先週の米国市場を
「米国株式の割安割高を判断する目安」
になると思われる指標などで概観してみます。
ごく簡単な米国市場の概観
<先週のS&P500>
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
11.5は「4698」で前週比「+2.0%」。
11月月間では今のところ「+2.0%」。
最高値更新中。
<先週の米国10年国債利回り>
11.5は「1.46%」。前週の「1.56%」から大きく低下。
先週は
★株価⇒上昇
★債券利回り⇒低下
★ドル指数⇒やや上昇
という動きでした。
定点観測
以下の4つで定点観測してみます。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>
恐怖指数
<ここ1年>
11.5は「16.48」。前週の「16.26」よりやや上昇。
ここ1年では低めの水準。
水準としては長期平均(「19.3」)より低く、米国の市場心理は
やや安心?
と推測。
割安時期の目安の「30」より低い水準。
※参考:2018年以降の高い値(場中含む。概算値)
・2018.2月:「50」
・2018.12月:「36」
・2020.3月:「85」
・2020.10月:「41」
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
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ジャンク債スプレッド
本記事のジャンク債スプレッドとは
①ジャンク債スプレッド
=米国のハイ・イールド債(格付け:BB)の利回り-米国債(10年物)の利回り
※本記事ではオプション調整後
②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④★平均値(幾何平均):3.3
★中央値:3.2
<期間:1997年1月~2021年10月の月末>
⑤5%以上のスプレッドの時期に株価は概ね割安か?
推移グラフと現在の状況判断
<1997年以降>
※出所:ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fedより作成 ※期間:1997.1月末~2021.7.8
11.5時点のジャンク債スプレッド(%。格付けBB、オプション調整後)は「2.20」で、前週の「2.12」より拡大。
2週連続の拡大。
※リーマンショック後のボトム:「1.96」%(2018年1月末)
スプレッドの長期中央値は「3.1」で今は中央値より約34%低い水準。
投資家心理は
楽観
か。
<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
S&P500のPBR
※出所:S&P 500 Price to Book Valueより作成
1999年末~直近のS&P500のPBR推移。
11.5時点の推計値は「5.01」(前週は「4.91」)倍で前週より上昇。
ITバブル以来の高水準で「5倍」の大台に到達。
長期の中央値「2.79」を80%ほど上回っており、株価水準は
割高
か。
※最近のS&P500の高PBR
①2018年1月:3.60倍(直近で世界景気が最もよかった時期)
②2018年9月:3.51倍(直近で米国の経済成長率が最も高かった時期)
③2020年1月:3.76倍(コロナ前、2019年9月以降の世界景気拡大期のピーク)
④2021年11月:5.01倍(コロナ後)
※出所:S&P 500 Price to Book Value
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
シラーPER
※出所:Shiller PE Ratioより作成 ※期間:1995.1~2021.10
1995年以降のシラーPERの推移。
1995年以降の中央値は「26.4」倍。
2021年10月までの5年移動平均は「31.1」倍。
11.5は約「40.0」倍で前週(39.2)より上昇。
長期の中央値より約52%、5年移動平均より約29%高い水準。
株価水準は
割高?
と推測。
※出所:Shiller PE Ratio
※参考:シラーPER(CAPEレシオ)とは|金融経済用語集 - iFinance
現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安ではない?
★ジャンク債スプレッド⇒割安ではない?
★S&P500のPBR⇒割高?
☆シラーPER⇒割高?
以上から米国株の水準は
割高?
と推測。
現時点での米国株の投資タイミングに関しては
ネガティブ?
な印象。
※個人の直感、感想です。先のことは不明。投資は自己判断、自己責任で
最近のバブル崩壊後の株価低迷期と現在のデータ比較
※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTE、https://www.world-exchanges.org/ ・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg ・かい離率:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
割高っぽい状況。
・恐怖指数、ジャンク債スプレッド:けっこう低い数値
・S&P500のPBR、シラーPER:高水準
・米国失業率:10月も低下
おわりに
ITバブルのピーク値まで、S&P500のPBRはあと1%。
シラーPERはあと10%の水準まで上昇。
S&P500のPBRは「5倍」の大台、シラーPERは「40倍」の大台にそろって到達。
ハワード・マークス氏の言葉
相場は割高あるいは割安でも、数年にわたってその状態を維持したり、さらにその度合いを強めたりする可能性がある
※『投資で一番大切な20の教え』より
が思い出され、それなりの調整や下落相場の開始に備えて用心しつつも、決め打ちしすぎないスタンスが無難か。
米国の失業率は2020年5月以降急低下し2021年10月は「4.6%」に。
これは
サブプライムバブルの頃とほぼ同水準で
1980年代の好景気時より低く
ITバブルやコロナ前に比べるとまだ高い
水準。
<米国失業率>
※出所:Unemployment Rate (UNRATE) | FRED | St. Louis Fedより作成
2020年3月以降、新型コロナにより誰が見ても
異常な急上昇 のち 異常な急低下
となっており、過去の経験が参考になりにくい状況ですが、今後どうなりますか。
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