今年に入って日本の株価指数の動きは悪くありませんが、どういうわけかJリート指数の動きがさえません。
年初から約10%下落しています。
ここ1年でみれば、TOPIXは20%以上の上昇、リート指数は10%以上の下落です。
これはけっこう珍しい現象で、概ね株価指数とリート指数は連動する傾向があります。
一つの投資アイデア
では、株式に比べてJリートは割安なのか?
もし日本株に比べて割安なら、例えば
・Jリート指数を買い建てる
・TOPIX指数を売り建てる
というポジションをJリートの割安感がなくなるまで保ち続ければ、市場リスクに振り回されにくい上手な投資ができるかもしれません。
いわゆるロングショート戦略で、Jリート指数はロング、TOPIXはショートするわけです。
Jリートは割安か?
そのためにはJリートが割安な状態にあるのか、その判断が必要です。
その判断のための一つの目安、
「Jリート利回り-日本国債利回り(10年物)」
(以下Jリートスプレッド)
を紹介します。
Jリートスプレッドとそこから読み取れること
Jリートスプレッドはクレジットスプレッドと同じような発想で、「Jリートの利回り」と「長期国債の利回りの差」が
大きいほどJリートは割安
小さいほどJリートは割高
とみなす指標です。
※クレジットスプレッドについてはコチラ↓
※この指標はあまり一般的ではないかもしれないので、ご参考程度に。
下記グラフは2001~2017年のJリートと長期国債の利回りの推移を示したものです。
※出所:JAPAN-REIT.COM、日本 10年 債券利回りのデータより管理者作成 ※国債の長期金利がマイナスの時期は「0%」で表示
株価同様、
2002年頃のITバブル崩壊時期
リーマンショック後の2008~2009年頃
欧州債務危機の2011~2012年頃
にJリート指数は大きく下落し、この時期に高い利回りをつけており、長期国債との利回り差も大きくなっています。
※出所:JAPAN-REIT.COM、日本 10年 債券利回りのデータより管理者作成
※国債の長期金利がマイナスの時期は「0%」で計算
グラフを見る限り、概ね利回り差が「5%」付近まで広がった時期が、Jリートの割安圏といえそうです。経験的なものですが。
そして、この期間の利回り差の長期平均は約3.2%です。
2017.6月末で利回り差は約3.9%であり、長期平均の「3.2%」を上回っており、長期的にみて、現在のJリートはどちらかというと割安なのかもしれません。
一方株価は「やや割高~割高圏」にあるとわたしは推測しており、
・Jリート指数を買い建てる
・TOPIX指数を売り建てる
というロングショート戦略、悪くないのかも?
と考えます。
※利益が出る保証はありません。一つのアイデアです。投資は自己責任、判断でお願い致します
※現在の日本株の水準についてはコチラ↓
ただ、なぜJリートが不人気なのか、よくわからない
しかし、わたしは「なぜJリートが株価に比べてこうもさえないのか」原因がよく分かっていません。
・中国当局により、中国からの資金流出の動きが抑制され、Jリートに流入していたチャイナマネーが減った?
・今後日本国債の利回りが上昇してくると予測されている?
・日銀の年間6兆円の株式ETF買いがJリートETF買いよりも効果的に効いている?
どうもいまいち決め手にかけます。
一番それらしいのは
・日銀が大量に国債を買い占め、国債利回りの上昇を抑え込んでいるため、Jリート利回りと国債利回りの差が表面上、大きくなってしまう・・・?
ですが、では実際に現在の長期金利の利回りがどのくらいなら「正しい」のかも不明瞭です。
どなたか詳しい方、ご存知でしょうか?
再びリート指数とTOPIXの推移を観察してみても、2015年頃からの動きがどうも不自然です。
今後株価に引きずられてJリート指数が上がっていくのか、Jリート指数が株価の動きに先行しているのか、わかりません。
とりあえずよくわからないので、わたしは投資行動としては「保留」にしておくつもりです。
JリートスプレッドはJリートの割安割高の判断材料になると考えており、今後適時記事にしていく予定です。
関連記事です。クレジットスプレッドの具体例です