先週の米国市場を
「米国株式の割安割高を判断する目安」
になると思われる指標などで概観してみます。
ごく簡単な米国市場の概観
<先週のS&P500>
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
3.12は「3943」。前週比「+2.6%」。
3月月間では「+3.5%」。
最高値は2021年3月の「3961」。
<先週の米国10年国債利回り>
3.12は「1.63%」。前週の「1.58%」から上昇。
先週は
★株価⇒上昇
★債券利回り⇒上昇
★ドル指数⇒やや低下
という動きでした。
定点観測
以下の4つで定点観測してみます。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>
恐怖指数
<1990年~>
<先週>
3.12は「20.69」。前週の「24.66」より低下。
水準としては長期平均(「19.3」)より付近、米国の市場心理は
ふつう?
と推測。
割安時期の目安の「30」より低い水準。
※参考:2018年以降の高い値(場中含む。概算値)
・2018.2月:「50」
・2018.12月:「36」
・2020.3月:「85」
・2020.10月:「41」
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
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ジャンク債スプレッド
ジャンク債スプレッドとは
①ジャンク債スプレッド
=米国のハイ・イールド債(格付け:BB)の利回り-米国債(10年物)の利回り
※本記事ではオプション調整後
②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④★平均値(幾何平均):3.4
★中央値:3.3
<期間:1997.1月~2020.12月の月末>
⑤5%以上のスプレッドの時期に株価は概ね割安か?
推移グラフと現在の状況判断
<1997年以降>
※出所:ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fedより作成 ※期間:1997.1月末~2021.3.11
2021.3.11時点のジャンク債スプレッド(%。格付けBB、オプション調整後)は「2.57
」で、前週の「2.54」よりやや拡大。
スプレッドの長期中央値は「3.2」で今は中央値より約20%低い水準。
投資家心理は
やや楽観?
か。
<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
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S&P500のPBR
※出所:S&P 500 Price to Book Valueより作成
1999年末~直近のS&P500のPBR推移。
3.12時点の推計値は「4.28」(前週は「4.17」)倍で前週より上昇。
ITバブル以来の高水準。
コロナ後のピーク付近。
長期の中央値「2.78」を54%ほど上回っており、株価水準は
割高
か。
※最近のS&P500の高PBR
①2018年1月:3.60倍(直近で世界景気が最もよかった時期)
②2018年9月:3.51倍(直近で米国の経済成長率が最も高かった時期)
③2020年1月:3.76倍(コロナ前、2019年9月以降の世界景気拡大期のピーク)
④2021年2月、3月:4.28倍(コロナ後)
※出所:S&P 500 Price to Book Value
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
米国バフェット指標
米国バフェット指標とは
①米国バフェット指標=米国の時価総額÷米国の名目GDP
②米国株式の割安割高を判断する目安
③米国の時価総額=NYSE+Nasdaqで計算
推移グラフと現在の状況判断
米国の時価総額は2021年1月末で約「43.8兆ドル」。
米国バフェット指標は「2.00」。
米国バフェット指標の10年移動平均「1.50」より約33%高い水準。
今のS&P500は2021年1月末(3714)より6%ほど高い水準。
株価水準は
割高?
か。
※データ出所:https://www.world-exchanges.org/、世界経済のネタ帳、Gross Domestic Product (GDP) | FRED | St. Louis Fedのデータより作成
※2021年米国名目GDP推計値:21.92兆ドル
米国バフェット指標について詳しくはコチラ↓
現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安ではない?
★ジャンク債スプレッド⇒割安ではない?
★S&P500のPBR⇒割高?
★米国バフェット指標 ⇒割高?
以上から米国株の水準は
割高?
と推測。
現時点での米国株の投資タイミングに関しては
ややネガティブ~ネガティブ?
な印象。
※個人の直感、感想です。先のことは不明。投資は自己判断、自己責任で
最近のバブル崩壊後の株価低迷期と現在のデータ比較
※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTE、https://www.world-exchanges.org/ ・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg ・かい離率:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
引き続き割高っぽい状況。
・S&P500のPBR、シラーPER:高水準
・長短金利差:やや拡大傾向
米国 30年物住宅固定金利
米国住宅市場に影響が大きそうな米国の30年物住宅固定金利。
3.11は「3.05%」(前週比+0.03%)。
2021.1.7の直近ボトム「2.65%」と比べると「+0.40%」。
コロナ前の2020年1月頃は3.5%以上。
勢いは鈍化しているもののとりあえず上昇傾向が継続。
<米国 30年物住宅固定金利:ここ5年>
※出所:30-Year Fixed Rate Mortgage Average in the United States (MORTGAGE30US) | FRED | St. Louis Fedより
おわりに
直近のS&P500のPBRは4.28倍でコロナ後のピーク。
何度かこの辺で跳ね返されていますが、上抜けしていくかどうか。
○○はすでに株価に「織り込み済み」
という表現を見かけるときがあります。
それっぽく見えて便利な表現かもしれませんが、あるネタをどの程度織り込んでいるか、それをある段階で正確に把握することはとても困難と思われます。
今回の米国政府の経済対策ネタがらみ、すでに株価には織り込まれており材料出尽くしとなるか、再度市場へのエネルギー注入となるか、判断は難しそう。