ユキマツの「長期投資のタイミング」

「景気(企業利益動向)」「中銀の金融政策(金利動向)」「投資家のリスク許容度」などから長期投資のタイミングを探る投資ブログ

株式予報庁が『来週、日本の株式市場は今週より大幅に上昇する確率が90%です』と報じたら

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時代や国を問わず、説得力を持ちつづけそうな言葉を拾ってまとめていくシリーズ

「時空をこえたメッセージ」

の24回目です。

今回は竹中正治氏の著作から。

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自然現象の予測と人間が行う経済活動の予測の根本的な違い

降水確率90%と聞いて多くの人が傘を持って出かけると、逆に午後に雨は降らずに晴れてしまうことが起こる

※『稼ぐ経済学』竹中正治、2013年、光文社 より引用

降水確率90%なら、実際雨が降ると予測する人が多そう。

雨が降るだろうと多くの人が予測することが、

実際に雨が降るかどうか

に影響することはなさそうです。

多くの人の予測は自然現象の動向を左右しない。

一方、経済活動や市場動向は人間の思惑や感情の影響を大きく受けるため、話が違います。

多くの人が

「景気は短期的に大幅に回復する」

「何かあっても中央銀行が何とかしてくれる」

「大統領選を控えているから絶対に株価を低迷させないハズ」

 といった期待をすれば株価は上がる、そういう傾向はあると思われます。

つまり、経済活動や市場動向に関しては、

多くの人々の予測や期待自体が未来の経済活動や市場動向に大きく影響する可能性

があり、この点は自然現象の予測とは全く異なる部分。

株式投資の難しさの一要因

株式予報庁が『来週、日本の株式市場は今週より大幅に上昇する確率が90%です』と報じたら

(中略)

ありったけのお金で株を買います!

(中略)

そうだね。君だけでなく、みな買おうとするだろ。すると株式市場は来週ではなく、今週上がってしまう。そして、来週になると、反対に買った株を売りたい人ばかりになる

 ※『稼ぐ経済学』竹中正治、2013年、光文社 より引用

「多くの人々の予測や期待自体が未来の経済活動や市場動向に大きく影響する」と仮定。

その上で、ものの例えですが、株式予報庁という省庁が存在し、90%株価上昇予報を出したとすると、上記のような出来事が起こる可能性があります。

株式予報庁が「来週」株価が上昇すると予報した根拠が「今週」中にさらされ、来週の株価上昇要因にはならない可能性があるということ。

株式投資の難しさの一要因は上記のように、

予測や期待がいつどのように生まれ、どう消えていくか、事態は常に変転を繰り返しており、新たな事態に対して人々がどのような予測・期待・恐怖から、どのようなスピード感で実際の行動に移るのか、それらを予測するのが極めて難しい

点にあると思われます。

さらに厄介なのが、そのような多くの人の期待や恐怖が他ならぬ自分自身にも伝染し、感情的になり、冷静な判断ができなくなることも多いところ。

株式予報庁予測≒強力な共通認識?

以下、私見。

2019年12月~2020年2月頃、ピークを迎えていた世界全体の時価総額。

突然の新型コロナ、突然の中国景気の大幅悪化。

それらが欧米にも波及し、市場は大混乱、3月に暴落。

その後も少なくとも短期的には「世界的なパンデミック、景気後退が避けられない」という強力な共通認識が発生し、一気に過大な売り玉が形成され、その後も持続的に売り玉を生産。

一方、あまりに短期的に暴落した株価に対して予想外に迅速、大規模な金融緩和政策が打たれ、大規模な財政出動に加え、パニックから目覚めた投資家の買いも入って株価はリバウンド。

さらに普段なら想像もつかない「外出制限措置」が世界的に実行され、

・失業手当などの原資の発生

・将来の所得への不安の増進(給与収入への不安⇒株式投資への期待)

・暇な時間の発生と賭け事願望の抑圧状況

・比較的割安っぽかった水準からのV字回復的株価チャート発生

などの要因から、世界的ににわか個人投資家の急増、これが予想外の「買い方」勢力となる。

その後、4月5月となっても、引き続き景気悪化は明瞭、いつどこで回復基調となるかは不明、よって企業業績悪化予測を根拠とした根強い「売り方」の発生は後を絶たないが、予想外ににわかに出現した「買い方」は比較的株価水準を気にしない傾向があり、この勢力の支援もあって売り玉は買い方のエサとなり、ひたすら売り方は踏みあげられ、あれよあれよでわりと高そうな水準まで株価上昇、というのが今年の大雑把な流れか?

★急激な景気悪化により多くの人が株価は下がるという強力な共通認識を持つ

★これが株式予報庁が『今後、世界の株式市場は大幅に下落する確率が90%です』と報じたのと似たアナウンスとなる

★一気に過大な売り玉の発生

★「外出制限による予想外の個人投資家急増」+「FRBの予想外に迅速、大規模な対応」+「大統領選までは株価は大丈夫ではという期待」+「売り方の持続的なギブアップ」

★2ヶ月半ほど続く暴騰相場の発生

以上は単なる後付け解釈、実際そうなのかは不明ですが、あまりに突然で明瞭すぎる景気悪化予測が株価予報庁の悲観的過ぎるアナウンス的なものを生み出し、それが多すぎる売り玉の発生とその後の驚くようなリバウンドをもたらした一因?とは感じるところ。

 

個人的にはそろそろ調整が入るのでは、と感じますが、このような予測こそがここ数ヶ月買い方の餌食になってきたわけで、引き続き損失額が限定されている「少額の日経平均プット・オプション買い」で空売り願望を解消。

同時に最近はプットよりさらに少額でコールも購入。

今はお遊び程度。

それにしてもある意味面白い相場でわたしはほぼ観戦者。

いつどんな結末を迎えるのか、下手なドラマやスポーツ観戦よりドラマチック。

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