ユキマツの「長期投資のタイミング」

「景気(企業利益動向)」「中銀の金融政策(金利動向)」「投資家のリスク許容度」などから長期投資のタイミングを探る投資ブログ

米銀貸し出し態度の厳しさ 過去30数年で4番目 

引き続き米銀の貸し出し態度はしぶそう。

銀行の貸出態度とは

銀行には

「貸出審査が甘い時期」

「貸出審査が厳しい時期」

があります。

一般に

☆景気が悪い時期

☆近未来の景気悪化が予期される時期

☆銀行自体の経営不安、財務不安がある時期

☆信用不安、金融危機の時期

などに銀行は貸し出しを渋り、貸出審査を厳しくする傾向があるようです。

このような時期は

「貸したお金が約束通り返済されない可能性が高まること」

「銀行自体に貸し出す余裕がないこと」

などが主要因で、貸出審査が厳しくなると思われます。

米国にはFRBが四半期ごとに公表する銀行融資担当者調査というものがあり、この調査により1990年以降の米銀の貸出態度を数値的に知ることができます。

米銀貸し出し態度(小企業向け)の長期推移

※出所:Net Percentage of Domestic Banks Tightening Standards for Commercial and Industrial Loans to Small Firms (DRTSCIS) | FRED | St. Louis Fedより作成

本記事では小企業向けの貸出態度の数値を使用。

数値が大きいほど貸出態度が厳しく、小さいほど審査が甘い、「0」はどちらでもない状態。

この30年あまりで貸出態度が最も厳しかったのは2008年3Q金融危機の頃の「74.5」。

最も貸出態度が緩かったのは2021年2Qコロナバブルの頃の「-25.7」。

1990年1Q~2023年1Qの中央値は「-1.5」、単純平均は「6.0」。

米銀貸し出し態度(小企業向け)の最新データ

※出所:Net Percentage of Domestic Banks Tightening Standards for Commercial and Industrial Loans to Small Firms (DRTSCIS) | FRED | St. Louis Fedより作成

2023年第1四半期は「46.0」。

前期の「43.8」より貸出態度は厳しくなり、水準としても過去4回の景気後退期(グレーの時期)のうち2回とほぼ同水準。

過去30数年で4番目くらいに厳しい状態といえます。

貸出態度とS&P500

※出所:Net Percentage of Domestic Banks Tightening Standards for Commercial and Industrial Loans to Small Firms (DRTSCIS) | FRED | St. Louis FedS&P500 過去のレート - Investing.comより作成

※期間:1990.1~2023.3

上記は貸出態度とS&P500(前年同月比%:数値マイナス反転)の長期推移。

過去の経験では概ね

☆貸出態度が厳しくなる⇒S&P500は下落しやすい

☆貸出態度が緩くなる⇒S&P500は上昇しやすい

という傾向があり、貸出態度の厳格化に遅行してS&P500は下がってきやすいもよう。

おわりに

www.yukimatu-value.com

2023年3月の上記記事で貸出態度と米国失業率、経済成長率、株価にからめて

貸出態度の厳格化は実体経済を減速させ、株価を下落させる、傾向があるようです(タイムラグがあることも)

と書いていました。

いつもの繰り返しですが、過去の経験はあくまで過去の経験。

今回は2022年第2四半期に貸出態度が20をこえて明確に厳格化していても、失業率は上がらずむしろ低下しており、これを単にタイムラグとみなしてよいのか、今回は違うのか、わたしにはわかりません。

それでも一応基本に忠実に、個人的には要警戒期とみなしていますが、どうなっていきますか。

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