先週の米国市場を
「米国株式の割安割高を判断する目安」
になると思われる指標などで概観してみます。
ごく簡単な米国市場の概観
<先週のS&P500>
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
8.14は「3373」。前週比「+0.7%」。
8月月間では「+3.1%」。
8月も続伸中。
2020.2月の最高値「3394」から「-0.6%」の水準で最高値付近。
<先週の米国10年国債利回り>
8.14は「0.71%」。前週の「0.57%」より大幅上昇。
先週は「株高、債券安」。
0.5%程度から0.7%くらいまで上昇してきましたが、今後各種資産価格への影響はどうなるか。
定点観測
以下の4つで定点観測してみます。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>
恐怖指数
<1990年~>
<先週>
8.14は「22.05」。前週の「22.21」よりやや低下。
株高の中、あまり下がらず。
水準としては長期平均(「19.3」)よりやや高く、米国の市場心理は
ふつう~やや不安?
と推測。
今は割安時期の目安の「30」以下。
※参考:2018年以降の高い値(場中含む。概算値)
・2018.2月:「50」
・2018.12月:「36」
・2020.3月:「85」
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
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ジャンク債スプレッド
ジャンク債スプレッドとは
①ジャンク債スプレッド
=米国のハイ・イールド債(格付け:BB)の利回り-米国債(10年物)の利回り
※本記事ではオプション調整後
②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④★平均値(幾何平均):3.4
★中央値:3.2
<期間:1997.1月~2020.6月の月末>
⑤5%以上のスプレッドの時期に株価は概ね割安か?
推移グラフと現在の状況判断
<1997年以降>
※出所:ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fedより作成 ※期間:1997.1月末~2020.8.13
2020.8.13時点のジャンク債スプレッド(%。格付けBB、オプション調整後)は「3.60」で、前週の「3.52」より上昇。
週間で上昇するのは久しぶり。
長期中央値はやや遠ざかる。
スプレッドの長期中央値は「3.2」で今は平均以上、投資家心理はやや不安?か。
<ここ1年>
※出所:ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fedより作成
●FRB、無制限の量的緩和(2020.3.23頃)
●FRB、ジャンク債(BB格まで)を購入(2020.4.9頃)
というアナウンスを契機に今のところBB格のスプレッド拡大は押さえ込めている印象。
<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
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S&P500のPBR
※出所:S&P 500 Price to Book Value
1999年末~直近のS&P500のPBRの推移です。
8.14時点の推計値は「3.81」(前週は「3.78」)倍で続伸。
引き続きITバブル以降で最も高い水準。
どうせなら記念に「4.0倍以上」の世界をみてみたい気もしますが、まだ行けるかどうか。
今は長期の中央値「2.77」を37.5%ほど上回っており、現在株価は
割高
か。
※最近のS&P500の高PBR
①2018.1.26:3.60倍(直近で世界景気が最もよかった時期)
②2018.9.21:3.51倍(直近で米国の経済成長率が最も高かった時期)
③2020.1.17:3.76倍(コロナ前、2019年9月以降の世界景気拡大期のピーク)
④2020.8.12:3.82倍(コロナ後のリバウンド)
※出所:S&P 500 Price to Book Value
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
米国バフェット指標
米国バフェット指標とは
①米国バフェット指標=米国の時価総額÷米国の名目GDP
②米国株式の割安割高を判断する目安
③米国の時価総額=NYSE+Nasdaqで計算
推移グラフと現在の状況判断
米国の時価総額は2020年6月末で約「35.6兆ドル」。
2020年6月末の米国バフェット指標は「1.83」(1Qに比べ、2020年2Q米国名目GDP推計値が小さくなったため、バフェット指標は大幅上昇)。
今のS&P500は6月末(3100)より9%ほど高い水準。
長期の米国バフェット指標の中央値「1.33」より大幅に高い可能性が高く、株価水準は
割高?
か。
※2020年2~3月のWFEの米国時価総額データは誤りである可能性が高く、今は使用せず。2020年6月データからの適当な推測です。ご参考までに
※データ出所:https://www.world-exchanges.org/、世界経済のネタ帳、Gross Domestic Product (GDP) | FRED | St. Louis Fedのデータより作成
※2020年2Q米国名目GDP推計値:19.41兆ドル
米国バフェット指標について詳しくはコチラ↓
現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安ではない?
★ジャンク債スプレッド⇒割安ではない?
★S&P500のPBR⇒割高?
★米国バフェット指標 ⇒割高?
以上から米国株の水準は
割高?(投資タイミングとしてネガティブ要因?)
と推測。
また
★米国の金融政策:緩和的(ポジティブ要因)
★米国の景気 :悪化傾向?(ネガティブ要因?)
と推測。
株価水準、金融政策、景気動向から考え、現時点で米国株の投資タイミングに関して、ややネガティブ~ネガティブ?な印象。
※個人の感想です。未来は誰にも予知できません。投資は自己判断、自己責任で
最近のバブル崩壊後の株価低迷期と現在のデータ比較
※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTE、https://www.world-exchanges.org/ ・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg ・かい離率:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
引き続き割高っぽい状況。
・ジャンク債スプレッド:久々に拡大
・S&P500のPBR、シラーPER:高水準
・長短金利差:前週の「0.43%」から「0.56%」へ大きめに拡大。この傾向は続くか
おわりに
S&P500も今年2月の最高値「3394」から「-1.3%」の水準まで上げてきました。
と先週書いていましたが、今週はぎりぎり高値更新ならず。
米国長期金利の0.7%水準への上昇は各種資産価格へ大きめの影響を与えるほどの動きかどうか。
とりあえず割高っぽく見える株価水準継続。
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