ユキマツの「長期投資のタイミング」

「景気(企業利益動向)」「中銀の金融政策(金利動向)」「投資家のリスク許容度」などから長期投資のタイミングを探る投資ブログ

ITバブル水準まであと28%、37% ~米国市場の概況~

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先週の米国市場を

「米国株式の割安割高を判断する目安」

になると思われる指標などで概観してみます。

ごく簡単な米国市場の概観

<先週のS&P500>

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※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com

8.28は「3508」。前週比「+3.3」。

8月月間では「+5.3」。

最高値更新中。

<先週の米国10年国債利回り>

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※出所:米国 10年 | 米国 10年 債券利回り

8.28は「0.73%」。前週の「0.64%」より大きめに上昇。

定点観測

以下の4つで定点観測してみます。

恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>

ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>

S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>

米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>

恐怖指数

<1990年~>

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<先週>

f:id:yukimatu-tousi:20200831102011p:plain※出所:S&P 500 VIXインデックス

8.28は「22.96」。前週の「22.54」よりやや上昇。

株高の中、あまり下がらず。

水準としては長期平均(「19.3」)よりやや高く、米国の市場心理は

ふつう~やや不安?

と推測。

今は割安時期の目安の「30」以下。

※参考:2018年以降の高い値(場中含む。概算値)

・2018.2月:「50」

・2018.12月:「36」

・2020.3月:「85

<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>

www.yukimatu-value.com
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ジャンク債スプレッド

ジャンク債スプレッドとは

①ジャンク債スプレッド

米国のハイ・イールド債(格付け:BB)の利回り-米国債(10年物)の利回り

※本記事ではオプション調整後

②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向

③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向

④★平均値(幾何平均):3.4

 ★中央値:3.2

<期間:1997.1月~2020.6月の月末>

5%以上のスプレッドの時期に株価は概ね割安か?

推移グラフと現在の状況判断

<1997年以降>

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※出所:
ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fedより作成 ※期間:1997.1月末~2020.8.27
2020.8.27時点のジャンク債スプレッド(%。格付けBB、オプション調整後)は「3.45」で、前週の「3.72」より低下。

8/7以降2週連続で上昇していましたが、大きめに低下し楽観に振れた感じ。

スプレッドの長期中央値は「3.2」で今は平均以上、投資家心理はやや不安?か。

<ここ1年>

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※出所:
ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fedより作成  

●FRB、無制限の量的緩和(2020.3.23頃)

●FRB、ジャンク債(BB格まで)を購入(2020.4.9頃)

というアナウンスを契機に今のところBB格のスプレッド拡大は押さえ込めている印象。

<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com

S&P500のPBR

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※出所:S&P 500 Price to Book Valueより作成

1999年末~直近のS&P500のPBRの推移です。

8.28時点の推計値は「3.96」(前週は「3.84」)倍で大幅に上昇。

引き続きITバブル以降で最も高い水準。

節目の「4.0倍以上」に急接近。

今は長期の中央値「2.77」を43.0%ほど上回っており、現在株価は

割高

か。

※最近のS&P500の高PBR

①2018.1.26:3.60倍(直近で世界景気が最もよかった時期)

②2018.9.21:3.51倍(直近で米国の経済成長率が最も高かった時期)

③2020.1.17:3.76倍(コロナ前、2019年9月以降の世界景気拡大期のピーク)

④2020.8.28:3.96倍(コロナ後のリバウンド)

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※出所:
S&P 500 Price to Book Value

<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>

www.yukimatu-value.com

米国バフェット指標

米国バフェット指標とは

①米国バフェット指標=米国の時価総額÷米国の名目GDP

②米国株式の割安割高を判断する目安

③米国の時価総額=NYSE+Nasdaqで計算

推移グラフと現在の状況判断

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※出所:グローバルノートWFEのデータより管理者作成 ※期間:1995年末~2019年末 

米国の時価総額は2020年7月末で約「36.4兆ドル」。

2020年7月末の米国バフェット指標は「1.88」(1Qに比べ、2020年2Q米国名目GDP推計値が小さくなったため、バフェット指標は大幅上昇)。

今のS&P500は7月末(3100)より7%ほど高い水準。

長期の米国バフェット指標の中央値「1.33」より大幅に高い可能性が高く、株価水準は

割高?

か。

※2020年2~3月のWFEの米国時価総額データは誤りである可能性が高く、今は使用せず。2020年7月データからの適当な推測です。ご参考までに

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※データ出所:https://www.world-exchanges.org/世界経済のネタ帳Gross Domestic Product (GDP) | FRED | St. Louis Fedのデータより作成

※2020年2Q米国名目GDP推計値:19.41兆ドル

米国バフェット指標について詳しくはコチラ↓

www.yukimatu-value.com

現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ

あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。

恐怖指数⇒割安ではない?

ジャンク債スプレッド⇒割安ではない?

S&P500のPBR⇒割高?

 ★米国バフェット指標 ⇒割高?

以上から米国株の水準は

割高?(投資タイミングとしてネガティブ要因?)

と推測。

また

★米国の金融政策:緩和的(ポジティブ要因)

★米国の景気 :不況?(ネガティブ要因?)

と推測。

株価水準、金融政策、景気動向から考え、現時点で米国株の投資タイミングに関して、ややネガティブ~ネガティブ?な印象。

※個人の感想です。未来は誰にも予知できません。投資は自己判断、自己責任で 

最近のバブル崩壊後の株価低迷期と現在のデータ比較

※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTEhttps://www.world-exchanges.org/ ・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg ・かい離率:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com

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とても割高っぽい状況。

・恐怖指数:あまり下がらず

・ジャンク債スプレッド:先週は縮小

・S&P500のPBR、シラーPER:高水準

・長短金利差:前週の「0.49%」から「0.61%」に拡大

おわりに

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どうせなら記念に「4.0倍以上」の世界をみてみたい気もしますが、まだ行けるかどうか。

資産価格への影響はどうなるか ~米国市場の概況~ 

8.17の上記記事で書いていましたがたった2週間でS&P500のPBR(3.96倍)は節目の「4.0」倍に急接近。

ITバブルの頃のピーク(5.06倍)にあと28%ほどで届く水準。

シラーPER(32.28倍)はITバブルの頃のピーク(44.19倍)にあと37%ほどで届く水準。

当時との金融政策や財政政策の違い、金利水準の違い(2000年は長期金利が5~6%ほど)等もあり、一概に約20年前と比較するのも無理があると思われますが、投資家のリスク許容度は高そうな雰囲気の米国株、どうなりますか。

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