ユキマツの「長期投資のタイミング」

「景気(企業利益動向)」「中銀の金融政策(金利動向)」「投資家のリスク許容度」などから長期投資のタイミングを探る投資ブログ

5.8%成長で「利下げ」はない? ~米国市場の概況~

先週の米国市場を株式の割安割高を判断する目安になると思われる指標などで概観してみます。

簡単な米国市場の概観

<S&P500>

※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com

直近値は「4370」で前週比「-2.1」。

8月月間では今のところ「-4.8」。

2022年1月の最高値「4819」より「-9.3」%水準。

<米国10年国債利回り>

※出所:米国 10年 | 米国 10年 債券利回り

直近値は「4.25%」(前週は「4.16%」)。

先週は

★株価⇒下落

★債券利回り⇒上昇

★ドル指数⇒上昇

という動きでした。

定点観測

以下の4つで定点観測してみます。

恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>

ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>

S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>

シラーPER

恐怖指数

<ここ5年>

※出所:S&P 500 VIXインデックス

直近値は「17.30」(前週は「14.84」)。

水準としては長期平均(「19.3」)より低く、米国の市場心理は

やや安心?

と推測。

※参考:2018年以降の高い値(場中含む。概算値)

・2018.2月:「50」

・2018.12月:「36」

・2020.3月:「85

・2020.10月:「41」

・2022.1月:「39」

<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>

www.yukimatu-value.com
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ジャンク債スプレッド

本記事のジャンク債スプレッドとは

①ジャンク債スプレッド

米国のハイ・イールド債(格付け:BB)の利回り-米国債(10年物)の利回り

※本記事ではオプション調整後

②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向

③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向

5%以上のスプレッドの時期に株価は概ね割安か?

推移グラフと現在の状況判断

※出所:ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fed

8.17のジャンク債スプレッド(%。格付けBB、オプション調整後)は「2.64」(前週は「2.50」)。

スプレッドの長期中央値は「3.11」で今は中央値より約-15%水準。

投資家心理は

やや楽観

か。

<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
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S&P500のPBR

※出所:S&P 500 Price to Book Value

1999年末~直近のS&P500のPBR推移。

直近の推計値は「4.18」倍(前週は「4.27」倍)。

長期の中央値「2.81」を49%ほど上回っており、株価水準は

割高

か。

※最近のS&P500の高PBR

①2018年1月:3.60倍(直近で世界景気がよかった時期)

②2018年9月:3.51倍(直近で米国の経済成長率が最も高かった時期)

③2020年1月:3.76倍(コロナ前、2019年9月以降の世界景気拡大期のピーク)

④2021年12月:4.73倍(コロナ後)

※出所:S&P 500 Price to Book Value

<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>

www.yukimatu-value.com

シラーPER

※出所:Shiller PE Ratioより作成 ※期間:1995.1~2023.5

1995年以降のシラーPERの推移。

1995年以降の中央値は「26.6」倍。

2023年6月までの5年移動平均は「31.5」倍。

 

直近値は約「30.1」倍(前週は「30.8」倍)。

長期の中央値より約13%高く、5年移動平均より約4%低い水準。

株価水準は

やや割高?

と推測。

※出所:Shiller PE Ratio

※参考:シラーPER(CAPEレシオ)とは|金融経済用語集 - iFinance

現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ

あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。

恐怖指数⇒割安ではない?

ジャンク債スプレッド⇒やや割高?

S&P500のPBR⇒割高?

☆シラーPER⇒やや割高?

長期的には米国株の水準は

やや割高~割高?

と推測。

※個人の直感、感想です。先のことは不明。投資は自己判断、自己責任で

近年のバブル期と「現在」のデータ比較

※表のデータ出所 ・OECD景気先行指数:OECD Data ・米国失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・マージンデット:Margin Statistics | FINRA.org ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg 

・ジャンク債スプレッド:やや割高水準か

・シラーPER:やや割高か

・S&P500のPBR:割高か

・マージンデット前年同月比:7月は久々に前年比でプラスに浮上

2018年との金利、物価、株価比較

前回FRBの「量的引き締め+利上げ」がセットで実施され、株式市場が大きく崩れ出したのが2018年10月頃。

当時と今の比較。()内は前週値。概算値。

FRBの利上げは11回、量的引き締めは2022年6月に開始。

②は先週上昇、2018年より「1.2%」高い水準。

③は先週上昇、2018年より「2.2%」高い状態。

④の7月データは6月より上昇。2018年より「0.7%」高い状態。

⑤のS&P500の下落幅は現在「9%」。

※データ出所

米国政策金利の推移|はじめてのFXなら外為どっとコム

アメリカ 10年 債券利回り - Investing.com

30-Year Fixed Rate Mortgage Average in the United States (MORTGAGE30US) | FRED | St. Louis Fed

S&P500 インデックス(SPX) - Investing.com

金融ストレス指数(ここ1年)

※出所:St. Louis Fed Financial Stress Index (STLFSI4) | FRED | St. Louis Fed

2023.8.11は「-0.68」(前週は「-0.77」)。

直近のボトム付近。

金融ストレス指数について

金融ストレス指数とは|インデックス(指数)用語集|iFinance

おわりに

<S&P500:ここ1年>

※出所:マーケット|SBI証券

緑ラインは200日移動平均線。

移動平均線はやや上向き。

直近値は200日線から「+5.8%」の水準(前週は+8.5%)。

 

※出所:GDPNow (GDPNOW) | FRED | St. Louis Fedより作成

上記は2011年以降の米国実質GDP成長率(前期比年率)。

2023.2Qは「+2.4%」。

2023.3Qの予測値は8.16時点で驚きの「+5.8%」。

コロナ前後の混乱期、2020~2021年を除けば、2011年以降で最も高い異常に高い数値。

もちろん単なる予測値であり、実際にどうなるかは不明ながら、米国経済の再加速感を如実に表す数値であり、この数値だけみると「利下げ」などナンセンス。

どう考えても「利上げ」がしっくりくる数値。

同時にインフレ再加速も懸念していい数値。

 

www.bloomberg.co.jp

2023.4Qに関しては最近ちらほらささやかれる米家計過剰貯蓄の枯渇ネタ、10月に再開するらしい米奨学金ローン返済ネタもあって、3Qの好調さは続かなさそうな雰囲気はあるものの、今の今においては、

2023年3月の銀行破綻を受けて金融緩和を過剰にやりすぎた

⇒AIブームも手伝って株高+経済再加速

⇒火消し的な再度の利上げに追い込まれる?

⇒リスクオフ

的な展開も危惧される状況。

3Q、予想通り景気過熱となり、4Qは急速に冷えるのか、引き続きドラマチックな2023年。

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