ユキマツの「長期投資のタイミング」

「景気(企業利益動向)」「中銀の金融政策(金利動向)」「投資家のリスク許容度」などから長期投資のタイミングを探る投資ブログ

2023年のマージンデット 地味に増加 ~米国市場の概況~

先週の米国市場を株式の割安割高を判断する目安になると思われる指標などで概観してみます。

簡単な米国市場の概観

<S&P500>

※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com

直近値は「4536」で前週比「+0.7」。

7月月間では今のところ「+1.9」。

2022年1月の最高値「4819」より「-5.9」%水準。

<米国10年国債利回り>

※出所:米国 10年 | 米国 10年 債券利回り

直近値は「3.84%」(前週は「3.83%」)。

先週は

★株価⇒上昇

★債券利回り⇒ほぼ変わらず

★ドル指数⇒上昇

という動きでした。

定点観測

以下の4つで定点観測してみます。

恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>

ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>

S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>

シラーPER

恐怖指数

<ここ5年>

※出所:S&P 500 VIXインデックス

直近値は「13.60」(前週は「13.34」)。

水準としては長期平均(「19.3」)より低く、米国の市場心理は

安心?

と推測。

※参考:2018年以降の高い値(場中含む。概算値)

・2018.2月:「50」

・2018.12月:「36」

・2020.3月:「85

・2020.10月:「41」

・2022.1月:「39」

<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>

www.yukimatu-value.com
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ジャンク債スプレッド

本記事のジャンク債スプレッドとは

①ジャンク債スプレッド

米国のハイ・イールド債(格付け:BB)の利回り-米国債(10年物)の利回り

※本記事ではオプション調整後

②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向

③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向

5%以上のスプレッドの時期に株価は概ね割安か?

推移グラフと現在の状況判断

※出所:ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fed

7.20のジャンク債スプレッド(%。格付けBB、オプション調整後)は「2.52」(前週は「2.58」)。

スプレッドの長期中央値は「3.11」で今は中央値より約-19%水準。

投資家心理は

やや楽観

か。

<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
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S&P500のPBR

※出所:S&P 500 Price to Book Value

1999年末~直近のS&P500のPBR推移。

直近の推計値は「4.43」倍(前週は「4.40」倍)。

長期の中央値「2.81」を58%ほど上回っており、株価水準は

割高

か。

※最近のS&P500の高PBR

①2018年1月:3.60倍(直近で世界景気がよかった時期)

②2018年9月:3.51倍(直近で米国の経済成長率が最も高かった時期)

③2020年1月:3.76倍(コロナ前、2019年9月以降の世界景気拡大期のピーク)

④2021年12月:4.73倍(コロナ後)

※出所:S&P 500 Price to Book Value

<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>

www.yukimatu-value.com

シラーPER

※出所:Shiller PE Ratioより作成 ※期間:1995.1~2023.5

1995年以降のシラーPERの推移。

1995年以降の中央値は「26.6」倍。

2023年6月までの5年移動平均は「31.5」倍。

 

直近値は約「31.6」倍(前週は「31.4」倍)。

長期の中央値より約19%高く、5年移動平均より約0%高い水準。

株価水準は

やや割高?

と推測。

※出所:Shiller PE Ratio

※参考:シラーPER(CAPEレシオ)とは|金融経済用語集 - iFinance

現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ

あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。

恐怖指数⇒割安ではない?

ジャンク債スプレッド⇒やや割高?

S&P500のPBR⇒割高?

☆シラーPER⇒やや割高?

長期的には米国株の水準は

やや割高?

と推測。

※個人の直感、感想です。先のことは不明。投資は自己判断、自己責任で

近年のバブル期と「現在」のデータ比較

※表のデータ出所 ・OECD景気先行指数:OECD Data ・米国失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・マージンデット:Margin Statistics | FINRA.org ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg 

・恐怖指数:けっこう低い水準

・ジャンク債スプレッド:やや割高水準か

・シラーPER:やや割高か

・S&P500のPBR:割高か

・マージンデット:6月は前年同月比で「ー0.3」%と前年とほぼ変わらず。5月は「-14.4」%

2018年との金利、物価、株価比較

前回FRBの「量的引き締め+利上げ」がセットで実施され、株式市場が大きく崩れ出したのが2018年10月頃。

当時と今の比較。()内は前週値。概算値。

FRBの利上げは10回、量的引き締めは2022年6月に開始。

②は先週変わらず、2018年より「0.7%」高い水準。

③は先週低下、2018年より「1.9%」高い状態。

④の6月データは5月より低下。2018年より「0.6%」高い状態。

⑤のS&P500の下落幅は現在「6%」。

※データ出所

米国政策金利の推移|はじめてのFXなら外為どっとコム

アメリカ 10年 債券利回り - Investing.com

30-Year Fixed Rate Mortgage Average in the United States (MORTGAGE30US) | FRED | St. Louis Fed

S&P500 インデックス(SPX) - Investing.com

金融ストレス指数(ここ1年)

※出所:St. Louis Fed Financial Stress Index (STLFSI4) | FRED | St. Louis Fed

2023.7.14は「-0.67」(前週は「-0.79」)。

直近のボトム付近。

金融ストレス指数について

金融ストレス指数とは|インデックス(指数)用語集|iFinance

おわりに

<S&P500:ここ1年>

※出所:マーケット|SBI証券

緑ラインは200日移動平均線。

移動平均線は上向き。

直近値は200日線から「+11.9%」の水準(前週は+11.8%)。

 

※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.comMargin Statistics | FINRA.orgより作成

上記はマージンデットとS&P500の1997年以降の推移。

マージンデット米国市場の過熱感を探る指標 ~マージンデット~ 

この期間の両者の相関係数は「0.94」と極めて強い正の相関。

最近の月末値のピークは

☆S&P500:2021年12月

☆マージンデット:2021年10月

ボトムは

☆S&P500:2022年9月

☆マージンデット:2022年12月

でともに数カ月のずれ。

今年に入って両者とも上昇傾向のグラフとなっていますが、株は最高値に近い一方、マージンデットはピークからかなり離れた状態で地味な増加。

このままリスクオンが続くか、そろそろぽしゃるか、どうなりますか。

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