米国リートの割安割高を探ってみる記事。
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米国リートスプレッド
米国リートの割安割高の判断の目安の一つとしてわたしは米国リート(IYR)と米国の長期国債利回りの差(スプレッド)を確認しています。
本記事では
「IYRの平均利回り-米国国債利回り(10年物)」
のことを「米国リートスプレッド」とします。
クレジットスプレッドと同じような発想で、「米国リートの利回り」と「長期国債の利回りの差」が
・大きいほど米国リートは割安
・小さいほど米国リートは割高
とみなす見方です。
※IYRの利回りは過去1年間の分配金で算出
※「米国リートスプレッド」は一般的な用語ではありません
※クレジットスプレッドについてはコチラ↓
最新の米国リートスプレッド
次に米国リートスプレッド
●【IYRの利回り-米国債10年物の利回り】
の推移を確認してみます。
期間は2002年9月~2022年4月末です。
※出所:iShares U.S. Real Estate ETF (IYR) Stock Price, News, Quote & History - Yahoo Finance、アメリカ 10年 債券利回り - Investing.com より作成
2002年9月以降の中央値は約「1.1%」。
2022年4月末は約「-0.6%」でした。
・IYRの利回り:2.30%
・米国債10年物の利回り:2.94%
2022年3月末のスプレッドは「-0.1%」だったので、4月にスプレッドのマイナス幅が大きく拡大。
4月末の「-0.6%」は中央値「1.1%」より小さく水準としては米国リートは
割高?
と推測。
参考①:米国リートスプレッドとS&P500の推移
※出所:iShares U.S. Real Estate ETF (IYR) Stock Price, News, Quote & History - Yahoo Finance、アメリカ 10年 債券利回り - Investing.com 、S&P500 インデックス(SPX) - Investing.comより作成
※期間:2002.9~2022.3
あくまで近年の経験則ですが、米国リートスプレッドが概ね2%以上の時期にS&P500は低迷し、割安であったことが多いもよう。
参考②:「米国リート」と「米国10年国債」過去の利回り
下記グラフは2002年9月末~2022年4月末の米国リートと米10年国債の利回りの推移を示したもの。
※出所:iShares U.S. Real Estate ETF (IYR) Stock Price, News, Quote & History - Yahoo Finance、アメリカ 10年 債券利回り - Investing.com より作成
米国リートの利回りは月末値では
・ITバブル崩壊後:約7%
・リーマンショック後:約12%
・欧州債務危機、チャイナショック、コロナショック:4.0~4.5%
まで上昇。
ほとんどの時期で
「米国リートの利回り」>「米国債の利回り」
ですが、2005年7月~2007年10月は2年以上
「米国リートの利回り」<「米国債の利回り」
となっています。
いわゆる住宅バブルの時期。
あとがき
2022年4月末の米国リートスプレッドは約「-0.6%」で、2005~2007年の住宅バブル以来の低水準となっています。
※出所:iShares U.S. Real Estate ETF (IYR) Stock Price, News, Quote & History - Yahoo Finance、アメリカ 10年 債券利回り - Investing.com より作成
今のIYRの利回り「2.30%」は10年物でなく米2年物の国債利回り(約2.7%)よりもさらに低く、確実性の高い国債投資による利回り獲得を企図するより、一般的にはよりリスキーな
リート価格の値上がり
に期待する投資家の値付けとなっており、おそらく長期的一般的にはあまりお目にかかれないバブリーな状況とはいえそう。
ただ、米住宅価格は前年より20%ほど上昇している状況であり(参照:S&P/Case-Shiller 20-City Composite Home Price Index )、この状況が
☆住宅バブルの時のように長期化するのか
☆金利上昇を嫌気し、リート価格の下落などで短期間で解消されるのか
どうなりますか。
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