先週の米国市場を
「米国株式の割安割高を判断する目安」
になると思われる指標などで概観してみます。
ごく簡単な米国市場の概観
<先週のS&P500>
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
4.23は「4180」。前週比「-0.1%」。
4月月間では「+5.2%」。
最高値は2021年4月の「4194」。
<先週の米国10年国債利回り>
4.23は「1.56%」。前週の「1.59%」から低下。
先週は
★株価⇒横這い
★債券利回り⇒低下
★ドル指数⇒低下
という動きでした。
定点観測
以下の4つで定点観測してみます。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>
恐怖指数
<先週>
4.23は「17.33」。前週の「16.25」より上昇。
水準としては長期平均(「19.3」)よりやや低く、米国の市場心理は
やや安心?
と推測。
割安時期の目安の「30」より低い水準。
※参考:2018年以降の高い値(場中含む。概算値)
・2018.2月:「50」
・2018.12月:「36」
・2020.3月:「85」
・2020.10月:「41」
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
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ジャンク債スプレッド
本記事のジャンク債スプレッドとは
①ジャンク債スプレッド
=米国のハイ・イールド債(格付け:BB)の利回り-米国債(10年物)の利回り
※本記事ではオプション調整後
②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④★平均値(幾何平均):3.3
★中央値:3.2
<期間:1997年1月~2021年3月の月末>
⑤5%以上のスプレッドの時期に株価は概ね割安か?
推移グラフと現在の状況判断
<1997年以降>
※出所:ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fedより作成 ※期間:1997.1月末~2021.4.22
4.22時点のジャンク債スプレッド(%。格付けBB、オプション調整後)は「2.41
」で、前週の「2.35」よりやや拡大。
※コロナ前のボトムは1.9%程度
※直近ボトムは21.4.16の「2.31%」
スプレッドの長期中央値は「3.2」で今は中央値より約25%低い水準。
投資家心理は
やや楽観?
か。
<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
S&P500のPBR
※出所:S&P 500 Price to Book Valueより作成
1999年末~直近のS&P500のPBR推移。
4.23時点の推計値は「4.54」(前週は「4.55」)倍で前週よりやや低下。
ITバブル以来の高水準。
コロナ後のピーク付近。
長期の中央値「2.78」を63%ほど上回っており、株価水準は
割高
か。
※最近のS&P500の高PBR
①2018年1月:3.60倍(直近で世界景気が最もよかった時期)
②2018年9月:3.51倍(直近で米国の経済成長率が最も高かった時期)
③2020年1月:3.76倍(コロナ前、2019年9月以降の世界景気拡大期のピーク)
④2021年4月:4.55倍(コロナ後)
※出所:S&P 500 Price to Book Value
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
米国バフェット指標
米国バフェット指標とは
①米国バフェット指標=米国の時価総額÷米国の名目GDP
②米国株式の割安割高を判断する目安
③米国の時価総額=NYSE+Nasdaqで計算
推移グラフと現在の状況判断
米国の時価総額は2021年2月末で約「45.1兆ドル」。
米国バフェット指標は「2.06」。
米国バフェット指標の10年移動平均「1.50」より約37%高い水準。
今のS&P500は2021年2月末(3811)より10%ほど高い水準。
株価水準は
割高?
か。
※データ出所:https://www.world-exchanges.org/、世界経済のネタ帳、Gross Domestic Product (GDP) | FRED | St. Louis Fedのデータより作成
※2021年米国名目GDP推計値:21.92兆ドル
米国バフェット指標について詳しくはコチラ↓
現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安ではない?
★ジャンク債スプレッド⇒割安ではない?
★S&P500のPBR⇒割高?
★米国バフェット指標 ⇒割高?
以上から米国株の水準は
割高?
と推測。
現時点での米国株の投資タイミングに関しては
ややネガティブ~ネガティブ?
な印象。
※個人の直感、感想です。先のことは不明。投資は自己判断、自己責任で
最近のバブル崩壊後の株価低迷期と現在のデータ比較
※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTE、https://www.world-exchanges.org/ ・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg ・かい離率:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
引き続き割高っぽい状況。
・S&P500のPBR、シラーPER:高水準
米国 30年物住宅固定金利
米国住宅市場に影響が大きそうな米国の30年物住宅固定金利。
4.22は「2.97%」(前週比-0.07%)。
上昇傾向はいったん終了、3週連続で低下。
2021.1.7の直近ボトム「2.65%」と比べると「+0.32%」。
コロナ前の2020年1月頃は3.5%以上。
<米国 30年物住宅固定金利:ここ5年>
※出所:30-Year Fixed Rate Mortgage Average in the United States (MORTGAGE30US) | FRED | St. Louis Fedより
おわりに
上記記事より引用。
ウォール街の弱気派は、株価が過去最高値を更新しバリュエーションが20年ぶりの高水準付近にあるにもかかわらず、積極的な姿勢を取り戻していない
上記記事によれば昨年来の度重なる打撃で株高にもかかわらず弱気派のスタンスが弱気であるとのこと。
古典的な相場格言
人の行く裏に道あり 花の山
に従うならそろそろ弱気派にも春がやってくるのかもしれませんが、はたして。
一般的には
★仮に今がバブルであったしても、それがいつはじけるかは予測困難であること
から、弱気風に吹かれた場合でも
①「リスク資産への配分を控えめにする」
②「リスク資産への配分比率は変えないが、資産の一部に先物等でヘッジをかけておく」
③「少し期先の日経平均プットオプションや恐怖指数ロングポジション(1552など)をごく少額買って、空売り願望を抑える、あるいは暴落による棚ぼたを期待する」
程度の対策が無難か。
個人的にも長期投資に関しては今は積極的には売り込まず、③の対策をごく少額行いつつ、昨年春に少し買ったリートの分配金獲得やちまちまリバランスを楽しむ程度。
ロングショートに関しては今年はボチボチ。
わたしがショート部門で関わっている日本の中小型株は4月中旬からかなり弱含んできている印象。