米国市場も少し荒れています。
日本や韓国市場に比べれば大したことありませんが、最近のまったり感は少し減退しました。
先週の米国市場を「米国株式の割安割高を判断する目安」になると思われる指標で概観してみます。
指標は以下の5つです。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>
★マージンデット指数<マージンデット÷米国名目GDP×100>
各指標を一つずつ確認していきます。
恐怖指数
恐怖指数(VIX指数)とは
①S&P500を対象とするオプション取引のボラティリティを元に算出される指数
②数値が高いほど投資家が相場の先行きに不透明感を持っているとされる
③1990年1月~2017年5月末の長期平均は「19.6」
④わたしは主に株式が割安な時期を示唆する指標と考えています(「30」以上で割安かも?)
⑤「10」程度で安定している時期は、投資家は安心・楽観・高揚していると考えられます
推移グラフと現在の状況判断
※出所:ヤフーファイナンスデータより管理者作成 ※期間:1990年1月~2017年6月末
2017.8.11は「15.51」です。
8.4は「10.03」だったので、一週間で約55%上昇しています。
といっても長期平均(19~20くらい)にも届かない値ですが。
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
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ジャンク債スプレッド
ジャンク債スプレッドとは
①ジャンク債スプレッド
=米国のハイ・イールド債の利回りー米国債(10年物)の利回り
②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④★平均値(幾何平均):3.1
★中央値:3.0
<期間:1996.12月末~2017.6月末の月末>
推移グラフと現在の状況判断
※出所:◎St. Louis Fed◎米国 10年 債券利回りのデータより管理者作成 ※期間:1996.12月末~2017.6月末
2017.8.10時点のジャンク債スプレッドは「2.2」で割高圏の目安「2.0」を少し上回ってきましたが、長期平均よりは低い値です。
単なる近年の経験則ですが、この指標からは割高傾向?と判断。
※8.10時点のジャンク債利回り「4.35%」、米国債(10年物)の利回り「2.20%」
<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
S&P500のPBR
S&P500のPBRとは
①PBRは株式の割安割高を判断する基本的な指標の一つです。1株当たりの純資産に対し、株価が何倍まで買われているかを表したのがPBR(株価純資産倍率)です
②PBRが小さいほど割安、大きいほど割高と判断します
③S&P500のPBRは米国市場の割安割高を判断する一つの目安であり、わたしは主に割安な時期を知る目安として参考にしています
推移グラフと現在の状況判断
※出所:S&P 500 Price to Book Value
上記グラフは1999年末~2017.8.11のS&P500のPBRのグラフです。
2017.8.11時点の推計値は「3.18」であり、先週の「3.22」から低下しています。
長期平均の「2.75」は上回っており、現在は少なくとも割安な水準ではなさそうです。
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
米国バフェット指標
米国バフェット指標とは
①米国バフェット指標=米国の時価総額÷米国の名目GDP
②米国株式の割安割高を判断する目安
③1995~2016年の各年末のデータから、
★平均値:1.23
★中央値:1.31
④近年の経験則の域を出ませんが
★1.05以下は株式は割安圏?
★1.40以上は株式は割高圏? と推測
推移グラフと現在の状況判断
※出所:グローバルノートのデータより管理者作成 ※期間:1995年末~2016年末
※2017年米国名目GDP:19.42兆ドル(IMF推計)
米国バフェット指標について詳しくはコチラ↓
マージンデット指数
マージンデット指数とは
①「マージンデット÷米国名目GDP×100」で算出する指数
②米国株式の割安割高を判断するためにわたしが個人的に利用している指標
③1995.1月~2017.5月の各月末のデータから、
★平均値:1.72★中央値:1.68④近年の経験則の域を出ませんが
●「マージンデット指数 1.3以下」⇒株式は割安圏?
●「マージンデット指数 2.4以上」⇒株式は割高圏?
※マージンデットは一般的な指標ですが、「マージンデット指数」は一般的なものではありません
推移グラフと現在の状況判断
※出所:ニューヨーク証券取引所、世界経済のネタ帳のデータより管理者作成
2017.6月末のマージンデット指数は「2.78」であり、割高圏の目安「2.4」を上回っており、株式は割高圏と推測。
※出所:ニューヨーク証券取引所、世界経済のネタ帳のデータより管理者作成
マージンデット指数について詳しくはコチラ↓
現時点での米国市場の割高割安、5つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安ではなさそう
★ジャンク債スプレッド⇒割高傾向?
★S&P500のPBR⇒割安ではなさそう
★米国バフェット指標 ⇒割高圏?
★マージンデット指数⇒割高圏?
総合的に判断すると、わたしは米国株式は「割高圏」と推測します。
したがって、現時点での米国株の長期投資のタイミングとしては
◎資産配分において、株式の配分比率を減らす
◎資産配分において、現金の配分比率を増やす
◎長期投資を一時やめる
のに適す時期だと考えています。単なる経験則ですが。
※長期投資に関する一つの判断です。短期、中期的な投資には役立たない可能性が高いです
※バリュー投資の発想から「割高な時期に株を売り、割安な時期に株を買う」という判断に基づいています
※単なる個人の感想です。未来は誰にも予知できません。投資は自己判断、自己責任で
ITバブル、サブプライムバブル、現在のデータ比較
※出所
・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTE、World Federation of Exchanges・OECD景気先行指数:OECD Data・シラーPER:Shiller PE Ratio
あとがき
8月3日以降で4%以上の下落となっている韓国市場に比べれば、米国は2%にも届かない小さな下落幅(S&P500)ですが、VIX指数は跳ね上がっています。
※出所:恐怖指数(VIX 日経VI VSTOXX) 日経平均比較チャート
下記記事によれば、米国市場では謎の投資家が7.21頃に巨額のオプション取引を行い、VIX指数の上昇に賭けていたようです。
なんでも向こう3カ月で2倍以上に上昇すれば、約290億円の利益が出る取引だった、とのこと。
7月21日のVIX指数、終値は最安値付近の「9.36」、今週8月10日には終値で「16.04」まで上げているので、70%超の利益幅です。
7月のポジションが現在どうなったのかは不明ですが、いろんな人がいるものです。
関連記事です。恐怖指数に関して二つ。