先週の米国市場を
「米国株式の割安割高を判断する目安」
になると思われる指標などで概観してみます。
ごく簡単な米国市場の概観
<先週のS&P500>
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
2.25は「4385」で前週比「+0.8%」。
2月月間では今のところ「−2.9%」。
2022年1月の最高値「4819」より「-9.0」%水準。
<先週の米国10年国債利回り>
2.25は「1.97%」。前週は「1.93%」で先週は上昇。
先週は
★株価⇒上昇
★債券利回り⇒上昇
★ドル指数⇒上昇
という動きでした。
定点観測
以下の4つで定点観測してみます。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>
恐怖指数
<ここ5年>
2.25は「27.59」。前週の「27.75」よりやや低下。
水準としては長期平均(「19.3」)よりやや高く、米国の市場心理は
やや不安?
と推測。
割安時期の目安の「30」を下回る水準。
※参考:2018年以降の高い値(場中含む。概算値)
・2018.2月:「50」
・2018.12月:「36」
・2020.3月:「85」
・2020.10月:「41」
・2021.12月:「35」
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
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ジャンク債スプレッド
本記事のジャンク債スプレッドとは
①ジャンク債スプレッド
=米国のハイ・イールド債(格付け:BB)の利回り-米国債(10年物)の利回り
※本記事ではオプション調整後
②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④★平均値(幾何平均):3.3
★中央値:3.2
<期間:1997年1月~2022年1月の月末>
⑤5%以上のスプレッドの時期に株価は概ね割安か?
推移グラフと現在の状況判断
<1997年以降>
※出所:ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fedより作成 ※期間:1997.1月末~2022.2.24
2.24時点のジャンク債スプレッド(%。格付けBB、オプション調整後)「2.93」で、前週の「2.78」より拡大。
昨年末は「2.11」で2ヶ月でそこそこの拡大幅となり、債券市場もリスクオフの様相。
※リーマンショック後のボトム:「1.96」%(2018年1月末)
スプレッドの長期中央値は「3.2」で今は中央値より約8%低い水準。
投資家心理は
ふつう~やや楽観
か。
<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
S&P500のPBR
※出所:S&P 500 Price to Book Valueより作成
1999年末~直近のS&P500のPBR推移。
2.25時点の推計値は「4.46」(前週は「4.42」)倍で前週より上昇。
長期の中央値「2.79」を60%ほど上回っており、株価水準は
割高
か。
※最近のS&P500の高PBR
①2018年1月:3.60倍(直近で世界景気が最もよかった時期)
②2018年9月:3.51倍(直近で米国の経済成長率が最も高かった時期)
③2020年1月:3.76倍(コロナ前、2019年9月以降の世界景気拡大期のピーク)
④2021年12月:4.85倍(コロナ後)
※出所:S&P 500 Price to Book Value
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
シラーPER
※出所:Shiller PE Ratioより作成 ※期間:1995.1~2022.1
1995年以降のシラーPERの推移。
1995年以降の中央値は「26.4」倍。
2022年1月までの5年移動平均は「31.1」倍。
2.25は約「35.9」倍で前週(35.6)より上昇。
長期の中央値より約36%、5年移動平均より約15%高い水準。
株価水準は
割高?
と推測。
※出所:Shiller PE Ratio
※参考:シラーPER(CAPEレシオ)とは|金融経済用語集 - iFinance
現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安ではない?
★ジャンク債スプレッド⇒割安ではない?
★S&P500のPBR⇒割高?
☆シラーPER⇒割高?
以上から米国株の水準は
割高?
と推測。
現時点での米国株の投資タイミングに関しては
ネガティブ?
な印象。
※個人の直感、感想です。先のことは不明。投資は自己判断、自己責任で
最近のバブル崩壊後の株価低迷期と現在のデータ比較
※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTE、https://www.world-exchanges.org/ ・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg ・かい離率:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
・S&P500のPBR、シラーPER:高水準
・長短金利差:先週は縮小
おわりに
<S&P500:ここ1年>
※出所:マーケット|SBI証券
S&P500はピークから-9%程度。
200日移動平均付近。
※出所:Economic Cycle Research Institute | Public Home | ECRI
上記は米国景気指標の一つ、ECRI景気先行指数の最近の動向。
2021年の5月と11月頃にピークがあり、2月以降、やや低下気味。
まだ高い水準ですが、少し気になるところ。
☆ECRI景気先行指数について⇒米国景気回復 勢いにやや かげり
ロシアがらみではルーブル急落懸念が拡大しているもよう。
記事より引用。
・「1時間並んでいるが、外貨はどこでも消えていて、ルーブルしかない。こんなことになるとは思っていなかったので出遅れた。ショックだ」と語った。
・欧州諸国の多くはロシア航空機に対し領空を閉鎖しており、物理的に現金をロシアに運び込むことも困難になりそうだ。
※出所:USD RUB | アメリカドル ロシアルーブル 相場情報 - Investing.com
ルーブルはこの10年だけでもドルに対して約3分の1に暴落中。
ここ28年ほどで2002~2008年のブリックスブームや世界景気が好調な時期を除いては多くの期間でルーブル安が続いている状況。
資源国通貨でもあり、一つの観点として
☆ルーブル高の時期⇒世界景気の見通し良好⇒リスク資産の比率を増やす
といった「あの弱い通貨ルーブルがドルより強い時期なのだから株式市場にも強気する」的な発想も、長期のざっくりした運用の視点として面白い、かも。
※とりあえず今はルーブル暴落中
※一つの経験則で先のことは不明。投資は自己責任で