米国株と米国リートで
【利上げ+国債利回り上昇期】においてリートよりも株式の方が強い?
かどうかを検証する記事。
事前のイメージ
上記記事で
【利上げ+国債利回り上昇期】においてリートよりも株式の方が強いかどうか
について触れており、本記事で検証してみます。
調べる前のイメージではリートの方がより金利上昇に弱そうなので、株式の方が相対的に強そうな気がしますが、はたして。
「利上げ局面=10年債利回り上昇期」とは限らない
上記は2000年以降の米政策金利(FFレート、%、赤)と米10年債利回り(%、青、以下「利回り」と表記)を併記したグラフ。
赤線が上昇していく時期が利上げ局面で、2000年以降では2000年のものを除くと3回の利上げ局面があります。
2004年5月頃に始まる1度目の利上げ局面では、利上げ開始時点のFFレートは「0.99%」、米10年債利回りは「4.72%」。
利上げ終了の2006年7月時点で、FFレートは「5.24%」、利回りは「5.09%」。
2年2カ月ほどでFFレートは大幅に上がっていますが、利回りの上昇幅はわずか「0.37%」に過ぎず、利上げが10年債利回りの上昇にあまり寄与していません。
一方で2回目の利上げ局面では10年債利回りは「1.50%⇒3.15%」、3回目の利上げ局面(暫定的に2022.2⇒2023.8)では10年債利回りは「1.93%⇒4.17%」と大きく上昇しており、利上げが10年債利回りの上昇に大きく寄与していそう。
近年の3回の利上げ局面の観察からは
「利上げ局面=10年債利回り上昇期」とは限らない
といえそう。
本記事では「利上げ+国債利回り上昇期」である2回目(2016.7⇒2018.10)、3回目(暫定的に2022.2⇒2023.8)の利上げ時期の米国リート(IYR)と米国株式(S&P500)の動向を観察。
「2016.7⇒2018.10」の米国リート、米国株の変化
2016.7⇒2018.10の月末値での変化。
☆米国リート(IYR):85.4⇒78.1(-8.5%)
☆米国株式(S&P500):2174⇒2712(+24.7%)
この時期はIYRは不調、S&P500は絶好調。
株式の圧勝。
「2022.2⇒2023.8」の米国リート、米国株の変化
2022.2⇒2023.8の月末値での変化。
☆米国リート(IYR):101.7⇒85.3(-16.1%)
☆米国株式(S&P500):4374⇒4508(+3.1%)
この時期はIYRは絶不調、S&P500はやや上昇。
やはり株式の圧勝。
まとめ
検証前の予想通り、リートの方が10年債利回り上昇の影響を大きく受け、株式より弱そう、という結果。
「利上げ」はインフレ対策の場合もありますが、景気過熱を調整するために実施されることも多く、景気がいい時期に株式の成績が悪くないのはうなずける点。
また景気がいいというプラス要素と10年債利回り上昇というマイナス要素を比べると、リートに関してはマイナス要素の方が勝ってしまうことが多そう。
今回の検証から一つのロングショート戦略として
☆「利上げ+国債利回り上昇期」においてはS&P500をロング、IYRをショート
☆ロングショートの配分比率としては「S&P500:100」に対し「IYR:50~80」くらい
といったポジション構築もありかと思ったりしますが、今後の利上げ局面でうまくいくかは不明。
また、FRBの利上げがいつまでつづくか、10年債利回りがどこまで上昇するか、そういったことの未来は、過去データと異なり確実な予測はできないので、上記ロングショートにおいても目論見通りの結果とならない可能性もありそう。
※S&P500データ⇒S&P500 過去のレート - Investing.com
※IYRデータ⇒ETF iShares Dow Jones Us 過去データ - Investing.com
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