先週の米国市場を株式の割安割高を判断する目安になると思われる指標などで概観してみます。
簡単な米国市場の概観
<S&P500>
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
直近値は「4309」で前週比「+0.5%」。
10月月間では今のところ「+0.5%」。
2022年1月の最高値「4819」より「-10.6」%水準。
<米国10年国債利回り>
直近値は「4.80%」(前週は「4.58%」)。
先週は
★株価⇒上昇
★債券利回り⇒上昇
★ドル指数⇒横ばい
という動きでした。
定点観測
以下の4つで定点観測してみます。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★シラーPER
恐怖指数
<ここ5年>
直近値は「17.45」(前週は「17.52」)。
水準としては長期平均(「19.3」)よりやや低く、米国の市場心理は
やや安心?
と推測。
※参考:2018年以降の高い値(場中含む。概算値)
・2018.2月:「50」
・2018.12月:「36」
・2020.3月:「85」
・2020.10月:「41」
・2022.1月:「39」
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
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ジャンク債スプレッド
本記事のジャンク債スプレッドとは
①ジャンク債スプレッド
=米国のハイ・イールド債(格付け:BB)の利回り-米国債(10年物)の利回り
※本記事ではオプション調整後
②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④5%以上のスプレッドの時期に株価は概ね割安か?
推移グラフと現在の状況判断
※出所:ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fed
10.5のジャンク債スプレッド(%。格付けBB、オプション調整後)は「3.03」(前週は「2.80」)。
スプレッドの長期中央値は「3.11」で今は中央値より約-3%水準。
投資家心理は
ふつう~やや楽観
か。
<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
S&P500のPBR
※出所:S&P 500 Price to Book Value
1999年末~直近のS&P500のPBR推移。
直近の推計値は「4.12」倍(前週は「4.10」倍)。
長期の中央値「2.81」を47%ほど上回っており、株価水準は
割高
か。
※最近のS&P500の高PBR
①2018年1月:3.60倍(直近で世界景気がよかった時期)
②2018年9月:3.51倍(直近で米国の経済成長率が最も高かった時期)
③2020年1月:3.76倍(コロナ前、2019年9月以降の世界景気拡大期のピーク)
④2021年12月:4.73倍(コロナ後)
※出所:S&P 500 Price to Book Value
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
シラーPER
※出所:Shiller PE Ratioより作成 ※期間:1995.1~2023.9
1995年以降のシラーPERの推移。
1995年以降の中央値は「26.7」倍。
2023年6月までの5年移動平均は「31.3」倍。
直近値は約「29.5」倍(前週は「29.5」倍)。
長期の中央値より約10%高く、5年移動平均より約6%低い水準。
株価水準は
やや割高?
と推測。
※出所:Shiller PE Ratio
※参考:シラーPER(CAPEレシオ)とは|金融経済用語集 - iFinance
現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安ではない?
★ジャンク債スプレッド⇒やや割高?
★S&P500のPBR⇒割高?
☆シラーPER⇒やや割高?
長期的には米国株の水準は
やや割高~割高?
と推測。
※個人の直感、感想です。先のことは不明。投資は自己判断、自己責任で
近年のバブル期と「現在」のデータ比較
※表のデータ出所 ・OECD景気先行指数:OECD Data ・米国失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・マージンデット:Margin Statistics | FINRA.org ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg
・恐怖指数:やや安心感強い
・ジャンク債スプレッド、シラーPER:やや割高水準か
・S&P500のPBR:割高か
・長短金利差:引き続き10年債利回りが急伸し、スプレッドは大きめに縮小
2018年との金利、物価、株価比較
前回FRBの「量的引き締め+利上げ」がセットで実施され、株式市場が大きく崩れ出したのが2018年10月頃。
当時と今の比較。()内は前週値。概算値。
FRBの利上げは11回、量的引き締めは2022年6月に開始。
②は先週上昇、2018年より「1.7%」高い水準。
③は先週上昇、2018年より「2.6%」高い状態。
④の8月データは7月より上昇。2018年より「1.2%」高い状態。
⑤のS&P500の下落幅は現在約「11%」。
※データ出所
●アメリカ 10年 債券利回り - Investing.com
●30-Year Fixed Rate Mortgage Average in the United States (MORTGAGE30US) | FRED | St. Louis Fed
●S&P500 インデックス(SPX) - Investing.com
金融ストレス指数(ここ1年)
※出所:St. Louis Fed Financial Stress Index (STLFSI4) | FRED | St. Louis Fed
2023.9.29は「-0.55」(前週は「-0.73」)。
直近のボトムよりやや上昇。
※金融ストレス指数について
⇒金融ストレス指数とは|インデックス(指数)用語集|iFinance
おわりに
<S&P500:ここ1年>
※出所:マーケット|SBI証券
緑ラインは200日移動平均線。
直近値は200日線から「+2.4%」水準(前週は+2.1%)。
引き続き、このへんで盛り返すか、とりあえずタッチするのか、気になる状況。
※出所:アメリカ 10年 債券利回り - Investing.com
上記は2013年11月以降の米10年債利回り。
WTI原油価格は先週末「82.8」。
今は「86.0」程度で中東の軍事作戦を受けて大きめに上昇。
☆中東の緊張
⇒原油価格高止まり
⇒米インフレ低下速度の鈍化
⇒利下げ時期の後ズレ
⇒米10年債利回りの高止まり
⇒リスクオフ
的なベタな流れが続くのか
☆思いのほか中東の緊張度合いが早く下がってくれて株価も反発するのか
先のことは不明。
とりあえずごく短期的にはある程度のリスクオフとなりそうな雰囲気。
きな臭くなりつつある世界。
☆反米サイドと親米サイドの争いが今存在すると仮定して、今回のハマスの動きは反米サイドの大きなシナリオの一部に過ぎず、中東以外の地域で今後大きな軍事展開を行うためのある種の陽動作戦的な動きなのか(推理小説的な陰謀論?)
☆巷で述べられるようなイスラエルとサウジアラビアの接近を妨害するための中東地域に限定されたテロリズム的な活動に過ぎないのか
気になる状況。