スラムダンクは「危険」な漫画。
一度読み始めると結末は知っているのに最後まで読み切りたいという衝動に駆られてついつい読み進み、読み切った後には満足感と疲労感と「やらなければならなかったことができておらず、焦る」といった状況がもたらされる・・・
そんな経験を何度かしたことがあります。
スポーツと投資
投資とスポーツには共通点があります。
・数字やルールによって勝敗が分かりやすく判明する
・人間の織りなすドラマであり、人間心理の制御が非常に重要
・プロスポーツや投資ではマネーが動き、うまくいけば大きな所得が生じ、強い欲がからむことも
・どんなに優秀な選手や無敵を誇ったチームも、常時勝ち続けるのは難しい傾向。同様に投資においても、隆盛を誇った投資家や投資手法が常時勝ち続けるのが難しい、という傾向
などです。
投資とスラムダンクをからめて、記事にしてみます。
オレは今なんだよ!!
オヤジの栄光時代はいつだよ・・・
全日本のときか?
オレは・・・・・・・・・
オレは今なんだよ!!
※『SLAM DUNK-スラム ダンク』31巻 井上雄彦(著)集英社 1996年
ケガによる背中の激痛をおして、試合に戻るシーンでの主人公のセリフです。
①今が勝負どころだから、選手生命を絶たれるかもしれないような大きなリスクを冒してでも勝負に出る
②今は勝負所かもしれないけど、長期的に考えて、今は無理しない
どちらが正しいのかはそのときには分かりませんし、人生の栄光時代がいつなのか、そのときにはわかりません。
が、後々振り返れば、
あのときが大きな分岐点だったか?
と感じるポインドは誰しもあるかもしれません。
主人公は①を選び一つの試合の勝利に貢献することになります。
「とりあえず今の今よければ」
昨年9月頃のことですが、米国が中国製品にかける関税の税率が
25%でなく10%ですむ
というニュースが一因で株価が上昇、リスクオンになった局面がありました。
少し長めのスパンでみれば、関税が上がること自体は円滑な貿易や世界経済にとってネガティブ。
時間差はあっても株価に優しくない影響が出やすい要因とも捉えられますが、市場は「今の今、低めの税率が適応されたこと」をポジティブに捉えた模様。
しばしば
「とりあえず今の今よければ」
「先のことは知らないが、今株価が上がれば、当然それについていく」
「今が大事!」
というような雰囲気を市場から感じることがあります。
「株は今なんだよ!!」がよぎるとき
また、株価が上がれば投資家のリスク許容度は上昇し、借金して株式が売買される傾向があるようです。
※日本の信用買い残や米国のマージンデットと株価には強い「正の相関」がある模様
詳しくは
☆半年先、1年先のことを見越して・・・
☆過去10年20年を俯瞰して今はどの程度の株価水準か?
☆景気循環から考えて、中長期的にみて今はリスクをとりやすい時期かそうでないか?
などの見方もある一方、
☆「今」や「明日」株価が上がるかどうか、 近未来に自分がいい思いをできるかどうかこそが大事
という視点もあります。
わたしは「数日~数ヶ月スパン」の投資から、「数年以上」の投資も行う派(気が乗らなければ何もしない)であり、別にどちらかが絶対に正しいとも思いませんが、ときどき長期スパンモードに自分のメンタルが偏っているとき、相場のあまりに近視的な動きに遭遇して、驚くことはあります。
そんなとき、思い出すのがこのフレーズ(わたしの造語)。
株は今なんだよ!!
ファンダメンタルでもテクニカルでもなく、最終的には需給、短期的には売りが売りを呼び、買いが買いを呼ぶ、それ以上は特になさげにみえる・・・という局面も訪れます。
面白くも悩ましい
株式の売買で大きな所得を得ている人でも、究極的に、
株価は何で決まるのか?
万人を納得させられる答えを提出することは意外に難しいのかも。
ときには「今の値動き、多くの投資家の心理」こそが全てであり、視点を変えれば「200日移動平均線」が説得力を持つ局面もあり、ざっくりとなら意外に「景気循環」である程度説明できるのかもしれない。
一つの手法を極める方向性もあれば、複数の視点を組み合わせる手法もあり、投資で収益を上げる道は一つではなく、だからこそ面白く、悩ましい道ともいえるかもしれません。
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