先週の米国市場を
「米国株式の割安割高を判断する目安」
になると思われる指標などで概観してみます。
ごく簡単な米国市場の概観
<先週のS&P500>
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
4.15は「4393」で前週比「-2.1%」。
4月月間では今のところ「-3.0%」。
2022年1月の最高値「4818」より「-8.8」%水準。
<先週の米国10年国債利回り>
4.15は「2.83%」。前週は「270%」で先週は上昇。
先週は
★株価⇒下落
★債券利回り⇒上昇
★ドル指数⇒上昇
という動きでした。
定点観測
以下の4つで定点観測してみます。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>
恐怖指数
<ここ5年>
4.15は「22.70」。前週の「21.16」より上昇。
水準としては長期平均(「19.3」)よりやや高く、米国の市場心理は
ふつう~やや不安?
と推測。
割安時期の目安の「30」を下回る水準。
※参考:2018年以降の高い値(場中含む。概算値)
・2018.2月:「50」
・2018.12月:「36」
・2020.3月:「85」
・2020.10月:「41」
・2022.1月:「39」
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
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ジャンク債スプレッド
本記事のジャンク債スプレッドとは
①ジャンク債スプレッド
=米国のハイ・イールド債(格付け:BB)の利回り-米国債(10年物)の利回り
※本記事ではオプション調整後
②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④★平均値(幾何平均):3.30
★中央値:3.14
<期間:1997年1月~2022年3月の月末>
⑤5%以上のスプレッドの時期に株価は概ね割安か?
推移グラフと現在の状況判断
<1997年以降>
※出所:ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fedより作成 ※期間:1997.1月末~2022.3.24
4.14時点のジャンク債スプレッド(%。格付けBB、オプション調整後)は「2.58」で、前週の「2.45」より拡大。
※リーマンショック後のボトム:「1.96」%(2018年1月末)
スプレッドの長期中央値は「3.14」で今は中央値より約18%低い水準。
投資家心理は
やや楽観
か。
<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
S&P500のPBR
※出所:S&P 500 Price to Book Valueより作成
1999年末~直近のS&P500のPBR推移。
4.15時点の推計値は「4.36」(前週は「4.57」)倍で前週より低下。
長期の中央値「2.79」を64%ほど上回っており、株価水準は
割高
か。
※最近のS&P500の高PBR
①2018年1月:3.60倍(直近で世界景気が最もよかった時期)
②2018年9月:3.51倍(直近で米国の経済成長率が最も高かった時期)
③2020年1月:3.76倍(コロナ前、2019年9月以降の世界景気拡大期のピーク)
④2021年12月:4.85倍(コロナ後)
※出所:S&P 500 Price to Book Value
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
シラーPER
※出所:Shiller PE Ratioより作成 ※期間:1995.1~2022.4
1995年以降のシラーPERの推移。
1995年以降の中央値は「26.5」倍。
2022年4月1日までの5年移動平均は「31.9」倍。
4.15は約「34.6」倍で前週(36.4)より低下。
長期の中央値より約31%、5年移動平均より約8%高い水準。
株価水準は
割高?
と推測。
※出所:Shiller PE Ratio
※参考:シラーPER(CAPEレシオ)とは|金融経済用語集 - iFinance
現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安ではない?
★ジャンク債スプレッド⇒割安ではない?
★S&P500のPBR⇒割高?
☆シラーPER⇒割高?
長期的には米国株の水準は
割高?
と推測。
現時点での米国株の投資タイミングに関しては
ネガティブ?
な印象。
※個人の直感、感想です。先のことは不明。投資は自己判断、自己責任で
最近のバブル崩壊後の株価低迷期と現在のデータ比較
※表のデータ出所 ・OECD景気先行指数:OECD Data ・米国失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・マージンデット:Margin Statistics | FINRA.org ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg
・ジャンク債スプレッド:やや楽観ゾーンか
・S&P500のPBR、シラーPER:高水準
・OECD景気先行指数:2021年7月をピークに8ヶ月低下傾向
・長短金利差:逆イールドは解消後、金利差拡大続く
おわりに
米国のマージンデットが2022年3月に前年比マイナスになりました(0.82兆ドル⇒0.80兆ドルに減少)。
※マージンデットについてはこちら⇒2022年の展望 ~リスク許容度~
1998年以降のマージンデットの前年同月比で見ると、前年比で「+60%」以上になったのは
①1999~2000年:ITバブル
②2007年:住宅バブル
③2021年:コロナバブル?
の3回のみで、①②の後にはいずれも前年比「-40%」という大幅な落ち込みを記録。
※出所:Margin Statistics | FINRA.org、S&P500 過去のレート - Investing.comより作成
一つの仮説にすぎませんが、マージンデットの変動が投資家のリスク許容度を反映するとすると、過度の楽観の後には過度の悲観が訪れていた、といえるのかも。
今回も①②と同様、過度の悲観局面が近い将来に到来するのか、今回は違うのか、そもそもこういう見方が妥当なのか、すべて不明ですが、世界景気を反映しやすいOECD景気先行指数(OECD全体)は2021年7月をピークに8ヶ月低下傾向が続いており、インフレもあって中銀も総じて引き締め的であり、
・投資家のリスク許容度
・世界景気
・中銀スタンス
3つの観点から、2022年は投資家にとってあまり優しくない雰囲気が立ち込めているように感じるしだい。