先週の米国市場を株式の割安割高を判断する目安になると思われる指標などで概観してみます。
簡単な米国市場の概観
<S&P500>
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
直近値は「5635」で前週比「+1.5%」。
8月月間では今は「+2.0%」。
2022年1月の最高値「4818」より約「+17」%水準。
<米国10年国債利回り>
直近値は「3.80%」(前週は「3.88%)。
先週は
★株価⇒上昇
★債券利回り⇒低下
★ドル指数⇒低下
という動きでした。
定点観測
以下の4つで定点観測してみます。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★シラーPER
恐怖指数
<ここ5年>
直近値は「15.86」(前週は「14.80」)。
1990年以降の長期中央値は「18.0」(月末値データ)。
米国の市場心理は
やや安心?
と推測。
何事もなかったかのように代表値以下の水準へ。
※参考:2018年以降の高い値(場中含む。概算値)
・2018.2月:「50」
・2018.12月:「36」
・2020.3月:「85」
・2020.10月:「41」
・2022.1月:「39」
・2024.8月:「66」
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
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米債券スプレッド
本記事の米債券スプレッドとは
①米債券スプレッド
=米国の社債(格付け:Baa)の利回り-米国債(10年物)の利回り
②米債券スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③米債券スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④3.0%以上のスプレッドの時期に株価は概ね割安か?
推移グラフと現在の状況判断
8.22の米債券スプレッド(%。格付けBaa)は「1.70」(前週は「1.68」)。
スプレッドの長期中央値は「2.18」で今は中央値より約-22%水準。
投資家心理は
やや楽観
か。
<米債券スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
S&P500のPBR
※出所:S&P 500 Price to Book Valueより作成
1999年末~直近のS&P500のPBR推移。
直近の推計値は「5.09」倍(前週は「5.02」倍)。
長期の中央値「2.83」を80%ほど上回っており、株価水準は
割高
か。
※最近のS&P500の高PBR
①2018年1月:3.60倍(直近で世界景気がよかった時期)
②2018年9月:3.51倍(直近で米国の経済成長率が最も高かった時期)
③2020年1月:3.76倍(コロナ前、2019年9月以降の世界景気拡大期のピーク)
④2021年12月:4.73倍(コロナ後)
⑤2024年7月:5.08倍(コロナ後2回目の高水準)
⑥2024年8月:5.09倍(コロナ後3回目の高水準)
※出所:S&P 500 Price to Book Value
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
シラーPER
※出所:Shiller PE Ratioより作成 ※期間:1995.1~2024.6
1995年以降のシラーPERの推移。
1995年以降の中央値は「26.8」倍。
2024年6月までの5年中央値は「30.9」倍。
直近値は約「36.3」倍(前週は「35.8」倍)。
長期の中央値より約35%高く、5年中央値より約17%高い水準。
株価水準は
やや割高~割高?
と推測。
※出所:Shiller PE Ratio
※参考:シラーPER(CAPEレシオ)とは|金融経済用語集 - iFinance
現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安ではない?
★米債券スプレッド⇒やや割高?
★S&P500のPBR⇒割高?
☆シラーPER⇒やや割高~割高?
長期的には米国株の水準は
やや割高~割高?
と推測。
※個人の直感、感想です。先のことは不明。投資は自己判断、自己責任で
近年のバブル期と「現在」のデータ比較
※表のデータ出所 ・OECD景気先行指数:OECD Data ・米国失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・マージンデット:Margin Statistics | FINRA.org ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg
・恐怖指数:やや安心感
・ジャンク債スプレッド:やや割高か
・シラーPER、S&P500のPBR:割高か
・長短金利差(10y-2y):接近中
金融ストレス指数(1994年~)
※出所:St. Louis Fed Financial Stress Index (STLFSI4) | FRED | St. Louis Fed
直近値2024.8.16は「-0.71」(前週は「-0.14」)。
やや上昇していたストレス水準は急速に低下。
1994年以降の長期中央値は「-0.21」で、大幅に低い(ストレスが少ない)水準。
※金融ストレス指数について
⇒金融ストレス指数とは|インデックス(指数)用語集|iFinance
おわりに
<S&P500:ここ1年>
※出所:マーケット|SBI証券
緑ラインは200日移動平均線。
直近値は200日線から「+10.5%」水準(前週は+9.7%)。
8.5に「+3.5%」まで下がりましたが、その後回復、再び余裕の水準に。
S&P500全体のPBRは直近で5.09倍。
ITバブル期を抜き1999年以来で最高値更新(暫定値。推計値なので後で修正されることあり)。
※出所:S&P 500 Price to Book Value
前週は「5.02」倍で2週連続の5倍超え。
7月にも2週連続の5倍超えがありましたが、7月はその後失速。
今回はどうなるか。
またそこそこ上昇していた金融ストレス指数が大幅に低下し、再びストレスが極端に少ない株価の上がりやすい状態に。
<金融ストレス指数:ここ1年>
※出所:St. Louis Fed Financial Stress Index (STLFSI4) | FRED | St. Louis Fedより作成
この指標でも
☆連鎖的なリスクオフ案件の発生
は確認できず、現時点の判断では、8月初めの急落は一時的なリスクオフ。