ヘッジファンド「ブリッジウォーター」創業者レイ・ダリオ氏の考えを解説した無料動画が公表されています。
全31分です。
あくまでダリオ氏の個人的な経済観ですが、個人投資家にも役立つ部分もありそうな気はするので記事にしています。
解説ではなくただのわたしの「おぼえがき」。
今回5回目で、上記動画の7分37秒~10分20秒の内容の紹介です。
※以前の記事
●レイ・ダリオ カテゴリーの記事一覧 - ユキマツの「長期投資のタイミング」
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7分37秒~9分12秒「借金は未来の自分からの借金にして、支出の前倒し行為」
上記動画の「7分37秒~9分12秒」です。
経済動向の細かい変動は、経済革命とか雇用環境の変化で起こるものではありません。
この変動は、利用できるクレジットの額によって影響されます。
クレジットが存在しない経済を考えてみてください。
ここでは支出を増加できる唯一の方法は所得の増加です。
すなわち生産性と労働時間をふやす必要があります。
生産を増加させないと経済は成長できないのです。
私の支出はほかの人の所得ですから、私たちの生産性がふえると経済は成長できます。
この環境では経済成長は生産性の成長と同時に起こるのです。
しかし借りることが可能なら波に変動が起こります。
これは法律とか規制によって起こるものではありません。
これは人の知恵に基づいて、またクレジットの変動で起こるのです。
借金をすることは、言ってみれば支出を前倒しすることです。
収入以上の買い物をするためには収入以上を支出することになります。
これを可能にするには未来の自分から借金をするのです。
こうすると将来返済のため収入より支出を減らすときが来ます。
これは波の上下動をおこします。
基本的にお金を借りることは変動を起こすことになるのです。
これは個人にとっても経済全体にとっても同じです。
ですからクレジットをしっかり理解する必要があるのです。
クレジットを発生させると将来予測可能な一連の事態を引き起こすことになるのです。
この意味でクレジットはお金と違うのです。
<覚書>
●クレジットが存在しない経済では、支出を増加できる唯一の方法は所得の増加。
所得を増やすには「生産性と労働時間」を増やす必要あり。
クレジットがあれば、一時的に「生産性と労働時間」を増やさなくても支出を増やすことができる。
●借金は「未来の自分からの借金」にして、「支出の前倒し」行為。
借金返済時には、そのときの所得水準より過剰に「支出を減らす」ことになる。
●経済にとって、
・借金が増える時期⇒「経済力が過大評価されやすい時期」
・借金が減る時期⇒「経済力が過小評価されやすい時期」
●クレジットの利用が、お金の動きに変動(タイムラグ)を生み出すことになる
●クレジットを発生させると将来予測可能な一連の事態を引き起こす
※将来予測可能な一連の事態・・・クレジットの減少による経済活動の過剰縮小、資産価格の過剰な低下、などのこと?
9分12秒~10分20秒「クレジットのある経済では、所得の増大が生産力を上回ることが(一時的に)可能」
お金は取引の精算に使われます。
飲み屋でビールを現金で買うと、取引はその場で精算されます。
でもクレジットを使ってビールを買うとツケが発生します。
将来返済するという約束です。
あなたと飲み屋は資産と債務をつくることになります。
何もないところにクレジットが発生したのです。
この資産と債務は、のちにツケを支払ったときに消滅します。
借りが解消し取引が精算されます。
現実には普通お金と考えているもののほとんどはクレジットなのです。
米国のクレジットの総額は約50兆ドルですが、流通しているお金の総額はわずかに約3兆ドルです。
クレジットがない経済では支出は生産量を増やさないと増加しないのです。
でも、クレジットがある経済では、支出は借金を増やせば増加できるのです。
したがって、クレジットのある経済では支出がより大きくなり所得の増大が生産力を上回ることができます。
でもこれは短期的であり長期にわたって起こりません。
<覚書>
●何もないところにクレジットは発生し、債務の返済で消失する
●普通、お金と考えているもののほとんどはクレジット。短期的にはクレジットが経済を大きく動かす。住宅ローン、自動車ローン、企業の銀行からの借り入れ・・・
●永遠にクレジットのみで(生産性の向上、所得の増加ではなく、借金のみを原動力として)実力以上に経済を押し上げていくことは困難。借金で過大にふくれた経済や資産価値は、等身大、あるいは実力以下の水準にまでしぼむ時期(ツケを払う時期)が周期的にやってくる?
⇒おそらくこういう時期に株式は割安?そして、こういう時期に株式投資、社債投資を行い、困っている企業の資金調達の手助けをすることは、社会的にも意義のある行為か?
※個人的な仮説です
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