米失業率が目立って上昇してきている話。
失業率を確認する意義
<米国失業率:1948年~:グレーは景気後退期>
※出所:Unemployment Rate (UNRATE) | FRED | St. Louis Fedより作成
1948年以降の景気後退期には必ず失業率が急上昇しています。
経験的には
景気後退期=失業率急上昇の時期
です。
景気後退期の付近では株価が大きく値下がりすることが多く、資産運用において景気後退にどう対処するかは重要であり、その意味で失業率を確認しておいて損はないと思われます。
直近の米失業率
<米国失業率:ここ1年>
※出所:Unemployment Rate (UNRATE) | FRED | St. Louis Fed
直近のボトムは2023年1月、4月の「3.4%」。
2023年10月は「3.9%」。
ボトムから半年で0.5%上昇。
過去の経験則
※出所:Unemployment Rate (UNRATE) | FRED | St. Louis Fedより作成
上記の表は1948年以降の12回の景気後退に関して
☆景気後退前の失業率の最低値(A。%)
☆景気後退突入時の失業率の数値(B。%)
☆BーA
☆BはAより何%上昇したか
を示したもの。
あくまでここ12回の経験則ですが、表からは
①B-Aはすべて「0.7」以下で景気後退している
②BがAより「13.6%」以下の上昇で景気後退している
ということがいえます。
①について、現在3.4%⇒3.9%に上昇しているので、仮に今がBがと仮定すると、「0.5」になります。
12回のうち2回は「0.6」「0.7」なので、まだ少し余裕があります。
②について、現在3.4%⇒3.9%に上昇しているので、仮に今がBがと仮定すると、「14.7%」になります。
これは過去12回のすべてより高い上昇率なので、経験的には今はすでに景気後退している可能性が高い、といえなくもない。
まとめ
他の指標、例えば米国の失業保険継続受給者数などをみると、とても現状で景気後退している、といえるような水準ではありません。
そして、経験則はあくまで経験則に過ぎず、現在や未来の状況を判断する手助けにはなっても、現在や未来の状況を常に正確に教えてくれるわけでもありません。
ただ、失業率だけをみるとこのまま失業率が上昇するならば
米国は景気後退に近づいている
とはいえそうであり、過去の経験からすると、B-Aが「0.7」となる「4.1%」(4.1%-3.4%)が次の区切りと感じますが、あっさり上昇していくのか、横ばいが続くのか、まさかの下落に転じるのか、どうなりますか。
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