クレジットスプレッドの一つ、「米国社債スプレッド」関する記事です。
クレジットスプレッドとは
★信用力の差⇒利回りの差=クレジットスプレッド
★クレジットスプレッド=信用力の低い債券利回り-信用力の高い債券利回り
たとえば、債券が償還されるまでの期間が同じ社債と国債があり、社債の利回りが5%、その国の国債利回りが2%であった場合、
5%-2%=3%
がクレジットスプレッドです。
クレジットスプレッドの使い方は基本的に、
★クレジットスプレッドが縮小するとき(小さくなるとき)
⇒投資家心理は安心・楽観傾向、リスク許容度は高い
⇒株式などのリスク資産は割高傾向
★クレジットスプレッドが拡大するとき(大きくなるとき)
⇒投資家心理は不安・悲観傾向、リスク許容度は低い
⇒株式などのリスク資産は割安傾向
と判断。
詳しくは下記リンクを参照ください。
【米国社債スプレッド】とは
本ブログにおける米国社債スプレッドは、
「米国の社債(ムディーズ格付けBaa。中等度のリスク)」と「米国債(10年物)」の利回りの差
です。
例えば、米国社債の利回りが5%、米国債の利回りが3%なら
5%-3%=2%
が米国社債スプレッドになります。
※わたしの個人的な理解、使い方なので、一般的ではない可能性があります
※「米国社債スプレッド」は一般的な名称ではありません
【米国社債スプレッド】の推移
※出所:https://fred.stlouisfed.org/series/BAA10Yのデータより管理者作成 ※単位:%
上記グラフは<1995.1月末~2018.3月末>の米国社債スプレッドの推移を示したものです。※2018.3月は3.27のデータ
時期にずれはありますが、2000年以降のバブル期とその崩壊後に、当スプレッドはピークとボトムをつけている傾向があります。
●ITバブル:1.68%(2000.1月)
●サブプライムバブル:1.57%(2007.1月)
●ITバブル崩壊後:3.82%(2002.10月)
●サブプライムバブル崩壊後:6.10%(2008.11月)
●直近のボトム:1.56%(2018.1月)
2000年以降では、「世界の時価総額」のボトム・ピークとともに、このスプレッドのボトム・ピークも相場の転換期を探る好材料にはなりそうです。
※出所:WFEのデータより管理者作成
【米国社債スプレッド】の主要データ
<期間:1995.1月末~2018.3月末の月末データより>
★平均値(幾何平均):2.37
★中央値:2.45
※2018.3月は3.27のデータ
【米国社債スプレッド】の使い方の一例
①長期的な平均値との比較
20年以上のデータの平均値が約2.4なので、ざっくりとこの数値より
★小さい
⇒投資家心理は安心・楽観傾向、リスク許容度高い
⇒株式などのリスク資産は割高傾向?
★大きい
⇒投資家心理は不安・悲観傾向、リスク許容度が低い
⇒株式などのリスク資産は割安傾向?
と判断する目安にしてもよいかもしれません。
※出所:https://fred.stlouisfed.org/series/BAA10Yのデータより管理者作成
②3.5を超えるときは株式は「割安圏?」、1.75より小さいときは株式は「割高圏?」の目安か?
※出所:https://fred.stlouisfed.org/series/BAA10Yのデータより管理者作成
あくまで2000年以降の経験則ですが、米国社債スプレッドが
★3.5を超えるときは株価は「割安圏?」
★1.75より小さいときは株価は「割高圏?」
と判断する目安にしてもよいかもしれません。
同時期のS&P500のグラフを併記してみます。
※出所:ヤフーファイナンスのデータより管理者作成
【米国社債スプレッド】の弱点
この指標は割高圏の時期に関しては、あまり精度が高い情報ではなさそうです。
2000年以前の「1995~1998年頃」「2005~2006年頃」スプレッドはとても小さくなっていますが、株価はさほど高くはない。
どちらかというと、割安圏を判断する上でより力を発揮してくれる指標のような気がします。
「割安圏を判断するのに便利」という意味で、恐怖指数や信用評価損益率、東証一部PBRと似た傾向を持つ指標かもしれません。
直近の【米国社債スプレッド】
※出所:https://fred.stlouisfed.org/series/BAA10Y
長期とここ3年の推移です。
直近のボトムは2018.1月の「1.56」(2000年以降の最低値)。
その後、2月、3月は上昇傾向にあり、2018.3.27で「1.86」。
割高圏の目安「1.75」を上回ってきていますが、長期平均「2.4」よりはかなり低い値。
1月の「1.56」をボトムにスプレッドは拡大を続けるのかどうか、要観察というところ。
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