ユキマツの「長期投資のタイミング」

「景気(企業利益動向)」「中銀の金融政策(金利動向)」「投資家のリスク許容度」などから長期投資のタイミングを探る投資ブログ

最新の世界的な景気動向<OECD景気先行指数、2017年4月>

少し遅くなってしまいましたが、世界の景気動向を示唆してくれる指標、

OECD景気先行指数(Composite leading indicator。以下CLI)

の2017.4月時点のデータから世界的な景気動向を確認します。

CLIについては以下の記事を参照ください。

www.yukimatu-value.com

CLIとは

 以下、株初心者のための株式投資と相場分析方法からの引用です。

OECD景気先行指数(CLI)とは

OECD景気先行指数(CLI:Composite Leading Indicators)とは、OECD(経済協力開発機構)が景気循環の転換点を早期に見極めるために1970年代から算出を開始した指数で、鉱工業在庫率、輸入輸出比率、住宅着工戸数、株価指数など、経済活動の変化を示す統計を基に算出される指数のことです(使われる統計は国ごとに異なる)。

OECD景気先行指数(CLI)の見方

OECD景気先行指数(CLI)は、景気の転換点の6~9カ月先行するように作成されていますので、景気の先行きを予想する指数として注目されます。

OECD景気先行指数(CLI)は、その数値が、

・100より低ければ景気の悪化
・100より高ければ景気の拡大

を示します。

上記をまとめ、補足すると、CLIは

○OECDが算出している景気動向を判断する指標

100が基準値

○100より低い⇒景気は悪い

○100より高い⇒景気はよい

○CLIが下降している⇒景気の減速

○CLIが上昇している⇒景気の加速

を意味します。

※CLIの数値は絶対値でなく、データを抽出する期間で変動します。

※OECDについては、以下サイトを参照ください。

経済協力開発機構(OECD)

f:id:yukimatu-tousi:20170619161732j:plain

どのCLIを見るべきか

CLIには、OECD各国のCLI、OECD全体のCLI、ヨーロッパ地域、その他、中国、インドのCLIなど様々なバージョンがあります。

必要に応じて、確認すればよいのですが、わたしが最も有用と感じるのは、

OECD全体のCLI

です。

その理由はOECD全体の経済規模は

全世界の実質GDPの約7割

名目GDPの約6割

を占めるため、概ね全世界の景気動向を反映しやすいと考えられることです。

グローバルノートの2015年のデータより

以下、本記事ではこのOECD全体のCLIを見ていくので、

CLI=OECD全体のCLI

の意味で表記していきます。

CLIの使い方

f:id:yukimatu-tousi:20170502163139p:plain

 ※出所:OECD DATE のグラフを管理者編集

あくまで、わたしの個人的な使い方ですが、

●CLI:101以上

⇒めったにない世界的な好景気

⇒株式は割高⇒株式を売るチャンス

●CLI:99以下

⇒めったにない世界的な不況

⇒株式は割安⇒株式を買うチャンス

と判断します。

※CLIの数値は絶対値でなく、データをみる期間で変化するので、101、99はあくまでこの期間に限った参考値です

 

また、CLIが上昇しているか、下降しているか、も重要な情報です。

●100以下の水準でも、景気の底からCLIが上昇してきている

⇒株式の先行きにはプラス要因

●100以上の水準でもCLIが景気のピークから下降してきている

⇒株式の先行きにはマイナス要因

と判断します。

要するに、

●現在の水準(今、好景気か?不景気か?)

●トレンド(今後、CLIが上昇していきそうか?下降していきそうか?)

の2点を確認して判断材料とします。

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CLIの推移と現在値、その分析

f:id:yukimatu-tousi:20170619160153p:plain

※↑図表1とします ※出所:OECD DATE 

上記グラフは1995年1月~2017年4月のCLIの推移を示しています。

2017年4月の

CLI:100.08

です。

景気の水準としては、ほぼ基準値の100なので、

不景気でも好景気でもない

という値です。

 

では短期的なトレンドはどうか。

f:id:yukimatu-tousi:20170619160640p:plain

※出所:OECD DATE データより管理者作成

上記グラフは図表1の期間の、最後の2年間を切り取ったものです。

過去2年を概観すると、2015.4月は「100.36」と景気はややよい状態でしたが、その後悪化を続けます。

直近の短期的な世界景気の底は2016.5月と6月の「99.59」であり、2017.4月の「100.08」は10ヶ月続く景気回復トレンド、あるいは「回復後の踊り場」にあると思われます。

まとめると2017.4月時点では

●世界の景気水準⇒ふつう(良くも悪くもない)

●世界景気の短期トレンド⇒よい?足踏み?(改善?停滞?)

ということになります。

直近6ヶ月のデータです。

2016.11 99.86(+0.09)

2016.12 99.95(+0.09)

2017.1 100.01(+0.06)

2017.2 100.06(+0.05)

2017.3 100.08(+0.02)

2017.4 100.08(+0.00)

景気回復のペースは鈍ってきているようにも見受けられます。

この鈍化が一時的な現象で、今後CLIが上がっていくようなら2016.6月頃を底とした景気回復トレンドが続くことになります。

ここから足踏み、あるいはCLIが下がっていくようなら、2017.3月4月を短期的なピークとした景気悪化のトレンドが始まることになります。

どっちに転ぶかはわかりませんが、小さなトレンドの転換点かもしれず、少し注意すべき流れです。

CLIが確認できるサイト

OECD

 東海東京証券

 など。 

おわりに

世界的に景気はいいとも悪いともいえず、トレンドも方向性を一時的に失っており、まことにとらえ難い状況です。一言でいうと「微妙」な景気動向です。引き続き動向を確認していきます。

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★関連記事です。3月データでの確認作業です

www.yukimatu-value.com

↓こちらは米国の景気動向です

www.yukimatu-value.com

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