米国債の長短金利差に着目し、米国の景気動向、株式市場の動向を推測する記事です。
米国債の長短金利差を確認するメリット
米国の景気・株式市場の動向を探る役に立つかも?
※当ブログでは「長短金利差」
【米10年国債利回り-米2年国債利回り】
とします。
長短金利差について、詳しくはコチラをどうぞ↓
●米国債 長短金利差 <2017.12.22> - ユキマツの「長期投資のタイミング」
スポンサーリンク
直近の長短金利差
※出所:アメリカ 10年 債券利回り、アメリカ 2年 債券利回りのデータより管理者作成 ※期間:1995年1月末~2018年7月末
2018年7月末は「0.29%」。
前月より縮小(6月末:0.33%)。
直近のピークは2010年3月の「2.81%」。
8年4ヶ月、長短金利差の縮小トレンドが続いていることになります。
2018.8.16現在、長短金利差は、0.25%であり、7月末よりさらに縮小。
※2.86%-2.61%=0.25%
※データ:米国債・金利 - Bloomberg
1995年以降の長短金利差と株価の関係
※出所:アメリカ 10年 債券利回り、アメリカ 2年 債券利回り、^GSPC : Summary for S&P 500 - Yahoo Finance のデータより管理者作成 ※期間:1995年1月~2018年7月
1995年以降の長短金利差と株価(【S&P500】を900で割ったもの)の推移グラフです。
2018年7月は
・長短金利差⇒縮小
・株価⇒大きく上昇
したので両者の差は大きく開きました。
このグラフでは、タイムラグはありますが、長期のトレンドとして概ね
●株価上昇期⇔金利差縮小トレンド
●株価下落期⇔金利差拡大トレンド
が確認できます。
また、この時期のデータに限れば、どちらかといえば
●金利差が大きい時期⇒株式は比較的割安?
●金利差が小さい時期⇒株式は比較的割高?
ともいえそうです。
※長い目でみた一つの傾向、経験則
参考データ:1980年以降の逆イールドと景気後退
※出所:FRED | St. Louis Fedのグラフより管理者作成 ※期間:1976年~2017.11月
1976年~2017.11月の長短金利差のグラフです。
5回の逆イールド期(短期金利>長期金利の時期)とその後の景気後退期(グレーラインの時期)を示しています。
5回とも景気後退期の前に逆イールドが生じており、景気後退期には株価は大きく下げる傾向があります。
長短金利差が小さいだけでなく、逆イールドになる時期は、景気や株式市場にとって不吉な兆候ではあると思われます。
※参考:米長短金利の逆転は懸念=ダラス連銀総裁 | ロイター
今年のFRB利上げ予測
●Countdown to FOMC: CME FedWatch Tool
上記サイトによれば
年内にあと1~2回程度(9月、12月?)
のFRBの利上げにより、現在「1.75-2.00%」のFF金利は年内に
「2.00-2.25%」
か
「2.25-2.50%」
になるとの観測が優勢な様子。
先月より
年内あと2回の利上げ派
の勢いが増している模様。
おわりに:逆イールドにならなければ景気後退はなく、株価は当分もつだろうか?
遠い過去においては逆イールドになる前に景気後退が来たこともあるようです。
また、1987年や2002年には、
そもそも景気後退が来ていないのにS&P500が30%以上暴落した
こともありました。
わたしはわりとアバウトで気長な方なので、逆イールドにはこだわらず、とりあえず傾向、経験則として、近年は
長短金利差が小さい時期の方が株価は割高なことが多かった
という点を重視。
再現性があるかどうかは不明ですが、上記グラフからは、その傾向ははっきりしているので、参考にしてみようか、という程度。
いろいろある中の一つの指標です。
そんなわけで、当分株価はもつかもしれないし、もたないかもしれない。
上記の問いに対する答えは
株価がもつかどうか、やはり事前にはわからない
です。
景気後退の開始時期と株価のピークアウトのタイミングも、1年程度ずれる(株価が先に下落することが多い)こともあり、この点からも、難しいところ。
関連記事
●景気後退をともなわないケースも含めたS&P500の暴落データ
●投資と中銀