ジャンク債と国債利回りの差から現状の俯瞰を試みる記事。
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格付けCCC以下債券との利回り差
最も信用度の低いCCC以下格付け社債の利回りと国債利回りの差(クレジットスプレッド)の推移を観察。
一般に、スプレッドが大きいときはリスクオフ、スプレッドが小さいときはリスクオン。
※クレジットスプレッドについて詳しくは↓↓
※データ、グラフ
・CCC以下の債券利回りと国債利回りのスプレッド
ICE BofA CCC & Lower US High Yield Index Option-Adjusted Spread (BAMLH0A3HYC) | FRED | St. Louis Fed
・S&P500
現状のスプレッド
直近のスプレッドは12.0%。
1997年以降の中央値は9.7%で、中央値よりやや高い、やや悲観に偏った水準。
直近の楽観のピークは2021年6月の5.8%。
悲観のピークは2022年9月の12.8%。
10月以降やや楽観方向に動いています。
12%水準という不吉な水準
1997年以降、今と同じ12%水準を超えてきたタイミングを確認してみると、不吉な時期が多いです。
1998.9はロシア危機。
1999.9はITバブルピークの少し前。
2008.3は世界金融危機の少し前。
2011.8は欧州債務危機。
2015.9はチャイナショック。
2020.2はコロナショック。
「火がないところに煙は立たない」ではないですが、この期間の経験上、何も不安要素がなければ、まずこの水準までスプレッドは拡大しません。
この水準まで拡大しているということは、現在の景気悪化や金利上昇によって低格付け企業社債への信用度が低下してきていると解釈できます。
問題は、その信用度の低下が2022年9月の12.8%で収まったのか、収まらないのか。
個人的にはこれだけ景気が悪化しているのに、欧米はまだ金融引き締め路線で景気はしばらくさらに悪化するであろうから、信用度はさらに下がりやすい。
すなわち何かが壊れ、リスクオフになびきやすそうな雰囲気も感じます。
一方米国インフレピークアウト感や中国コロナ政策転換期待などで楽観する動きもあり、先のことは不明、投資は自己責任で。
スプレッドと株(S&P500)の前年比
スプレッドとS&P500(前年同月比)の1997年~2022年10月の推移です。
この期間の両者の相関係数は「-0.75」で、強い負の相関関係。
スプレッドが拡大していく時期に株価は下げやすく、スプレッドが縮小していく時期に株価は上げやすい傾向がありました。
今回は①②のようなおおごとになるか、③④程度で済むか、興味深い状況。