引き続き米銀の貸し出し態度はしぶそう。
銀行の貸出態度とは
銀行には
「貸出審査が甘い時期」
「貸出審査が厳しい時期」
があります。
一般に
☆景気が悪い時期
☆近未来の景気悪化が予期される時期
☆銀行自体の経営不安、財務不安がある時期
☆信用不安、金融危機の時期
などに銀行は貸し出しを渋り、貸出審査を厳しくする傾向があるようです。
このような時期は
「貸したお金が約束通り返済されない可能性が高まること」
や
「銀行自体に貸し出す余裕がないこと」
などが主要因で、貸出審査が厳しくなると思われます。
米国にはFRBが四半期ごとに公表する銀行融資担当者調査というものがあり、この調査により1990年以降の米銀の貸出態度を数値的に知ることができます。
米銀貸し出し態度(小企業向け)の長期推移
本記事では小企業向けの貸出態度の数値を使用。
数値が大きいほど貸出態度が厳しく、小さいほど審査が甘い、「0」はどちらでもない状態。
この30年あまりで貸出態度が最も厳しかったのは2008年3Q金融危機の頃の「74.5」。
最も貸出態度が緩かったのは2021年2Qコロナバブルの頃の「-25.7」。
1990年1Q~2023年1Qの中央値は「-1.5」、単純平均は「6.0」。
米銀貸し出し態度(小企業向け)の最新データ
2023年第1四半期は「46.0」。
前期の「43.8」より貸出態度は厳しくなり、水準としても過去4回の景気後退期(グレーの時期)のうち2回とほぼ同水準。
過去30数年で4番目くらいに厳しい状態といえます。
貸出態度とS&P500
※出所:Net Percentage of Domestic Banks Tightening Standards for Commercial and Industrial Loans to Small Firms (DRTSCIS) | FRED | St. Louis Fed、S&P500 過去のレート - Investing.comより作成
※期間:1990.1~2023.3
上記は貸出態度とS&P500(前年同月比%:数値マイナス反転)の長期推移。
過去の経験では概ね
☆貸出態度が厳しくなる⇒S&P500は下落しやすい
☆貸出態度が緩くなる⇒S&P500は上昇しやすい
という傾向があり、貸出態度の厳格化に遅行してS&P500は下がってきやすいもよう。
おわりに
2023年3月の上記記事で貸出態度と米国失業率、経済成長率、株価にからめて
貸出態度の厳格化は実体経済を減速させ、株価を下落させる、傾向があるようです(タイムラグがあることも)
と書いていました。
いつもの繰り返しですが、過去の経験はあくまで過去の経験。
今回は2022年第2四半期に貸出態度が20をこえて明確に厳格化していても、失業率は上がらずむしろ低下しており、これを単にタイムラグとみなしてよいのか、今回は違うのか、わたしにはわかりません。
それでも一応基本に忠実に、個人的には要警戒期とみなしていますが、どうなっていきますか。