先週の米国市場を
「米国株式の割安割高を判断する目安」
になると思われる指標などで概観してみます。
ごく簡単な米国市場の概観
<先週のS&P500>
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
7.13は「2801」。前週比+1.5%。
6月末は「2718」なので、7月は今のところ+3.1%。
史上最高値は2018.1月の「2873」で、今は最高値から「-2.5%」の水準。
好調なS&P500、最高値更新あるか。
<先週の米国10年国債利回り>
7.13は「2.83%」。週間でわずかに上昇。
最近2.8%台で安定しており、株高の一因か。
昨年末は「2.41%」。
定点観測
以下の4つで定点観測してみます。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>
恐怖指数
ここ半年のチャート。
2018.7.13は「12.18」。前週の「13.37」より低下。
かなり低い水準です。
長期平均(「19.4」)より大幅に低く、米国の市場心理は
安心?
と推測。
目安の「30」以下であり、割安な状況ではなさそうです。
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
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ジャンク債スプレッド
ジャンク債スプレッドとは
①ジャンク債スプレッド
=米国のハイ・イールド債の利回り-米国債(10年物)の利回り
②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④★平均値(幾何平均):3.0
★中央値:3.0
<期間:1996.12月~2018.6月の月末>
推移グラフと現在の状況判断
※出所:◎St. Louis Fed◎米国 10年 債券利回りのデータより管理者作成 ※期間:1996.12月末~2018.6月末
2018.7.12時点のジャンク債スプレッドは「2.4」で、前週の「2.6」から縮小。
※2018.6.28時点のジャンク債利回り「5.29%」、米国債(10年物)の利回り「2.85%」
今週の市場の安心感を反映しているか。
長期平均は「3.0」であり、単なる近年の経験則ですが、この指標からは株式は
「やや割高傾向?」
と推測。
<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
S&P500のPBR
※出所:S&P 500 Price to Book Value
1999年末~直近のS&P500のPBRの推移です。
2018.7.13時点の推計値は「3.39」。前週の「3.37」より上昇。
ITバブルの頃(5.06)にははるかに及びませんが、サブプライムバブルの頃(2.91)よりは大きな値です。
長期平均の「2.77」は上回っており、現在は少なくとも
割安な水準ではなさそう
です。
※出所:S&P 500 Price to Book Value
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
米国バフェット指標
米国バフェット指標とは
①米国バフェット指標=米国の時価総額÷米国の名目GDP
②米国株式の割安割高を判断する目安
③1995~2017年の各年末のデータから、
★平均値:1.25
★中央値:1.32
④近年の経験則の域を出ませんが
★1.05以下は株式は割安圏?
★1.40以上は株式は割高圏? と推測⑤米国の時価総額=NYSE+Nasdaq
推移グラフと現在の状況判断
※6月のデータはまだ確認できず
米国の時価総額は2018年5月末で約「34.0兆ドル」(4月末は「33.5兆ドル」。浮動株調整行わず)。
2018.5月末の米国バフェット指標は「1.67」(4月末は「1.64」)。
いずれも過去最高。
現在、割高圏の目安「1.4」を上回っていると推測され、現在の米国株式は
割高圏?
と推測。
※2018年米国名目GDP:20.41兆ドル(IMF推計)。2017年は19.39兆ドル
米国バフェット指標について詳しくはコチラ↓
現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安ではなさそう
★ジャンク債スプレッド⇒やや割高傾向?
★S&P500のPBR⇒割安ではなさそう
★米国バフェット指標 ⇒割高圏?
総合的に判断すると、わたしは米国株式は「割高圏?」と推測します。
現時点での米国株の長期投資のタイミングとしては
①リスク資産の資産配分が大きくなりすぎていれば、所定の配分に戻す
②資産配分において、株式の配分比率を減らす
③資産配分において、現金の配分比率を増やす
④長期投資を一時やめる(投資をやめる機会を探している場合)
のに適す時期だと考えています。単なる経験則ですが。
※概ね10年以上を想定した長期投資に関する一つの判断です。短期、中期的な投資には役立たない可能性が高いです
※基本的にできるだけ「割高な時期に株を売り、割安な時期に株を買う」という判断に基づいています
※単なる個人の感想です。未来は誰にも予知できません。投資は自己判断、自己責任で
ITバブル、サブプライムバブル、現在のデータ比較
※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTE、World Federation of Exchanges・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg
●恐怖指数がとても低い水準
●長短金利差が「0.3%」を下回り「0.25%」へ
あとがき
様々なリスク懸念を振り払って、かなり低い恐怖指数、最高値に迫るS&P500、今年4度目(1月、3月、6月、7月)の最高値更新を果たしたナスダック。
※出所:https://jp.investing.com/indices/nasdaq-compositeより管理者作成
世界全体の時価総額は2018年1月をピークにやや減少傾向ですが、米国に向かうマネーの流れは止まらず。
昨年と異なり
「日本・欧州景気のほころび」「新興国からのマネー流出」「中央銀行量的緩和のペース低下」
などもあって、世界的な株高というより、米国中心の株高。
強いところはまだ強い
という印象。
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