人民元が7月末に比して2%程度下落(対ドル)し、1ドル=7元を上回ってきました。
※出所:USD CNY | アメリカドル 中国人民元 相場情報 - Investing.com
備忘録的にわたしが感じる人民元下落のメリットをデメリットについて記事にしてみます。
人民元下落のデメリット①:物価上昇リスク
通貨安⇒不景気下での物価上昇(スタグフレーション)⇒経済成長率の更なる鈍化
IMFの予測(2019.4月時点)では2019年の中国の消費者物価上昇率は2.28%(2018年は2.10%)。
現状でとやかくいうレベルではないと思われますが、想定以上に通貨安が進むと通貨安による物価高が生じ、成長率鈍化が進む中国で中長期的には上記のような気配が漂う可能性もあるか?
人民元下落のデメリット②:債務負担増大リスク
一般に対外債務負担は
・自国通貨安で増加
・自国通貨高で減少
すると思われます。
昨今「社債等の債務不履行が増加中」「ドル建て債務が増加中」と噂される中国。
元安(ドル高)は中国のドル建て債務負担増の誘因となり、債務不履行リスクを増大させる可能性があり、元安は一つのネガティブ案件か。
※参考
・中国の社債デフォルト急拡大-過去最大だった昨年を上回るペース - Bloomberg
・危うい中国のドル債務依存 2年で35%増、今年と来年が返済ピーク (1/2ページ) - SankeiBiz(サンケイビズ)
人民元下落のデメリット③:資本逃避への懸念を喚起
自国通貨安を嫌気し海外に資本を移動させようとする動きが顕著になると、さらなる自国通貨安を招くという悪循環が起きることも。
上記のような事態を懸念させるところが元安デメリットの一つか。
※参考:中国の資本流出懸念が再燃も、人民元の持続的下落なら - Bloomberg
人民元下落のメリット:輸出競争力維持、関税引き上げへの対処
元安は中国の
・「輸出競争力維持(国内景気対策)」
・「関税引き上げの影響をマイルドにする」
などの意味合いでメリットとなるか。
おわりに
米国が中国を為替操作国に指定。
下記記事によれば
指定した国とは協議を実施し、為替介入の透明性確保や通貨切り上げを求めたりする。相手国の改善が見られない場合は輸入品への関税など制裁措置に踏み切る規定もある
そうです。
※出所:為替操作国とは 改善なければ制裁措置も (写真=AP) :日本経済新聞
※参考:米、中国を為替操作国に指定 圧力を強化 :日本経済新聞
今後の展開は不明ですが、個人的には自分でときどきドル/人民元レートの確認などをしておこうかと。
仮に今後元安が進むとしても、数年で3%程度なら特に問題が起きないかもしれないし、数日で10%元安になるのなら何かが起きるかもしれない。
同様に急速な元高は中国の輸出産業、国内景気に大ダメージとなるかもしれない。
「1ドル=7元」 程度をベースに「変動の大きさ」「変動の速度」を少し気にしておこうか、ということろ。
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