世界の4大中央銀行、特に中国人民銀行(以下:PBOC)の資産動向に関する記事です。
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中央銀行の資産動向を確認するメリット
資産規模の大きいECB、FRB、日銀、中国人民銀行(PBOC)などの中央銀行の資産規模やその動向を確認しておくことは、
●長期的視点から、金利動向、投資環境を考える
上で役に立つと思われます。
その理由
一般論として、金利が下がると
◎経済活動が活発になり景気に好影響
⇒企業利益の増加⇒株高
◎企業の借入金の金利負担は減少
⇒企業利益の増加⇒株高
◎債券利回り低下
⇒投資先としての債券の魅力DOWN
⇒債券以外の投資先(株、不動産など)の相対的な魅力UP
⇒株高
などの要因で株高傾向になりやすいと思われます。
そして、金利動向には中央銀行の金融政策が大きく影響します。
中央銀行が
●緩和政策をとり、市中の国債などを購入し(国債価格は上昇、利回りは低下)
●対価として債券保有者にマネーを供給し
●結果的に、中央銀行の資産規模がふくらむこと
は基本的な傾向として
●株価に好影響を与える
●その逆も然り
だと考えられます。
中央銀行の資産規模が
◎増加⇒金利は低下しやすい状況⇒株価に好影響?
◎減少⇒金利は上がりやすい状況⇒株価に悪影響?
という傾向はあると思われます。
本記事の内容
PBOC以外の中央銀行の2018.1月の資産動向はすでに記事にしています。
●FRB本気モード? ~FRB、ECB、日銀の資産動向<2018年1月データ>~ - ユキマツの「長期投資のタイミング」
本記事は1月のPBOCの資産動向と4大中央銀行トータルの資産動向についての記事になります。
※便宜的に本記事では「1ドル:110円」「1ユーロ:130円」「1人民元:17円」で計算
近年のPBOCの資産動向グラフ
<ここ10年>
※出所:China Central Bank Balance Sheet ※単位:1億元
<ここ1年>
※出所:China Central Bank Balance Sheet ※単位:1億元
2018.1月末までの推移です。
ここ10年、2015年以外は一貫して増加傾向。
短期的には増えたり減ったり、いまいちつかみにくい動き。
直近の動向
PBOCの資産は概ね
●2017年12月:36.3兆元(617兆円)
●2018年1月:35.8兆元(609兆円)
でした。1月は前月より約8兆円減少。
大幅な減少ですが、今後もこの傾向が続くかは不明。
2018年の4大中央銀行の合計資産推移と増減
2018年のFRB、ECB、PBOC、日銀の
合計資産の推移と増減
を確認してみます。
※便宜的に「1ドル:110円」「1ユーロ:130円」「1人民元:17円」で計算
2018年1月はFRBとPBOCの資産が減少し、4大中銀トータルで3兆円ほどの資産縮小となりました。
今後のPBOCや日銀の動向はよくわからないのですが、少なくとも昨年よりは資産が増えにくいモードではありそうです。
株式市場にとっては嬉しくない環境ではあると思います。
参考データ
<年末のPBOC資産の推移と増減>
<4大中銀の資産推移・2006~2017年>
※出所:Bank of Japan、Central Bank Assets for Euro Area 、Total Assets | FRED | 、China Central Bank のデータより管理者作成
<4大中銀の資産、年間での増減・2007~2017年>
※出所:Bank of Japan、Central Bank Assets for Euro Area 、Total Assets | FRED | 、China Central Bank のデータより管理者作成
<4大中銀の合計資産推移と増減>
※出所:Bank of Japan、Central Bank Assets for Euro Area 、Total Assets | FRED | 、China Central Bank のデータより管理者作成
おわりに
わたしが確認できている範囲の4大中央銀行の動向です。
●FRB⇒資産縮小中。2018年に本格化
●ECB⇒緩和ペースを半減
※2018年1月から、債券購入額を月額600億ユーロ⇒300億ユーロ(約4兆円)に減額
※2018年9月まで量的緩和継続、その後、徐々に終了?2019年半ばには利上げ開始?との記事も↓
ECBスタッフ、19年半ばに最初の利上げ予想=関係筋 | ロイター
●日銀⇒2016年と2017年を比べると緩和ペースが落ちている
※日銀資産の年間増加額は2016年:約93兆円、2017年:約45兆円
●PBOC⇒不明
4大中銀トータルでは、ここ5年、年間平均で170兆円ほどの大幅な資産増加傾向にありました。
※出所:Bank of Japan、Central Bank Assets for Euro Area 、Total Assets | FRED | 、China Central Bank のデータより管理者作成
その資産増加ペースは今年、急減速しそうです。
徐々に「量的緩和」の逆、「量的引き締め」傾向に動いている雰囲気はあり、長い目で見ると金利は上がりやすく、株価には悪材料の一つではあると思います。
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