ユキマツの「長期投資のタイミング」

「景気(企業利益動向)」「中銀の金融政策(金利動向)」「投資家のリスク許容度」などから長期投資のタイミングを探る投資ブログ

2022年の展望 ~リスク許容度~

f:id:yukimatu-tousi:20220215111145p:plain2022年も6分の1は終わってしまいましたが気にせず、2022年の投資家のリスク許容度について備忘録的に。

 

何をもって「投資家のリスク許容度」とするかは様々でしょうが、ここでは米国市場のマージンデットと日本市場の信用買い残に着目。

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www.yukimatu-value.com

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マージンデットとは

マージンデット(Margin Debt)は、「証拠金債務」のことでアメリカの投資家がどれだけの借金をして株式を売買しているかを示した金額。

ざっくりと

☆多額の借金が株式に投入される時期は投資家のリスク許容度が高い

☆借金が株式にあまり投入されない時期は投資家のリスク許容度が低い

という傾向があると思われ、この金額を用いて米国投資家のリスク許容度を推測。

マージンデットとS&P500の推移

f:id:yukimatu-tousi:20220302105614p:plain※出所:Margin Statistics | FINRA.orgS&P500 過去のレート - Investing.comより作成

1997年以降のマージンデット(赤)とS&P500(青)の推移。

マージンデットの明確な減少期(投資家のリスク許容度低下時期)は株価は軟調。

直近ピークは2021年10月の約9359億ドル。

最新値2022年1月は約8296億ドルまで減少中。

2021年10月がコロナバブルのピーク、と仮定すると、今はマージンデットの明確な減少期(投資家のリスク許容度低下時期)に突入している可能性はあり、要注意の時期か。

マージンデットの前年同月比と株価の推移

f:id:yukimatu-tousi:20220302110007p:plain※出所:Margin Statistics | FINRA.orgS&P500 過去のレート - Investing.comより作成

こちらは1998年以降のマージンデットの前年同月比(赤。単位:%)とS&P500(青)の推移。

この期間でマージンデットが前年同月比で「+60%」以上という激しい増加傾向を見せたのはITバブル(2000年)、住宅バブル(2007年)、コロナ後(2021年)の3回のみ。

山高ければ谷深しで、ITバブル後、住宅バブル後には前年同月比で「-40%」レベルの激しい減少時期が訪れており、今回はどうなるか。

直近2022年1月では前年同月比「+3.9%」。

ほぼ昨年と同水準のレベルまで減少してきており、急速に高まった投資家のリスク許容度が急速に冷え込んできている可能性を示唆しており、この観点でも不穏な雰囲気。

 

次に信用買い残について。

信用買い残とは

信用買い残は、日本の株式市場での信用取引における、買い(方)の残高のこと。

日本の投資家が証券会社から利子を払ってお金を借りて、その借金で買って保有している株式のある時点における残高の総和です。

マージンデットと同様、ざっくりと

☆多額の借金が株式に投入される時期は投資家のリスク許容度が高い

☆借金が株式にあまり投入されない時期は投資家のリスク許容度が低い

という傾向があると思われ、この金額を用いて日本投資家のリスク許容度を推測。

※参考:シンヨウカイザン(信用買い残)で探る日本株の割安割高

信用買い残とTOPIX

f:id:yukimatu-tousi:20220302112200p:plain

※出所:信用残の推移 | 信用・手口 | トレーダーズ・ウェブTOPIX【998405.T】:時系列 - Yahoo!ファイナンスより作成

2001年以降の信用買い残(赤)とTOPIX(青)の推移。

この期間2005~2007年を除いてはほとんどの期間、信用買い残はざっと

1兆円~3.5兆円

のレンジに収まっています。

つまり株高時期でも信用買い残3.5兆円前後がピークでその後TOPIXは下落、信用買い残も減っていくというパターンが多いです。

※あくまで近年の経験則で今後もこの傾向が続くかは全く不明

f:id:yukimatu-tousi:20220302113847p:plain※出所:信用残の推移 | 信用・手口 | トレーダーズ・ウェブTOPIX【998405.T】:時系列 - Yahoo!ファイナンスより作成

信用買い残の明確な減少期(投資家のリスク許容度低下時期)は株価は軟調。

直近ピークは2021年11月の約3.7兆円。

直近2022.2.25では約3.2兆円まで減少中。

2021年11月がコロナバブルのピーク、と仮定すると、今は信用買い残の明確な減少期(投資家のリスク許容度低下時期)に突入している可能性はあり、要注意の時期か。

投資家のリスク許容度、まとめ

日米の「投資家のリスク許容度」をマージンデットと信用買い残でざっくりと確認。

ともにコロナショックの2020年3月頃が直近ボトム。

そのから1年半ほど急増し高水準へ。

ともに2021年10~11月にピークアウトし、その後数ヶ月で一気に減少してきている状況。

株価指数の直近ピークはTOPIXが2021年9月、ユーロストックス50が2021年11月、遅れてS&P500が2022年1月。

株価指数自体が投資家のリスク許容度を反映するという一面もあり、またテスラやビットコインのピークも今のところ2021年11月。

これらの材料だけをみると

☆2021年9月~2022年1月頃、特に2021年11月頃が投資家のリスク許容度の高まりとコロナバブルのピークだった?

という仮説を立てられなくもない印象。

もちろんマージンデット、信用買い残、株価などが今後どうなるか、先のことは全く不明ですが、経験的、長期的には今は投資家のリスク許容度が急低下している時期に当たる可能性があり、

☆2022年、マージンデットや信用買い残の減少傾向が続き

☆マージンデットが前年比でマイナス幅を拡大していく状況が続く

ようなら、ごく控えめなリスクテイクが無難と思われる状況。

そして万が一マージンデットが前年同月比で-40%レベルのまれにみるリスクオフの事態に直面するようなら、それは滅多にない買い出動のチャンスかもしれず、インフレ動向を含め、今年は例年以上に目が離せない展開。

f:id:yukimatu-tousi:20220304150626p:plain※出所:Margin Statistics | FINRA.orgS&P500 過去のレート - Investing.comより作成

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