2008年のリーマンショックから10年。
区切りがいいこともあり、米国の景気拡大が長期にわたっていることもあり、
再びあのようなことが再現されるのか?
という趣旨の記事を見かけます。
本ブログではリーマンショックだけこだわらず、景気減速を基準に、2000年以降の4回の下落相場に焦点を当ててみたいと思います。
今回はわずか数年前、2015~2016年のチャイナショック。
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4回の景気減速期と株価
●世界景気の指標
⇒CLI(OECD全体)
※CLIについてはコチラ↓
●主要株価
・全世界の時価総額(ドル建て)
・S&P500(米国)
・ナスダック総合(米国)
・TOPIX(日本)
・DAX30(ドイツ)
・上海総合(中国)
・Nifty 50 (インド)
とし、2000年以降の4回にわたる世界景気減速期の株価を確認してみます。
世界景気の減速期①:2015年1月~2016年4月
※出所:Leading indicators - Composite leading indicator (CLI) - OECD Dataより管理者作成
中国株バブルの崩壊を含む①の期間、CLI(≒世界景気)の数値は
100.5⇒99.5
に減少。
2015.1~2016.4の15ヶ月間、世界景気は減速を続けていたことを示唆するデータ。
この時期の世界景気の振れ幅は他の3回(②~④の時期)に比べて小さく
そこそこの好景気からそこそこの不景気になった時期?
と推測。
チャイナショック期の株価のピーク・ボトム時期と減少幅
この期間の株価のピーク・ボトム時期と減少幅を確認してみます。
概ね2015.4~2016.2にかけて、たった1年以内のうちに世界の株価は大きく下落。
中でも上海総合は50%近い大暴落。
日本やドイツも3割近い暴落。
インドはそこそこ。
米国株価のダメージ比較的軽微。
全世界の時価総額は2割足らず減少しました。
※表とグラフの出所:WFE、TOPIX- Yahoo!ファイナンス、https://jp.investing.com/indices/major-indicesのデータより管理者作成
所感
この時期の株価下落は一般に「チャイナショック」と呼ばれる時期であり、2015年6月以降の中国がらみの出来事を引き合いに出して解説されることが多いようです。
ただ、ショックが生じた背景には
●そもそも中国で株バブルが生じていたこと(直近1年で株価が2倍以上)
●世界的にも株式は割高らしき水準にあったこと
(一つの目安ですが、2015.5の「世界の時価総額」は2015年の「世界の名目GDP」を上回っていました)
※出所:WFEのデータより管理者作成
●2015年6月のチャイナショックの前、2015年1月以降、すでに世界景気は減速トレンドに向かっていたこと
(CLIは2015.1~2016.4の15ヶ月間下落)
などが挙げられると思います。
タラればですが、ショックの起きる直前か数ヶ月前には
・世界景気の減速感
・世界的な株式市場の過熱感
は感じられたかもしれません。
が、結果的にはヤバい時期だった2015年の春から夏、短期的に株価が大きく上昇していたことも事実であり、ショックの前に逃げる、というのもなかなか難しそう。
<この時期のCLIの推移と出来事>
※出所:Leading indicators - Composite leading indicator (CLI) - OECD Dataより管理者作成
それでもできる範囲で例えば
<世界景気のピーク、ボトム、その動向>
<世界のバフェット指標>
などは把握はしておいても損はないと個人的には考えます。
もし株価が急落していても
ああ、また景気後退、投資家の悲観、リスク許容度の急落か、景気はいつ戻すかなあ・・・
そういう冷静な判断ができる、かも。
とりあえず
・チャイナショックの前にすでに世界景気は減速トレンドにあり
・減速トレンドは株価の大幅な下落時期を含んで15ヶ月ほど続いた
という記事でした。
次回は欧州債務危機を取り上げます。
※出所:Leading indicators - Composite leading indicator (CLI) - OECD Dataより管理者作成
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