「景気後退」がいつくるのかはわかりません。
「株価のピーク」がいつかもわかりません。
投資家にとって、どちらがより重要な情報かといえば、わたしは「株価のピーク」と思います。
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景気後退が始まる頃に株価は−30%
一例に過ぎませんが、2001年3月に始まったとされる米国景気後退において、株価は1年前にピークアウトしていました。
S&P500は2000年3月の「1553」がピーク。
景気後退が始まった2001年3月の安値は「1081」。
実に景気後退が始まる頃には高値から「-30.4%」の水準。
仮に景気後退の時期を正しく知ることができて、景気後退までずっと株式を保有していると、大幅な株価の下落を味わう場合もあるといえます。
※景気後退の時期も大事ですが、個人的には株価のピークがいつかがより知りたい
景気後退が始まる頃に株価は−9%
同様に、2007年12月に始まったとされる米国景気後退において、株価は2ヶ月前にピークアウト。
S&P500は2007年10月の「1576」がピーク。
景気後退が始まった2007年12月の安値は「1436」。
景気後退が始まる頃には高値から「-8.9%」の水準。
景気後退が始まる頃にどの程度株価が落ちているかはケースバイケース。
景気後退が始まる前に株価はピークアウトしている可能性は高いが・・・
以前に書いた上記記事より、米国の「株価のピーク」と「景気後退」のタイムラグをまとめた表。
1950年以降の10回の景気後退期で調べると上記のようになりました。
いくつか確認できること。
①10回のうち7回は景気後退の6~12ヶ月前に株価がピークアウトしている。株価は景気の先行指標になっていたことが多い(株価の下落は投資家や経営者のメンタルに大きなダメージを与えるので、景気悪化に拍車をかける、という仮説もなくはないようですが、因果関係は不明)
②10回のうち3回は景気後退の始まりと株価のピークが2ヶ月以内におさまっており、株価のピークアウトと景気後退がほぼ重なっていた
③10回の時間差の平均値は6.9ヶ月。最頻値は12ヶ月。この10回に限れば、景気後退の1年も前に株価がピークアウトしていたことが最も多い
経験則に過ぎませんが、上記のようなデータはあります。
過去データはデータに過ぎないが・・・
★株価の「ピーク」と「ボトム」のタイムラグ・ピークからの下落率①
★株価の「ピーク」と「ボトム」のタイムラグ・ピークからの下落率②
上記記事からのデータ。
景気後退前後の株価(S&P500)のピーク⇒ボトムまでの期間をまとめたもの。
下記表は景気後退前後の株価のピーク⇒ボトムまでの下落率をまとめたもの。
また上記記事では景気後退を伴わない株価暴落についてもふれています。
過去データは未来を明確に予言するものではないですが、ある程度の目安、参考値にはなり得ると思います。
きつい下げのあいだはとかく「永遠にこのまま下げ続ける」ようないいようのない不安にさいなまれるものですが、上記のようなデータからは、2018年10~12月のような下げ(S&P500:2ヶ月ほどで−18%)がひたすら一本調子に続くことはなさそうな気はします。
データ自体は何も語りませんが、人によっては現状をできるだけ冷静にとらえるための一助になる、かもしれません。
※1985年以降、S&P500の月間下落率ランキング
①1987年10月:21.8%
②2008年10月:16.9%
③1998年8月:14.6%
④2002年9月:11.0%
⑤2009年2月:11.0%
2018年12月(21日まで)⇒12.5%
今週の相場もあるのでまだわかりませんが、この観点でみると今は30数年で5回あるかないかの、滅多にない状況、かも。
データの出所
●S&P500
^GSPC : Summary for S&P 500 - Yahoo Finance
●景気後退の始まり
What Dates are Used for the U.S. Recession Bars? | Getting To Know FRED
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