現在進行中の景気回復の期間が「いざなぎ景気」を超える可能性が高い、とニュースになっていたので、記事にしてみます。
下記サイトからの引用です。
茂木敏充経済財政・再生相は25日午後の記者会見で、国内景気について「戦後2位のいざなぎ景気(1965年11月~70年7月の57カ月)を超える景気回復の長さになった可能性が高い」との認識を示した。
いざなぎ景気と”今”
いざなぎ景気は日本の高度成長期まっただ中の好景気の名称です。
期間は1965年11月~70年7月の57カ月。
2012.12月に始まる現在の景気と
・名目賃金
・実質賃金
・実質経済成長率
の3つの観点から比較してみます。
実質賃金は、名目の賃金にインフレ率の調整をした賃金のことです。
<いざなぎ景気と”今”の景気回復の比較>
いざなぎ 今回
名目賃金 13.6% 0.8%
実質賃金 8.2% -0.3%
実質経済成長率 11.51% 1.36%
※出所:三菱UFJリサーチ&コンサルティング
上記は二つのケースにおける「年率平均の変化」を示したものです。
いざなぎのころは一年で賃金が名目で10%以上、実質でも8%も上がっていたという今からすると夢のような時代です。
経済成長率も一時の中国のような、まれにみる高さです。
5年近く10%以上の成長というのは、やはり夢のよう。
対して今回は、名目でも賃金はほぼ横ばい、インフレ率を考慮した実質賃金はむしろ減っています。
経済成長率も、人口減少の中、検討している思いますが、やはりいざなぎとは比べようもない状態です。
一般的な感覚として、
賃金が伸びない状況での”好景気”
はなかなか実感しにくいことだと思います。
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世帯年収の中央値の観察
次に、世帯年収の中央値の推移をごく簡単に追ってみます。
年収の最も低い世帯から最も高い世帯を並べ、その真ん中になる世帯の年収が「世帯年収の中央値」です。
世帯年収中央値
1985年 418万円
1995年 550万円(過去最高)
2015年 428万円
※出所:厚労省国民生活基礎調査
1992年には共働きの世帯数が専業主婦世帯の数を上回り、共働き世帯の数は増えているにも関わらず、世帯年収は1995年をピークに減少傾向にあります。
要するに、今は景気が悪くない状況が続いても、なかなか世帯賃金は伸びにくい、むしろ下がりやすい時代だと思われます。
※高齢者世帯や単身世帯の増加も影響していると思われます
では、どうするか。どう対処するか。
所得が伸びない時代の一つの経済戦略
あくまで、一つの経済戦略の案ですが、以下のような発想も、一考に値するかもしれません。
①若いうちは貯蓄重視。家は買わず、できるだけお得な賃料で賃貸暮らし、保険も必要最小限。結婚する人は結婚するまでにできるだけ貯蓄
②若いうちから貯蓄額の何割かを投資に配分し続け、「長期的な資産形成」や「配当・分配金によるキャッシュフローの獲得」を目指す。結婚する人はできれば結婚する前から投資経験を積んでおき、結婚後も続ける
③その後、資産規模や給与を含めたキャッシュフローの状態と相談しながら、
「ローンを組んで家を買う」or「賃貸のまま」
かを「選択できる状態」を目指す
④住居の問題を解決した後も長期的に運用を続け「長期的な資産形成」や「配当・分配金によるキャッシュフローの獲得」によって「仕事が続けられない状況への不安」や「老後不安」を軽減させつつ、「給与以外の収入や資産があることによって生じる選択肢」の確保を目指す。
その上で、サラリーマンを続けるorやりたいことがあれば挑戦してみる
なんだか夢のない戦略ですが、若いうちから貯蓄できる人にとっては少し現実味がある考え方かもしれません。
個人的には「賃貸か持ち家か」どちらがよいかは人それぞれだと考えており、他人がおいそれと断言できることではないと思いますが、
その気になればどちらでも選択できる
状態は魅力的だと思います。
お金があることの意味
お金があることは「選択肢」を増やすことでもあると思います。
どうでもいい話ですが、むかしわたしは学生時代、アルバイトをかけもちし、ひたすら時間がなく、友人との飲み会にも行けず、とても悔しい思いをした一時期があります。
※若いときの飲み会は意味がなくても楽しい
お金がないから「ほぼ確実に楽しいであろう飲み会に参加する」という選択肢を失っていたのです。
以前どこかで
「若いうちは時間はあるけどお金がない、歳をとるとお金はあるけど時間がない」
という言葉を聞いたことがありますが、
「歳をとって時間もなけりゃお金もない」
というのは、わざと自嘲で使うのには便利かもしれませんが、現実問題ではあまり嬉しくない話です。
お金なんかなくたって、健康で家族も仲間もいて仕事もあればそれ以上、何を望む?というのも真実だと思いますが、できれば少し経済的な余裕も欲しい・・・
お金に関しては早めに目覚めておいた方が、”選択肢”が増え、結局のところ、自分や家族、その生活を守る上で有利なのかもしれません。
ただ、ここまでの話は、単なるわたしの思いつきであり、
若いうちは辛気臭い貯蓄&投資なんかより、何でも意欲的にやってひたすら経験値を増やす、友人や異性と濃い時間共有すれば?
という意見もまっとうだと思います。
投資&貯蓄&青春体験、全部できれば楽しいかもしれません。
おわりに
時代は変わりました。
高度成長、いざなぎ景気は今や望むべくもありません。
それでもいい変化もあります。
例えば、
積み立てで投信を買って、じっくり資産形成を図る
ようなことが、今はごく簡単にできる時代でもあります。
これは、むかしでは考えられなかった得難い”選択肢”だと思います。
厳しい時代に対処する一つの武器になるかもしれません。
日本の投資環境は確実に進歩していると思います。
わたしは投資に関しては「投資タイミングを読みたい派」ですが
投資タイミングなどは全く読まず、長期的な世界経済の成長を期待して、若いうちから貯蓄できる金額の何割かを積み立て投資に回し、粛々と資産形成やキャッシュフローの増加を目指しつつ、市場とは適度な距離を置いて仕事や子育てに勤しむ
というのも、一つの優れた経済戦略、人生スタイルのような気がします。
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