帳のデータより作成
※2020年米国名目GDP:22.32兆ドル(IMF推計)
米国バフェット指標について詳しくはコチラ↓
現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安時期の可能性
★ジャンク債スプレッド⇒割安時期の可能性
★S&P500のPBR⇒やや割高?
★米国バフェット指標 ⇒やや割高?
以上から米国株の水準は
ふつう~やや割高?(投資タイミングとして、ふつう~ややネガティブ?)
と推測。
また
★米国の金融政策:緩和的(ポジティブ要因?)
★米国の景気 :悪化傾向(ネガティブ要因?)
と推測。
株価水準、金融政策、景気動向から考え、現時点で米国株の投資タイミングに関して
株価水準としてはさほど魅力的ではなく、不確実性は高く、控えめなリスクテイクが無難か。
※個人の感想です。未来は誰にも予知できません。投資は自己判断、自己責任で
最近のバブル崩壊後の株価低迷期と現在のデータ比較
※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTE、https://www.world-exchanges.org/ ・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg ・かい離率:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
先週はリスクオフ。
・恐怖指数、ジャンク債スプレッド:高水準
・S&P500のPBR、シラーPER:割安感減退
・米国失業率:大きく上昇
米国、新型コロナ新規感染者数
※出所:https://news.google.com/covid19/map?hl=ja&gl=JP&ceid=JP%3Aja&mid=%2Fm%2F09c7w0
米国死者数:89932人(上記サイトで2020.5.18時点のデータ)。
おわりに
記事より引用。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)がさらに深刻化した場合、株式などの資産価格は「大幅に下落」する恐れがあるとして強い警戒感を示した。中でも商業用不動産市場が大きく打撃を受けるとしている
(中略)
特に商業用不動産は「パンデミック前の時点で、ファンダメンタルズに照らした価格が高かった」ためバリュエーションが低下しやすい
S&P 先進国 REIT指数(除く日本)では商業用不動産は全体の16%程度まで比率を減らしていますが、今後さらに減っていくことになるでしょうか。