先週の米国市場を
「米国株式の割安割高を判断する目安」
になると思われる指標などで概観してみます。
ごく簡単な米国市場の概観
<先週のS&P500>
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
11.29は「3141」。前週末比「+1.0%」。
10月末は「3038」で11月月間では「+3.4%」でした。
2018年末は「2507」で、今年は「+25.3%」。
最高値付近。
<先週の米国10年国債利回り>
11.29は「1.77%」。前週の「1.77%」と変わらず。
FRBの資産は
2019.11.20:4.0302兆ドル
2019.11.27:4.0529兆ドル
と一週間で+0.0227兆ドル(約2.5兆円)と大幅に増加。
前週大きく減少した分より余計に増えた感じ。
月間では約3.4兆円程度の増加か。
※データ:FRED | St. Louis Fed
定点観測
以下の4つで定点観測してみます。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>
恐怖指数
<ここ5年>
<先週>
11.29は「12.70」。
前週の「12.34」よりやや上昇。
11.28は「11.50」程度でしたが週末大きめに上昇。
過去数十年でみてわりと低い水準。
<1990年~>
※出所:S&P 500 VIXインデックスより作成
水準としては長期平均(「19.3」)より低く、米国の市場心理は
安心?
と推測。
目安の「30」以下であり、株価は割安ではなさそう。
※参考:2018年以降の高い値(概算値)
・2018.2月:「50」
・2018.10月:「29」
・2018.12月:「36」
・2019.5月:「23」
・2019.8月:「25」
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
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ジャンク債スプレッド
ジャンク債スプレッドとは
①ジャンク債スプレッド
=米国のハイ・イールド債の利回り-米国債(10年物)の利回り
②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④★平均値(幾何平均):3.0
★中央値:2.9
<期間:1996.12月~2019.10月の月末>
推移グラフと現在の状況判断
※出所:◎St. Louis Fed◎米国 10年 債券利回りのデータより管理者作成 ※期間:1996.12月末~2019.3月末
11.27時点のジャンク債スプレッドは「2.1」で、前週の「2.2」より縮小。
※ジャンク債利回り「3.85%」、米国債(10年物)の利回り「1.77%」
スプレッドは長期平均「3.0」より小さく、投資家心理はやや安心?か。
株価水準としては
やや割高?
と推測。
<最近の推移>
※出所:◎St. Louis Fed◎米国 10年 債券利回りのデータより月末値で作成 ※期間:2016.1月~2019.11月(11月は27日時点)
<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
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S&P500のPBR
※出所:S&P 500 Price to Book Value
1999年末~直近のS&P500のPBRの推移です。
11.29時点の推計値は「3.55」。前週の「3.52」より上昇。
引き続き近年では高水準。
★ITバブルの頃のピーク(5.06)
より小さく
★サブプライムバブルの頃のピーク(2.91)
は上回る水準。
最近のS&P500の高PBR。
①2018.1.26:3.60倍
②2018.9.21:3.51倍
③2019.11.8:3.56倍
長期平均の「2.81」は上回っており、現在は
割安な水準ではなさそう
です。
※出所:S&P 500 Price to Book Value
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
米国バフェット指標
米国バフェット指標とは
①米国バフェット指標=米国の時価総額÷米国の名目GDP
②米国株式の割安割高を判断する目安
③1995~2018年の各年末のデータから、
★平均値:1.26
★中央値:1.32
④近年の経験則の域を出ませんが
★1.05以下は株式は割安圏?
★1.40以上は株式は割高圏? と推測⑤米国の時価総額=NYSE+Nasdaqで計算
推移グラフと現在の状況判断
米国の時価総額は2019年10月末で約「35.3兆ドル」(前月末は「34.8兆ドル」)。
※過去最高は2019.7月の「36.3兆ドル」
S&P500は最高値更新中ですが、NYSE+Nasdaqの時価総額でみると、2019.7月よりは低い水準。
2019年10月末の米国バフェット指標は「1.65」(前月末は「1.62」)。
現在、割高圏の目安「1.4」を上回っていると推測され、米国株式は
割高圏?
と推測。
※データ出所:https://www.world-exchanges.org/、世界経済のネタ帳のデータより作成
※2019年米国名目GDP:21.44兆ドル(IMF推計)。2018年は20.58兆ドル
米国バフェット指標について詳しくはコチラ↓
現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安ではなさそう
★ジャンク債スプレッド⇒やや割高?(割安ではなさそう)
★S&P500のPBR⇒割安ではなさそう
★米国バフェット指標 ⇒割高圏?
総合的に判断すると、わたしは米国株式は
割高?
と推測。
現時点での米国株の長期投資のタイミングとしては
①リスク資産の資産配分が大きくなりすぎていれば、所定の配分に戻す
②資産配分において、株式の配分比率を減らす
③資産配分において、現金の配分比率を増やす
④長期投資を一時やめる(投資をやめる機会を探している場合)
のに適す時期だと考えています。単なる経験則ですが。
※概ね10年以上を想定した長期投資に関する一つの判断です。短期、中期的な投資には役立たない可能性が高いです
※基本的にできるだけ「割高な時期に株を売り、割安な時期に株を買う」という判断に基づいています
※単なる個人の感想です。未来は誰にも予知できません。投資は自己判断、自己責任で
ITバブル、サブプライムバブル、現在のデータ比較
※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTE、https://www.world-exchanges.org/ ・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg ・かい離率:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
割高っぽい米国株。
・「恐怖指数」「ジャンク債スプレッド」:低水準
・「S&P500のPBR」「シラーPER」:高水準
・長短金利差:前週の「0.14%」からやや拡大
おわりに
香港がらみ、大統領が署名するまではリスクオン、署名後はほぼ横ばい。
署名しても中国の反発のインパクトは強くはないようで、11.29に原油(WTI、-4.6%)や香港株(-2%)が下げたりはしていますが、今のところ相場全体は落ち着き。
今後を注視。
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