アルゼンチンの株価と通貨に関する記事。
混乱続くアルゼンチン
南米アルゼンチンの通貨や株価が大きな変動。
8.12には一日で株価は「－37.9％」。
ドルに対してアルゼンチンペソは「－17.1％」という大幅な動き。
アルゼンチンの株価推移
※出所：S&P Merval インデックス(MERV) - Investing.com
ただ、近年アルゼンチンの株価は暴騰しており、現地通貨建てでは
・ここ5年（2014.8月末⇒2019.8.12）で約2.8倍
・ここ10年（2009.8月末⇒2019.8.12）で約15.4倍
になっています。
10年で15倍、すごいですがその分為替レートも崩壊しています。
アルゼンチンの為替推移
ドル/アルゼンチンペソの推移です。
※出所：USD ARS | アメリカドル アルゼンチンペソ 相場情報 - Investing.comより作成
ここ10年、ほぼ一貫してドルに対してペソは減価しています。
減価の程度は
・ここ5年（2014.8月末⇒2019.8.12）で約6分の1（6.3分の1）
・ここ10年（2009.8月末⇒2019.8.12）で約14分の1（13.8分の1）
になっています。
概算値で
・ここ5年で株価は3倍、通貨は6分の1に
・ここ10年で株価は15倍、通貨は14分の1に
株価の暴騰分は通貨価値の暴落で多くは相殺かトータルで減価し、最近のアルゼンチン株への長期投資成績はよくはなさそうです。
日経平均5万円！
2017年の後半でしたか、株価上昇が続き
日経平均3万円！5万円！
という煽り記事が出回りました。
アルゼンチンの例を出すまでもなく、日経平均が3万円になっても5万円になっても、長い目でみるとそれが投資家にとっていいことかどうかは、それだけでは何とも言えないと思われます。
まず、日経平均が5万円まで上昇して、ピーク付近でうまく手じまえるかどうか、それはわからない。
もっと上がる上がると信じ、売る機会を逃し、そのうち株価が暴落しても手じまえず、結局買った値段と変わらない株価で手じまう可能性も無きにしも非ず。
また株価暴騰がバブルの産物で、日経平均5万円到達後に長い長いバブル崩壊後の後遺症に苦しむのなら、むしろバブルなど起きない方がいいかもしれません。
さらにアルゼンチンの例のように、通貨価値が著しく低下し、インフレに苦しんだ結果としての日経平均5万円には、あまり価値がない。
仮に日本の物価が今の倍になって、円の価値が半減し、日経平均が4万円を超えたところで、あまり嬉しくないでしょう。
個人的な感覚ですが、株価だけに注視する根拠がよくわからない煽り記事は総じて浅薄な印象を受けます。
おわりに
日本では現状では考えにくいですが、もし物価が倍になれば年金で暮らしている人などはとんでもない苦境に陥るわけで、老後に必要な資産は2000万？ではなく4000万円？という話にもなるのかもしれませんが、とりあえずここ10年通貨価値下落が続いたアルゼンチンの場合、株式の長期保有は「資産価値の維持」という観点においては貢献していた模様。
※ETFや投信を利用し、全世界や米国の株式に分散投資しているだけで、もっといい成績だったと思われますが
現金のみでアルゼンチンペソを長期保有していると、資産の減価は激しかったと思われます（預金金利はそれなりに高そうですが）。
実のところ「資産価値を増大させる」のは当然として「資産価値の維持」もそれなりに大変な行為であり、経済的に積み上げたものの価値を保つには、金融や運用の知識、技術はとても重要か。
そんなことをつらつら考えさせられるベネズエラを含む南米の混乱。
ベネズエラの混乱は政治、利害が多分にからんでいる模様で、無関係な国民はたまったものではなさそうですが・・・
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