「景気後退」と「株価」について視覚的に、簡単に。
景気後退の何が問題なのか
来年2023年は世界的な景気後退の年になる・・・
そんな記事もよく見かけますが、景気後退の何が問題なのか。
一般的には景気後退のネガティブ面として
失業、賃金減少、社会不安、戦争リスクの上昇など
があげられそうですが、投資家目線では
景気後退⇒信用リスク上昇・企業利益減少⇒株価・リスク資産価格下落
そこらへんが景気後退の怖いところ。
ナスダック総合、直近7回の景気後退期の動き
※出所:NASDAQ Composite Index (NASDAQCOM) | FRED | St. Louis Fed
1971年以降のナスダック総合、月足データ。
グレー部分が景気後退期。
※このサイトではS&P500は2012年以降しかデータがなかったのでナスダック総合を採用
このグラフでは1970、1980年代の変化がよくわからないので、1971~1995年、1995~2022年に分けて観察。
ナスダック総合、1971~1995年、4回の景気後退期の動き
※出所:NASDAQ Composite Index (NASDAQCOM) | FRED | St. Louis Fedより作成
グレー部分が景気後退期。
この4回を観察して気づくこと。
A:景気後退期にずっと株価が下げているわけではない
B:景気後退開始時と終了時で比較すると、①は終了時の方が開始時より株価が低いが、②~④では株価は景気後退終了時の方が開始時よりも高い
C:景気後退前後でみると、4回とも、景気後退の途中に株価は底値をつけている
「株を買うなら景気後退期の途中がベター?」
という経験則はこの4回には妥当でした。
ナスダック総合、1995~2022年、3回の景気後退期の動き
※出所:NASDAQ Composite Index (NASDAQCOM) | FRED | St. Louis Fedより作成
グレー部分が景気後退期。
この3回を観察して気づくこと。
A:景気後退期にずっと株価が下げているわけではない
B:景気後退開始時と終了時で比較すると、⑥は終了時の方が開始時より株価が低いが、⑤⑦では株価は景気後退終了時の方が開始時よりも高い
C:景気後退前後でみると、⑥⑦は、景気後退の途中に株価は底値をつけている。
⑤は特殊で、景気後退が終わって10ヶ月後に株価はボトムをつけている
また景気後退前に株価は大幅に下落している
「株を買うなら景気後退期の途中がベター?」
という経験則はこの3回のうち2回には妥当でした。
⑤は特殊で
・「景気後退前に株価は大幅に下落」
・「株価のボトムは景気後退終了して10ヶ月後」
⑤はITバブルの崩壊期の一部で、それだけナスダック総合が異様な暴騰と暴落をしていたということでしょうか。
まとめ
☆ナスダック総合(S&P500ではない)
でみた直近7回の景気後退期と株価の関係を観察してみました。
例外はありますが個人的には
☆景気後退期が終わるころには株価は底打ちしていることが多い
☆株を買うなら景気後退期の途中がベター?
こういった経験則はそれなりに説得力がある、かもしれません。
ただ、
☆いつからいつまでが景気後退期なのか、リアルタイムでは正確にわからない
☆経験則は経験則であり、今後も役立つ仮説かどうかは不明
☆景気後退終了後に再度株価が下げることもある
そんな問題点はあります。
とりあえず今回の観察ではやはり、景気後退は投資家にとって怖い、と経験的にはいえそう。
そして
景気後退はFRBの利上げモードが終わるころ、あるいは終わってしばらくしてから始まる
というのが、近年の経験則。
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