失業率は 遅行 する か
「失業率」と「失業保険継続受給者」と「臨時ヘルプサービス」の変動の時間的ズレの観察。
「失業率」と「失業保険継続受給者」
※出所:Unemployment Rate (UNRATE) | FRED | St. Louis Fed、Continued Claims (Insured Unemployment) (CCSA) | FRED | St. Louis Fedより作成
1995年以降の「失業率」と「失業保険継続受給者」。
失業率は左軸でブルー。
失業保険継続受給者は右軸でピンク。
概ね連動していますが動き出しの時期が早いのは「失業保険継続受給者」、遅いのは「失業率」。
上記は「失業率上昇、失業保険継続受給者増加の時期」をみていますが、失業率が低下する時期も失業保険継続受給者(ピンク)の方が先に減少する傾向が確認されます。
この時期の傾向としては
失業率は失業保険継続受給者に遅行する
といえそう。
この経験通りだと、失業保険継続受給者が増加しだしてる今、今後失業率は上昇しそう。
「失業率」と「臨時ヘルプサービス」
※出所:Unemployment Rate (UNRATE) | FRED | St. Louis Fed、All Employees, Temporary Help Services (TEMPHELPS) | FRED | St. Louis Fedより作成
1995年以降の「失業率」と「臨時ヘルプサービス(以下:テンプ)」。
失業率は左軸でブルー(数値はマイナス反転させています)。
テンプは右軸でピンク。
テンプはいわゆる「人材派遣サービス」
景気がよければ人材派遣は増加、悪ければ人材派遣は減少。
「正規雇用」より「テンプ」の方がより流動性が高く、景気変動に敏感に反応すると思われ、「失業率」より米国労働市場に対する感度が高い可能性があります。
概ね連動していますが動き出しの時期がやや早いのは「テンプ」、遅いのは「失業率」。
上記は「失業率上昇、テンプ減少の時期」をみていますが、失業率が低下する時期(上記グラフだと上方向)もテンプ(ピンク)の方が先に増加する傾向が確認されます。
この時期の傾向としては
失業率はテンプに遅行する
といえそう。
この経験通りだと、テンプが減少しだしてる今、今後失業率は上昇しそう。
「テンプ」と「失業保険継続受給者」
※出所:All Employees, Temporary Help Services (TEMPHELPS) | FRED | St. Louis Fed、Continued Claims (Insured Unemployment) (CCSA) | FRED | St. Louis Fedより作成
最後に「テンプ」と「失業保険継続受給者」を比較。
1990年以降の「テンプ」と「失業保険継続受給者」推移。
テンプは右軸でピンク(数値はマイナス反転させています)。
失業保険継続受給者は左軸でブルー。
概ね連動。
明確にどちらが先に動き出すとは言いにくい関係性。
一つだけでなく両者の動きを確認すると判断の精度が上がりそう。
ちなみに1990年以降では「テンプ急減+失業保険受給者急増」の時期は必ず景気後退しています。
今はやや怪しい時期。
まとめ
自分でデータをまとめて観察しているとどうにも失業率の動きが鈍い感じがして他の二つの指標と比較してみました。
感触通り、1990年以降では、失業率はテンプや失業保険受給者の動きに遅行する傾向がありそう。
またテンプや失業保険受給者の動きは、どちらかのデータをマイナス反転させると、似たような動きを見せており、両者を観察することで米国労働市場の動向観察の精度は上がりそう。
今後
「テンプ急減+失業保険受給者急増」
それらに追随する失業率急上昇
そんなことが起きるのか。
ごく地味な「テンプ減少+失業保険受給者増加」
ですみ、いわゆるソフトランディングで景気も株価も回復していくのか。
いずれにしてもたまにしかないほんとに警戒すべき時期、という印象。
参考