ユキマツの「長期投資のタイミング」

「景気(企業利益動向)」「中銀の金融政策(金利動向)」「投資家のリスク許容度」などから長期投資のタイミングを探る投資ブログ

2指標 そろって大台に到達 ~米国市場の概況~

f:id:yukimatu-tousi:20211107211510p:plain先週の米国市場を

「米国株式の割安割高を判断する目安」

になると思われる指標などで概観してみます。

ごく簡単な米国市場の概観

<先週のS&P500>

f:id:yukimatu-tousi:20211107211610p:plain

※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com

11.5は「4698」で前週比「+2.0」。

11月月間では今のところ「+2.0」。

最高値更新中。

<先週の米国10年国債利回り>

f:id:yukimatu-tousi:20211107211701p:plain

※出所:米国 10年 | 米国 10年 債券利回り

11.5は「1.46%」。前週の「1.56%」から大きく低下。

先週は

★株価⇒上昇

★債券利回り⇒低下

★ドル指数⇒やや上昇

という動きでした。

定点観測

以下の4つで定点観測してみます。

恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>

ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>

S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>

米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>

恐怖指数

<ここ1年>

f:id:yukimatu-tousi:20211107211724p:plain※出所:S&P 500 VIXインデックス

11.5は「16.48」。前週の「16.26」よりやや上昇。

ここ1年では低めの水準。

水準としては長期平均(「19.3」)より低く、米国の市場心理は

やや安心?

と推測。

割安時期の目安の「30」より低い水準。

※参考:2018年以降の高い値(場中含む。概算値)

・2018.2月:「50」

・2018.12月:「36」

・2020.3月:「85

・2020.10月:「41」

<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>

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ジャンク債スプレッド

本記事のジャンク債スプレッドとは

①ジャンク債スプレッド

米国のハイ・イールド債(格付け:BB)の利回り-米国債(10年物)の利回り

※本記事ではオプション調整後

②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向

③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向

④★平均値(幾何平均):3.3

 ★中央値:3.2

<期間:1997年1月~2021年10月の月末>

5%以上のスプレッドの時期に株価は概ね割安か?

推移グラフと現在の状況判断

<1997年以降>

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※出所:ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fedより作成 ※期間:1997.1月末~2021.7.8
11.5時点のジャンク債スプレッド(%。格付けBB、オプション調整後)は「2.20」で、前週の「2.12」より拡大。

2週連続の拡大。

※リーマンショック後のボトム:「1.96」%(2018年1月末)

スプレッドの長期中央値は「3.1」で今は中央値より約34%低い水準。

投資家心理は

楽観

か。

<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
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S&P500のPBR

f:id:yukimatu-tousi:20211107211816p:plain

※出所:S&P 500 Price to Book Valueより作成

1999年末~直近のS&P500のPBR推移。

11.5時点の推計値は「5.01」(前週は「4.91」)倍で前週より上昇。

ITバブル以来の高水準で「5倍」の大台に到達。

長期の中央値「2.79」を80%ほど上回っており、株価水準は

割高

か。

※最近のS&P500の高PBR

①2018年1月:3.60倍(直近で世界景気が最もよかった時期)

②2018年9月:3.51倍(直近で米国の経済成長率が最も高かった時期)

③2020年1月:3.76倍(コロナ前、2019年9月以降の世界景気拡大期のピーク)

④2021年11月:5.01倍(コロナ後)

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※出所:S&P 500 Price to Book Value

<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>

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シラーPER

f:id:yukimatu-tousi:20211108105003p:plain※出所:Shiller PE Ratioより作成 ※期間:1995.1~2021.10

1995年以降のシラーPERの推移。

1995年以降の中央値は「26.4」倍。

2021年10月までの5年移動平均は「31.1」倍。

 

11.5は約「40.0」倍で前週(39.2)より上昇。

長期の中央値より約52%、5年移動平均より約29%高い水準。

株価水準は

割高?

と推測。

f:id:yukimatu-tousi:20211107211850p:plain

※出所:Shiller PE Ratio

※参考:シラーPER(CAPEレシオ)とは|金融経済用語集 - iFinance

現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ

あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。

恐怖指数⇒割安ではない?

ジャンク債スプレッド⇒割安ではない?

S&P500のPBR⇒割高?

☆シラーPER⇒割高?

以上から米国株の水準は

割高?

と推測。

現時点での米国株の投資タイミングに関しては

ネガティブ

な印象。

※個人の直感、感想です。先のことは不明。投資は自己判断、自己責任で

最近のバブル崩壊後の株価低迷期と現在のデータ比較

※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTEhttps://www.world-exchanges.org/ ・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg ・かい離率:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com

f:id:yukimatu-tousi:20211108101538p:plain割高っぽい状況。

・恐怖指数、ジャンク債スプレッド:けっこう低い数値

・S&P500のPBR、シラーPER:高水準

・米国失業率:10月も低下

おわりに

ITバブルのピーク値まで、S&P500のPBRはあと1%。

シラーPERはあと10%の水準まで上昇。

S&P500のPBRは「5倍」の大台、シラーPERは「40倍」の大台にそろって到達。

ハワード・マークス氏の言葉

相場は割高あるいは割安でも、数年にわたってその状態を維持したり、さらにその度合いを強めたりする可能性がある

※『投資で一番大切な20の教え』より

が思い出され、それなりの調整や下落相場の開始に備えて用心しつつも、決め打ちしすぎないスタンスが無難か。

 

米国の失業率は2020年5月以降急低下し2021年10月は「4.6%」に。

これは

サブプライムバブルの頃とほぼ同水準で

1980年代の好景気時より低く

ITバブルやコロナ前に比べるとまだ高い

水準。

<米国失業率>

f:id:yukimatu-tousi:20211108102528p:plain

※出所:Unemployment Rate (UNRATE) | FRED | St. Louis Fedより作成

2020年3月以降、新型コロナにより誰が見ても

異常な急上昇 のち 異常な急低下

となっており、過去の経験が参考になりにくい状況ですが、今後どうなりますか。

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