最新の世界景気をCLIとPMIの観点から観察してみます。
①CLI(OECD全体)
※出所:- Composite leading indicator (CLI) - OECD Dataより管理者作成
景気指標の一つ、Composite leading indicator (CLI。OECD景気先行指数)の2017年1月~2018年6月の推移です。
上記はOECD全体のCLIであり、世界の名目GDPの6割以上を占める国を網羅した景気指数です。
「100」が「ふつうの景気水準」、数字が大きいほど好況、小さいほど不況を示唆します。
先日更新された2018年6月のデータは「99.78」。
ニュートラルの100を明確に下回ってきました。
2017年11月:100.19
が直近のピークとなっており、7ヶ月連続で減速トレンドが続いています。
景気水準自体も
やや悪い
といえそう。今後も景気減速トレンドが続くなら要警戒。
<参考:過去のCLIと経済イベント>
※出所:- Composite leading indicator (CLI) - OECD Dataより管理者作成 ※数値は概算
1995年1月~2018年5月のCLIの推移と経済イベントです。
あくまで過去の経験則ですがCLIが「99.5」を下回る時期は世界的に不景気で悲観が満ちており、株価は割安なことが多かったと推測されます。
現在約「99.8」のこの指標、あと0.3ポイント程度低くなってくると、経験的にはイヤな感じ。
※CLIについて詳しくコチラ↓
●トレンドは回復~少し停滞? ~OECD全体の景気先行指数 2017年11月データ~ - ユキマツの「長期投資のタイミング」
②グローバル製造業PMI
「購買担当者指数」は「PMI」とも呼ばれる景気指標の一つです。
世界の多くの国で採用されており、毎月更新される即時性の高い便利な指標です。
50が分岐点であり、
●50より大きい⇒景気拡大
●50より小さい⇒景気後退
と判断します。
製造業PMIは「製造業購買担当者指数」のことで、製造業全般の景気を示唆します。
グローバル製造業PMIは「全世界の製造業の景気状況」を示唆する指数です。
グローバル製造業PMIの推移を見てみます。
※グローバル製造業PMIについて、詳しくはコチラ(英語サイト、PDF)
https://www.markiteconomics.com/Public/Home/PressRelease/3c106b8d981246c9815f07ad6e5f6b48
※出所:https://www.markiteconomics.com/Public/Home/PressRelease/3c106b8d981246c9815f07ad6e5f6b48
より管理者作成
2018年7月は「52.7」でした。
2017年12月をピークに、ごくゆるやかながら7ヶ月続く下落トレンド。
●2018年2月:54.1
●2018年3月:53.3
●2018年4月:53.5
●2018年5月:53.1
●2018年6月:53.0
●2018年7月:52.7
こちらはCLIと違って、節目の50は大幅に超えており、景気水準自体は
良く
引き続き、減速トレンドが続くかどうか、要経過観察というところ。
※PMIについて詳しくコチラ↓
●中日独の景気動向 2017年11月データ - ユキマツの「長期投資のタイミング」
③主要国製造業PMI
最後に主要4ヶ国(米中日独)の国別の製造業PMIを確認します。
期間は2016年1月~2018年7月です。
※出所:「https://jp.investing.com/search?q=製造業購買担当者指数 PMI」のデータより管理者作成
2016年9月以降、ずっとこの4ヶ国の製造業PMIは節目の「50」を上回っており、世界的な景気水準はよいことがうかがえます。
直近のピークは
●中国:2017.9月
●ドイツ:2017.12月
●日本:2018.1月
●米国:2018.4月
です。
7月の数値変動は
●ドイツ:上昇
●米国、日本、中国:下落
米国に少しだけピークアウト感が感じられます。
今後の動きはわかりません。
おわりに
世界景気?そんなのカンケーネー
という視点も当然あってしかるべき。
EPSの伸びが大きく期待のふくらまざるを得ない業態の個別銘柄は探せば見つかることも多く、今が旬の個別銘柄に次々と乗り換えていくような投資スタイルもありでしょう。
いろいろなやり方があるから面白い。
世界景気については単に、わたしの長期投資のスタイルにとってはとても大事な視点なので、記事にしています。
※出所:- Composite leading indicator (CLI) - OECD Dataより管理者作成 ※数値は概算
個人的には景気や株価の予測よりも、
●今現在の状況把握に努め
●長期スパンでみて「景気が悪く株価が落ちているとき」に、がっつりリスクをとる方が
●相対的なリスクが低くリターンも大きい気がする(景気が悪い時期に買えれば、景気回復期に株式を保有できる確率が上がる、ハズ)
※経験的には「不況から景気回復に転換する時期」の投資収益は大きい
欧州債務危機で運よくがっつりリスクをとれた、わたしなりのスタイルです。
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